土地探しのコツとポイントをプロが解説「注文住宅は土地から始める」
2024.4.19.
- 土地探し
注文住宅の土地探しに失敗すると「理想の家を建てることができない」、「思っていたよりも予算が高くなってしまった」といったことになりかねません。
注文住宅は、多くの人にとって「人生で最も大きな買い物」となります。購入後、長く住み続ける家だからこそ注文住宅の土地探しは、慎重に行うことが大切です。
この記事では、土地探しで迷わないように、失敗しないためのコツや探し方、土地を見極める際のチェックポイントなどをプロの視点から解説します。また、理想の土地が見つからない場合の対処法も紹介するので、土地探しの際の参考にしてください。
注文住宅の土地探しで失敗しない5つのコツ
注文住宅を建てる際の土地探しで失敗しないための5つのコツを紹介します。
希望条件をMustとWantに分け優先順位をつけておく
注文住宅を建てる際の土地探しでは、まず土地に対する希望条件を「絶対に譲れないMust条件」と「あれば嬉しいWant条件」に分け、それぞれに優先順位をつけておくことが重要です。
土地は一点物であり、市場に出たものは早い者勝ちとなるため、希望に合う土地が見つかった際に迅速に判断できるようにすることが不可欠です。人気の土地はすぐに他の買い手によって購入されてしまうことが多いので、明確な判断基準を持つことが重要です。
例えば、土地の広さと立地の利便性はしばしばトレードオフの関係にあります。優先順位を明確に決めておく必要があります。多少狭くても交通の便が良い場所を選ぶか、交通の便が少し悪くても広い土地を選ぶかは、事前に話し合っておきましょう。
加えて、「南向きであることは譲れない」や「条件に合う鉄道沿線であれば、都心から離れていても構わない」といった、譲れる点と譲れない点をリストアップしておくと、不動産会社に土地を探してもらうときにも役立ちます。
100点満点の物件はなかなか見つからないので、「この条件を満たしていれば購入を検討する」という基準を設けておくことが賢明です。
住みたいエリアはライフプランを考慮して決める
注文住宅を建てる土地を選ぶ際には、将来のライフスタイルや家族構成の変化を見据え、それにどう対応するかを考慮することが重要です。
例えば、将来子供が進学先を豊富に選べるエリアを希望しても、地方に進学という場合もあります。会社までの通勤時間を優先しても、リモートワークの増加や転職の可能性があるかもしれません。
また、馴染みのないエリアに住むことに不安を感じる人もいますが、自分が知らないだけで住みやすい地域の情報を見逃してしまっては残念です。地域の情報を知るために、各自治体のHPを閲覧したり、友人や知人、地元の不動産会社に相談してみることをお勧めします。
土地は家とセットで考える
注文住宅には、土地の購入と家の設計のプロセスがあります。検討時に重要なことは、土地と家の予算を一体として考えることです。土地購入に多額の予算を割り当ててしまうと、家の建築に回せる予算が減少し、結果として理想の住まいを実現できなくなる可能性があります。
さらに、予算内で土地を購入できたとしても、理想の家を建てることが困難な場合があります。土地のことだけを考えて先に購入すると、家の設計はその土地の形状や条件に左右され、「理想の家」ではなく「土地に合わせた家」を建てることになるかもしれません。例えば、「理想を叶えるためには、東西に長い土地が適していた」といったことは少なくありません。
半面、この土地はいまいちと感じたけど設計士に相談したら希望以上の家ができたということも。土地重視型、建物重視型、土地建物バランス型など、全体予算をどのようにイメージするのかも意外と大事です。それぞれのタイプによって土地にあてられる予算も変わってくるため、土地の良し悪しや予算を判断する際は、土地と家をセットで考えたほうがよいでしょう。
そのため、「土地探し+家づくり」をワンストップで伴走してくれる企業を選ぶことを推奨します。
最低限の基礎知識をつけておく
土地探しにおいては、不動産会社や建築会社の説明を聞いたときに、内容がわかる程度の知識は必要になります。
