建築条件付き土地とは?やめたほうがいい?メリット・デメリットやトラブルを防ぐポイントなどを徹底解説
2024.4.20.
- 土地探し
家を建てる土地を探しているときに「建築条件付き土地」と目にすることがあります。建築条件付き土地とは一体どのような土地なのか、気になっている人も多いのではないでしょうか?
この記事では、建築条件付き土地とはどのような土地なのか、メリット・デメリットも含めて詳しく解説します。建築条件付き土地で家を建てるまでの流れや、トラブルを未然に防ぐ対策なども紹介しますので、ぜひご参考にしてください。
建築条件付き土地とはどういう意味?
建築条件付き土地とは、文字通り条件が付いている土地を指します。付いている条件は、次の2つです。
・決められた施工会社と建築請負契約を結ぶこと
・建築請負契約は、一定期間内に結ぶこと
「決められた施工会社」は、土地の売主であることもあれば、売主指定の施工会社のこともあります。
また「一定期間」は、慣習的に土地契約後3カ月であることがほとんどですが、そうでない場合もあります。
いずれにしても、定められた期間内に家のプランを決めたうえで、施工会社と建築請負契約を結ばなければなりません。期間内に建築請負契約を結べなかった場合には、売買契約は白紙に戻されてしまうためです。
建築条件付き土地と建売住宅・分譲住宅・注文住宅との違い
建築条件付き土地は、土地を売ったあとに建てるため売建住宅とも呼ばれます。建売住宅・分譲住宅・注文住宅との違いを確認しておきましょう。
建築条件付き土地は、建売住宅・分譲住宅と注文住宅の中間的位置づけと考えるとよいでしょう。
建築条件付き土地で注文住宅を建てる流れ
建築条件付き土地で注文住宅を建てる流れは以下のとおりです。
1.土地申し込み
2.住宅ローンの仮審査
3.建物間取り・仕様打合せ
4.建物の請負契約
5.住宅ローン本審査
6.建物詳細打合せ
7.土地引渡し・住宅ローン土地実行
8.着工
9.建物引渡し・住宅ローン建物実行
建築条件付き土地では、土地の売買契約と建物の建築請負契約の2つの契約が必要です。また住宅ローンは建物完成後でないと融資が実行されないため、土地代もローンでまかないたい場合は、一時的に先行融資を受ける「つなぎ融資」が必要になることもあります。
建築条件付き土地のメリット
建築条件付き土地を購入し、注文住宅を建てるメリットを紹介していきます。
建築条件なしの土地よりも割安
建築条件付き土地は、条件がない土地よりも割安で売り出されているケースが多く、比較的安価に購入できます。なぜかというと、建築条件付き土地は家もセットで取引することから、売り手は土地売買だけで利益を出す必要がないためです。
建売よりも設計の自由度が高い
建売住宅はすでに設計が決まっているので、間取りや仕様の希望を反映できません。一方建築条件付き土地であれば、家はこれから建てるので、自分の理想を反映しやすくなります。
ただし完全自由設計ではなく規格型の場合もあるので、こだわりが強い場合は事前にどこまで好みを反映できるのか、確認が必要です。
地盤調査やライフラインの整備が済んでいる
宅地として売り出されている土地であっても、地盤調査がなされていなかったり、ガスや下水道の引き込みがされていなかったりする土地も多くあります。
その点、建築条件付き土地は、地盤調査やライフラインの整備が済んでいる場合があります。引き込み費用を含んだ価格が提示されているケースも多いため、あとから思わぬ費用がかかる心配が少ないこともメリットの一つです。
建築中の様子を確認できる
家の耐久性にかかわるのは、基礎や構造など目には見えない部分です。建売住宅だと、すでに家が建っているため、壁や床に隠れた部分がどのように施工されたか確認できません。
一方建築条件付き土地だと、建築中の様子を自分の目で確かめられます。疑問点を質問したり、気になる部分を手直ししてもらったりできるので、安心と納得感を得やすくなります。
仲介手数料を抑えられる
建築条件付き土地の売主が、家の施工をする建築会社である場合、間に不動産会社が入る仲介契約ではなく売買契約になるため、仲介手数料がかかりません。
仲介手数料は、土地価格が400万円以上の場合、「売買価格×3%+ 6万円+消費税」が上限です。例えば土地代金が2,000万円だとすると、仲介手数料は72.6万円にもなりますが、それが不要になるのでほかに費用を費やせます。
また間に不動産会社を挟む場合でも、仲介手数料がかかるのは土地だけで、建物にはかかりません。
建築条件付き土地のデメリット
建築条件付き土地にはデメリットもあります。購入に際しては、メリット・デメリットの両方を理解したうえで検討しましょう。
建築会社を選べない
建築条件付き土地は、「決められた施工会社と建築請負契約を結ぶこと」を条件として売り出されています。そのため家を建てる建築会社は、自分の自由に選べません。
もし気に入ったデザインの建築会社があったとしても、別の会社に依頼することはできない点はよく理解しておきましょう。
希望を実現できない可能性がある
建築請負契約を結ぶ会社が木造軸組工法で家を建てる建築会社であれば、ツーバイフォーにしたい、鉄骨造にしたい、RC造にしたいなどの希望は叶えられません。
また、完全自由設計ではなく規格型の場合、間取りや内外装はある程度選べても、地下室の設置など特殊な希望は叶えられないこともあります。
スケジュールがタイトになる可能性がある
「一定期間内に建築請負契約を結ぶこと」も、建築条件付き土地に付されている条件の一つです。「一定期間」は、土地契約から3カ月とされるのが一般的です。この期間内に家の仕様のほぼすべてを決める場合には、スケジュールがタイトになる可能性があります。
ただし、多くの場合土地を購入する時点でプラン・仕様・見積りの提示がすでになされており、土地の売買契約後スムーズに建築請負契約に進むのが一般的です。また万一期間内に契約まで至らなければ、契約は白紙解除となり、手付金は戻ってきます。
価格が適正かを判断しにくい
家を建てるときには、複数の建築会社にプランや見積りを出してもらって比較するのが一般的です。
しかし建築条件付き土地では建築会社が決まっているので、相見積りを取れません。他社と価格を比較できないので、出された価格が適正かどうかを判断しにくい点はデメリットです。
建築条件付き土地の条件を外すことはできる?
