規格住宅とは?セミオーダー・フルオーダー型注文住宅との違いと選び方

2025.7.28.

  • 注文住宅
「注文住宅」と聞くと、すべて自由に設計するフルオーダーを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし実は、注文住宅のなかには「規格住宅」「セミオーダー住宅」「フルオーダー住宅」といったスタイルの違いがあります。
価格を抑えやすいことから人気の規格住宅ですが、人によっては「なんだか物足りない…」と後悔してしまうかもしれません。
この記事では、規格住宅のメリット・デメリットを整理しながら、セミオーダー・フルオーダーとの違いや、理想の家づくりに近づくための選び方を解説します。

規格住宅は注文住宅の一種で、住宅会社があらかじめ用意した間取りや仕様のプランから選んで建てる住宅のことです。注文住宅は大きく3つのタイプに分けることができます。

住宅会社が用意した複数のプランから、間取りや外観、設備仕様を選択して建築します。選択肢は限定されていますが、その分価格が明確で、打ち合わせの負担も軽減されます。

基本となるプランをベースに、間取りの変更や設備のグレードアップなど、一部をカスタマイズできる住宅です。完全自由設計ではないものの、ある程度の自由度を保ちながらコストを抑えられます。

間取り、外観、内装、設備に至るまで、すべてを一から設計する完全オーダーメイドの住宅です。理想を形にできる反面、打ち合わせや決定事項が多く、時間とコストがかかります。
規格住宅は、注文住宅のなかではもっとも自由度が低く、建売住宅とセミオーダー・フルオーダー型注文住宅との中間と考えるとよいでしょう。

規格住宅が多くの人に選ばれる理由は、そのメリットの明確さにあります。

規格住宅最大の魅力は、価格の明確さです。プランごとに建築費用が決まっているため、資金計画が立てやすく、総額が見えやすいのが特徴です。
フルオーダーの注文住宅では、打ち合わせを重ねるうちに「せっかくだから」と仕様をグレードアップしたり、「この設備も追加したい」とオプションが増えたりして、当初の予算を大幅に超えてしまうケースが少なくありません。
一方、規格住宅なら選択肢が限定されているため、想定外の出費を抑えやすく、安心して家づくりを進められます。

規格住宅は、決めるべき項目が整理されているため、意思決定のスピードが格段に早くなります。フルオーダーでは、間取りから始まり、外壁材や屋根材、窓の種類、内装材、設備機器に至るまで、自分たちで決めていかなければなりません。。特に仕事や育児で忙しい世代にとって、毎週末のように打ち合わせに時間を割くのは大きな負担です。
その点、規格住宅なら、限定された選択肢の中から効率的に決定でき、設計・確認のプロセスも短縮されるため、契約から着工までがスムーズに進みます。
実際に、規格住宅を選んだお客様からは「忙しい中でも無理なく家づくりを進められた」「短期間で理想の家が完成して満足している」といった声をよく聞きます。

規格住宅は、モデルハウスや施工事例が豊富で、完成形を具体的にイメージしやすいのも大きなメリットです。実際に建てられた家を見学したり、同じプランで建築された家の写真を見たりすることで、「我が家もこんな感じになるのか」と安心できます。
フルオーダーでは、図面や3Dパースを見ても「本当にイメージ通りになるのかな?」という不安が付きまといがちです。特に初めての家づくりでは、図面を読み解くのも一苦労で、完成してから「思っていたのと違う…」となるリスクは拭えません。
規格住宅なら、実績のあるプランをベースにしているため、品質や暮らしやすさにも安心感があります。多くの家族が実際に住んで検証されたプランだからこそ、失敗のリスクを最小限に抑えやすいのです。

メリットが多い規格住宅ですが、デメリットもあります。後悔しない選択をするためにも、しっかりと理解しておきましょう。

規格住宅のデメリットとして最も多く挙げられるのが、間取りや仕様を家族の暮らしに完全にマッチさせることの難しさです。
例えば、「リビングをもう少し広くしたい」「キッチンの配置を変えたい」「子ども部屋をもう1室欲しい」といった要望があっても、規格プランでは対応できない場合があります。豊富なプランから選べるとはいえ、家族構成やライフスタイルに100%フィットするプランを見つけるのは、現実的に困難です。
住み始めてからの「ここ、もっとこうしたかった」という後悔は、長く住む家だからこそ、日々の生活で感じ続けることになってしまいます。

規格住宅は、一般的な整形地を前提として設計されているため、変形地や狭小地、傾斜地といった個性的な土地には対応しづらいのが現実です。 せっかく立地の良い土地を見つけても、その土地の形状や特徴を活かしきれず、敷地に無駄なスペースが生まれたり、妥協した配置になったりすることも。特に変形地や狭小地が多い都市部では、規格住宅では土地のポテンシャルを十分に引き出せない場合があります。 また、景色の良い方向に窓を向けたい、隣家との距離を考慮した配置にしたいといった、敷地の特性を活かした設計も困難です。土地代が高い地域ほど、敷地を最大限活用できないのは大きなデメリットといえるでしょう。