特に、建築会社を介さず自分で土地を探す場合は慎重に行動する必要があります。不動産会社は土地の詳細について説明できますが、その土地で希望する家を建てられるかどうかは判断できるとは限りません。なぜなら、彼らは土地の専門家であって、家の専門家ではないからです。
また建築会社に相談した場合も、最終的に購入の決断をするのは自分です。すべて納得のうえ購入するためにも、土地探しに最低限必要な知識はつけておきましょう。
後悔しないためにも、土地選びに必要な知識を事前に身につけておくことが大切です。
現地は複数回訪れる
いいなと思う土地を見つけたら、必ず現地を訪れることが大切です。異なる時間帯に複数回訪れることで、土地の実際の様子や周辺に住んでいる人たちの雰囲気をより正確に把握し、購入後の失敗を避けることができます。
昼間は魅力的に見えた土地も、夜に訪れてみると外灯が少なく夜道を不安を感じるかもしれません。また、「救急病院が近くていい!」と便利に思った一方で、夜間のサイレン音が気になる可能性もあります。
車で訪れた場合でも、公共交通機関や学校への徒歩ルートを実際に歩いてみることは大切です。駅までの距離が近くても踏切の待ち時間が長かったり、通学路上の公園に危ない人や不良がたむろしていて雰囲気が悪いといったこともあります。
土地購入は早い決断が求められますが、後悔しないためにも現地確認は怠らないようにしてください。
注文住宅を建てる土地はどうやって探す?考えられる4つの方法
注文住宅を建てる土地の探し方を4つ紹介します。それぞれメリットデメリットがあるので、確認しておきましょう。
インターネットで探す
注文住宅用の土地は、不動産ポータルサイトを使ってインターネット上で探すことができます。
インターネットで土地を探すメリットは、条件を絞り込み、一度にたくさんの土地を比較できることです。しかし、最適な土地を選ぶには、土地に関する適切な知識が必要になります。
またポータルサイトの情報は日々更新されるため、追いかけるのが大変です。
条件にあう土地が出ても「ぴったりの土地があります」と教えてくれることはないので、いい土地を見逃してしまう可能性もあるでしょう。
現地を歩いて探す
希望するエリアを実際に歩いて探してみるのも、土地を探す方法の一つです。エリアを訪問すれば、インターネットに出ていないようなお宝物件に出会えるかもしれません。その街や住んでいる人の雰囲気がわかるので、安心して購入しやすくなるでしょう。
ただしこの方法は、非効率なのがデメリットです。「いつかこのあたりに家を建てたいな」と漠然と考えている段階ならよいですが、「来年中に注文住宅を建てたい」など明確な目標があるときには適した方法ではないでしょう。
不動産会社に依頼する
土地探しというと、不動産のプロである不動産会社が真っ先に思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。特に、希望エリアに根ざした老舗の不動産会社は、地元の密接なネットワークと豊富な情報を持っているため、多くを期待できます。
ただし、建築や設計の経験が少ない不動産会社を利用する場合の欠点は、土地選びを設計の観点からサポートしてくれないことです。エリアの特性や、その土地の特徴を説明できても、そこに理想の家が建つかどうかの判断は難しいでしょう。
建築会社に相談する
建築会社は家の建設だけを手掛けると思われがちですが、実際には多くの場合、土地探しのサポートも行っています。
建築会社に土地探しを依頼するメリットは、土地と住宅のコストバランスを考慮しながら、最適な土地選定をしてくれる点です。建築したい家のタイプに応じて、最適な土地の形状やサイズを選び、その土地が宅地として適しているかどうか、造成やライフラインの敷設などに想定外の費用がかからないかなどの判断もしてくれます。
建築会社による土地探しのデメリットは、選んだ土地に満足しても、別の業者で家を建てたくなった場合、その意向を伝えにくい点にあります。
特に建築条件付き土地は、土地だけを購入することはできません。ただし、不動産売買も自社でおこなっている会社なら、土地取引だけに応じてくれることもあるので相談してみるとよいでしょう。
詳しくは以下をご一読ください。
注文住宅の土地探しのチェックポイント
ここからは、土地を探す際の重要なチェックポイントをご紹介します。土地の購入を決断するときに最低限知っておくべきことばかりです。よく理解しておきましょう。