建築条件付き土地は、条件がつくからこその「建築条件付き土地」です。決まった建築会社で家を建てることを条件に土地代が安く設定されていることも多いため、基本的に条件は外せません。
考えられるとすれば、なかなか土地が売れずに売れ残っている場合です。ただし、売れ残っているのには、なにか事情があると考えられます。またもし外せたとしても、建築条件がなくなる分、価格が高くなる可能性が高いでしょう。
建築条件付き土地でのトラブルを防ぐためにできる対策
建築条件付き土地で家を建てるときに、トラブルを未然に防ぐためにできる対策を解説します。
どんな家が建てられるか把握しておく
建築条件付き土地では、建築請負契約を結ぶ建築会社が決まっています。そのためその会社が建てる家にはどのような特徴があるのか、自分たちの理想にどの程度近づけられるのかを確認しておくことが重要です。
なお、建築条件付き土地での建物プランは、お客様が自由に判断できるとされています。もし、建物価格やプラン・仕様が決定されていたり、かなり限定されている場合は注意が必要です。そういった建築条件付き土地は避けるのが無難です。
家に大きなこだわりがなく、あらかじめ用意されているプランが自分たちの好みとあうのであれば、建築条件付き土地だとお得に家を建てられる場合もあります。まずは、自分たちがどのような家を建てたいのか、明確にしておきましょう。
詳細については「注文住宅の土地探しのチェックポイント」をご覧ください。
土地の売買契約と建築請負契約の同日契約には注意する
建物請負契約は、土地の売買契約締結から一定期間内(多くは3カ月以内)におこなうとされていますが、2つの契約を同日におこなうことも珍しくありません。
それは多くのケースでは、土地の売買契約を締結するまでに、建物についてもプラン・仕様・見積りがおこなわれるのが一般的であるためです。建築会社の提案に納得し、信頼関係が築けている場合には、同日契約でも問題はありません。
しかし、会社側が一方的に提示した参考プランなどで契約を急がされたり、事前の打合せで納得できていない場合は、同日契約は避けましょう。建築請負契約を締結してしまうと、それ以降は契約を解除するには手付放棄となってしまうためです。「この建築会社なら任せられる」と思えるまで、建築請負契約を締結するのは避けましょう。
建築条件付き土地がおすすめの人
建築条件付き土地がおすすめなのは、次のような人です。
・土地が希望エリア内にある
・建売住宅・分譲住宅より間取りや仕様を自由に決めたい
・依頼したい建築会社が決まっていない
・土地決定後、すぐに打合せが始まっても対応できる
建築条件付き土地について調べていると、「やめたほうがいい」との意見を見ることもあり、不安に感じる方もいるようです。
しかし家そのものに強いこだわりがなく、希望のエリアで満足いく家を建てたいと考える人にとっては理想的な土地ともいえます。もし希望の建築会社が、希望のエリア内に建築条件付き土地を販売しているのであれば、それは絶好のチャンスです。ぜひ前向きに購入を検討してみることをおすすめします。
まとめ
建築条件付き土地は、建売住宅・分譲住宅よりも自由度が高いので、費用を抑えつつ理想に近い家を建てたい人に向いています。依頼したい建築会社がまだ決まっていないのであれば、前向きに検討してみることをおすすめします。
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SUPERVISOR
監修者
柳瀬 栄 (やなせ さかえ)
宅地建物取引士 業界歴約30年の実績と 自身の不動産購入経験から 分かりやすい解説と定評がある。