規格住宅で見落とされがちなデメリットが、完成後の「満足感」や「愛着」の薄さです。
「あの壁の色だけは変えたかったのに…」「この収納の位置がもう少し違えば使いやすかったのに…」といった細かな妥協の積み重ねが、住み始めてから「自分の家」という実感を薄くしてしまう場合があります。
特に、家づくりに興味を持ち、理想のイメージを膨らませていた方ほど、「選ばされた感」「誰かの家に住んでいるような感覚」を抱きやすい傾向があります。家は人生で最も高い買い物であり、長く住み続ける場所だからこそ、「自分たちが創り上げた」という実感は、住み心地とはまた違った特別な価値があるのです。

ここまで規格住宅のメリット・デメリットを整理してきましたが、実際にはどのように選択すれば良いのでしょうか。判断のポイントをお伝えします。

規格住宅が適している方は、家づくりに対して「快適に住めればいい」「手間を省いて完成されたプランから選びたい」という考えをお持ちの方です。
間取りや仕様に強い希望がなく、「効率的に家を建てたい」と考える方にとっては、規格住宅の価格の明確さとスピード感は大きな魅力となるでしょう。特に、「子どもの学年が変わるまでに」など、時間的な制約がある場合には、規格住宅が適しています。

一方で、「暮らしに合った動線にこだわりたい」「この部分だけは譲れない」「家づくりのプロセスも楽しみたい」という想いをお持ちの方には、セミオーダーやフルオーダーの注文住宅をおすすめします。
家づくりは、単に「完成した家を手に入れる」だけでなく、「理想の暮らしを具現化していく創造のプロセス」としての側面があります。建築家や設計者と何度も対話を重ね、自分たちの価値観やライフスタイルを設計図に落とし込んでいく体験は、家への愛着や満足感を大きく高めます。
「ここは妻の希望で、この窓は僕のこだわり」といった家族の物語が詰まった家は、単なる住まいを超えて、人生の大切なパートナーとなるでしょう。多少の手間やコスト増があっても、「創る体験そのもの」に価値を感じる方には、セミオーダーやフルオーダーが適しています。

「セミオーダーやフルオーダーは高そう…」と思われがちですが、実は工夫次第で規格住宅とそれほど変わらない予算で建築できる可能性があります。

セミオーダー・フルオーダー住宅でコストを抑える最も重要なポイントは、「どこにお金をかけるか」をはっきりさせ、優先順位をつけることです。すべてにこだわると、コストはふくらむ一方となるためです。
例えば、料理が趣味の方ならキッチンの仕様や家事動線には予算をかけ、寝室や子ども部屋はシンプルにまとめる。断熱性能を高めるぶん、自然素材の使用は控えめにする。
このように、生活動線や間取り、住宅性能など、暮らしの満足度に直結する部分に注力し、見た目のデザインや装飾的な要素は既成プランや標準仕様を活用すると、メリハリの利いたコスト配分を実現できます。

建築費用は延床面積に大きく左右されるため、ムダを省く「面積の最適化」はコストダウンに効果的です。たとえば廊下を極力減らした「廊下レス設計」にすると、坪数を抑えやすくなります。
また、水回りの集中配置も施工費用の最適化には有効です。キッチン、洗面、浴室、トイレを近い場所にまとめることで、給排水工事や電気工事の効率が向上し、コストを抑えることにつながります。
過剰な設備やオプションを避ける判断力も重要です。「あると便利そう」な設備でも、実際の生活で使う頻度や重要度を冷静に判断し、本当に必要なものだけを選択することで、無駄な出費を避けられます。

土地探しから建築会社に相談すると、土地の条件に最適化された設計が可能になり、結果的にコストを抑えることにつながります。
例えば、変形地や狭小地、傾斜地といった一般的には敬遠されがちな土地でも、設計の工夫次第では魅力的な住まいを実現できます。このような土地は相場より安く購入できることが多いため、浮いた土地代を建物の工夫に回すことで、トータルでのコストパフォーマンスを向上できることがメリットです。
また、土地探しの段階から建築の専門家が関わることで、「この土地なら、この予算で、このような家が建てられる」という総合的な判断ができ、後から「思っていたのと違った」となるリスクを避けられます。

規格住宅、セミオーダー、フルオーダーにはそれぞれ異なる魅力があり、どれが最適かは住み手の価値観やライフスタイルによって決まります。
規格住宅は、価格の明確さとスピード感を重視したい方に適しています。一方で、暮らしへのこだわりや家づくりのプロセス自体を楽しみたい方には、セミオーダーやフルオーダーを選ぶほうが満足度の高い結果につながるでしょう。自分たちの価値観に向き合って、、後悔のない選択をしてください。
私たち発見とちいえプラザでは、セミオーダー・フルオーダーの注文住宅を3つのブランドで展開し、お客様の多様なニーズにお応えしています。規格住宅に魅力を感じながらも「何か物足りない」と感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。土地探しから設計・施工まで、理想の住まいづくりをトータルでサポートいたします。

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ポラテックグループ
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