法律上の規制
土地にはさまざまな法律上の規制があり、理解していないと「土地は買ったけれども希望の家を建てられない」ことになりかねません。次の4項目については、説明を受けたときに理解できるようにしておきましょう。
用途地域
都市計画法では、土地を「市街化区域」と市街化する予定のない「市街化調整区域」にわけています。安価で安い!と気に入った土地が市街化調整区域の場合、事前に建築要件を満たしていることを確認する必要があります。原則、住宅の建築は不可とされているからです。
市街化区域には、さらに用途地域が定められています。用途地域とは、土地を住宅地、商業地、工業地など13の用途に区分したものです。購入したい土地がどの区分に属しているかによって、まわりにどんな建物が建つ可能性があるかを予測できます。
住宅地については、さらに低層住居専用地域、中高層住居専用地域などに分けられ、それぞれ建てられる家の高さなどに制限があるので必ず確認しておきましょう。
参考:用途地域|国土交通省
高さ制限・斜線制限
高さ制限とは、前面道路や隣接地の日当たり・通風を確保するために、建物の高さを制限することです。高さ制限には大きく絶対高さ制限と斜線制限(道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限)に分かれ、用途地域などにより定められています。
高さ制限・斜線制限は、家の配置や家の形状に影響を与えます。
建ぺい率・容積率
建ぺい率とは「敷地面積に対する建築面積(家を真上から見た面積)の割合」、容積率とは「敷地面積に対する延床面積(床面積の合計)の割合」のことです。建ぺい率・容積率によって建てられる家の最大の延床面積が制限されます。
例えば購入したい50坪の土地の建ぺい率が50%、容積率が100%だった場合、建築面積は25坪、延床面積は50坪までの家なら建てられます。
建てたい家に希望の広さがあるときには、建ぺい率と容積率はとくに重要になるでしょう。
防火地域・準防火地域
防火地域・準防火地域とは、市街地や駅前など多くの建物が密集するエリア内で火災を広げないために、建築物に対して制限を設けた地域です。防火地域や準防火地域内で家を建てるときには、構造や使用する建材などにさまざまな条件がつきます。
そのため防火地域・準防火地域は利便性はいいものの、建築費が高くなりがちなので、必ず家とセットで検討することが重要です。
土地の状況
法的な制約がない場合でも、特定の状況下では慎重に検討すべき土地が存在します。しかし、一見問題があるように見える土地でも、適切な設計によって解決できるケースも少なくありません。そのため、早急に諦めるのではなく、専門家の意見を聞くことが重要です。
災害リスク
浸水や土砂災害のリスクが高いエリアは、土地購入の際に避けるべきです。災害リスクに関しては、自治体が提供するハザードマップや地域の歴史的な地図をチェックすることで、有益な情報を得ることができます。
地盤の状況
地盤が弱いと、地盤改良に想定外の費用がかかる可能性があります。過去に家が建っていた土地でも安心とは限りません。地盤サポートマップで、周囲の地盤や地歴、治水地形分類などを確認しておくとよいでしょう。
もしくはすでに地盤調査済みの土地を探すのも方法の一つです。そのエリアに強く地盤調査の情報を多く有した会社なら、その土地の地盤の状況と地盤改良にかかる費用がわかる場合もあります。
たとえば、ポラスはエリア内の地盤調査の実績が豊富です。そのため周辺の地盤調査の結果から、その土地の地盤の状況や、地盤改良にかかるおおよその費用が事前にわかります。まずは気軽にご相談ください。
日当たり
快適に暮らせる注文住宅にするには、日当たりも重要です。
ただし日当たりについては、必ずしも南向きでなければならないわけではありません。北向きの土地であっても、建物の配置や形状など、やり方によっては日当たりを確保できる場合があるためです。
設計の工夫次第といえるので、建築会社に土地を見てもらうとよいでしょう。
高低差
土地に高低差があると、造成費用が高額になりがちです。とくに、古い擁壁(ようへき)がある土地は要注意です。現行の建築基準法を満たしていなければやり直しになり、高額な費用が発生してしまいます。購入前に、必ず建築会社に確認してもらいましょう。
接している道路の幅
接している道路の幅が狭い場合、敷地の一部が道路部分とされることがあります。現行の建築基準法では、家を建てる土地は、幅4m以上の道路(地域によっては6m以上の道路)に2m以上接しなければならないとする「接道義務」があるためです。
そのため家の前の道路が4mに満たない場合、道路の中心線から2mのラインまで土地を後退(セットバック)しなければなりません。その場合、実際に使える土地面積は、購入した土地面積よりも狭くなり、希望する広さの家を建てられなくなる可能性があるのです。
インフラの整備状況
希望する土地にこれまで家がたったことがない場合、インフラの整備に費用がかかります。とくに水道管や排水管から敷地までの距離が遠いと、傾斜をつけるために深く掘る必要があり費用が高額になりがちです。インフラが整備されていない土地は、整備するのにどれくらい費用がかかりそうか、事前に建築会社に確認することが大切です。
隣家の状況を把握
隣家がある場合や、将来家が建つ場合があります。隣家が敷地いっぱいに建っていると、採光や通風を確保しにくいようなら、2階リビングなどを検討する必要もあるでしょう。
距離とあわせて気をつけることは、隣家の窓の位置です。あとから建てる家は、互いの視線が気にならないような窓の配置を考える必要があります。隣家とどれくらい距離を保てるのか、隣家はどのような家なのかは、自分が建てる家にも大きく影響するのです。
土地が見つからないときはどうする?
なかなか希望条件にあう土地が見つからないときにはどうすればよいのか、対処法を紹介します。
対象エリアを広げる
条件にあう土地が見つからないときには、まずは対象エリアを広げることを検討しましょう。
例えば、希望の駅から徒歩20分の土地よりも、電車で10分離れた駅徒歩10分のほうが、かえって便利かもしれません。また駅までの移動を徒歩ではなく自転車も含めると、さらに範囲を広げられるでしょう。
土地の条件を緩和する
対象エリアを広げるほかには、南向き、整形地などの条件を緩和することでも土地を見つけやすくなります。
既に家の設計を具体的に考えている場合は選択が限られるかもしれませんが、「リビングは自然光が入るようにしたい」「駐車場から玄関の動線をよくしたい」といった希望は建築上の工夫で解決可能なことが多いです。
候補の土地で理想の家づくりができそうか、建築士に一緒に見てもらうのが、土地で後悔しない極意です。
建築条件付き土地や古家付き土地も視野に入れる
希望に合う土地が見つからない場合、建築条件付き土地や古家付き土地の選択肢も考慮に入れると良いでしょう。
建築条件付き土地は、購入後に特定の建築会社で一定期間内に家を建てることが条件となっています。「この会社で家を建てたい」と心に決めている会社がある場合には不向きですが、そうでなければ有効な選択肢です。
一方、古家付き土地は、築年数が経過して価値がないとされる建物が既に建っている土地を指します。解体には費用が掛かりますが、ライフラインをそのまま利用できることが多いです。
どちらの選択肢も一長一短がありますので、購入前にしっかりとメリットとデメリットを検討しましょう。
まとめ
条件の良い土地は早い者勝ちなので、迅速な判断が求められます。成功する土地探しのコツは、ポイントを把握し、専門家と共に進めることです。これにより、「理想の家が建てられなかった」「予算オーバーになった」といった後悔を避けることができます。
なお、ポラスの「発見とちいえプラザ」では、一人の担当者が土地探しと建物の設計の両方をサポートし、理想の注文住宅の実現をお手伝いします。家とセットで土地を選ぶことで、予期せぬ費用がかかるリスクを減らせます。
日当たりや敷地面積に関する懸念も、設計の段階で解決策を見つけることができます。不安がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
SUPERVISOR
監修者
柳瀬 栄 (やなせ さかえ)
宅地建物取引士 業界歴約30年の実績と 自身の不動産購入経験から 分かりやすい解説と定評がある。
COLUMN
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