農地転用とは?農地を宅地化して"得して手放す"方法を費用・手続き・許可まで解説

2026.7.6.

  • 不動産売却
使わなくなった農地、相続したまま手つかずの農地を「どうせ売れない」と諦めていませんか。使う予定もないのに固定資産税は毎年かかり、年に数回の草刈りだけが続く……そんな状態を持て余している方は少なくありません。国に返す制度や相続放棄を調べてみても、費用や手間で結局動けずにいるのではないでしょうか。けれども、農地を宅地へ転用できれば、買い手から対価を得て手放せる可能性があるのです。荒れ地のまま終わらせず、活かして手放すという方法です。本記事では、お持ちの農地が宅地化できるかどうかの見極め方をはじめ、費用や手続き・許可の進み方、後悔しないための注意点までを順を追って解説していきます。

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「相続したものの使い道がない」「売りに出しても問い合わせすら来ない」。農地に対して、そんな印象を抱く方は珍しくありません。「農地は売れない」と感じてしまう背景には、農地が農地法によって利用目的を制限されており、そのままの状態では住宅用地などとしての買い手が見つかりにくい、という事情があります。
ただし、それはあくまで「農地のままでは」という前提での話。宅地などへ転用できれば、住まいを建てたい人や事業者にとって価値のある土地となり、買い手のつく資産として手放せるようになります。まずは「農地のまま」と「宅地化した後」では立場が大きく変わる、という点を出発点にしてみてください。

農地転用とは、田や畑などの農地を、住宅・駐車場・店舗といった農業以外の目的で使えるように切り替えることを指します。登記上の「地目」を、農地から宅地などへ変えていくイメージです。
ただし、農地は食料生産の基盤として農地法で守られているため、誰でも自由に用途を変えられるわけではありません。用途を変えるには、原則として農業委員会を経由した許可申請、もしくは届出という手続きを踏む必要があります。
裏を返せば、こうした手続きを正しく踏んで転用が認められれば、宅地として売却したり、活用したりする道がひらけるということ。「使えない土地」を「使える土地」に変えるための入口が、農地転用なのです。

持て余した農地を手放す方法は、ひとつではありません。国に引き取ってもらう制度や相続放棄といった選択肢もありますが、これらは手数料や負担金を「払って」手放したり、ほかの財産ごと権利を手放したりする方法です。
一方、農地を宅地に転用して売却すれば、買い手から対価を「受け取って」手放すことができます。お金が手に入るだけでなく、固定資産税や草刈りといった負担からも抜け出せる点が、大きな違いといえます。
同じ「手放す」という結果でも、農地のまま動くのか、宅地化してから動くのかで、残るものは大きく変わってきます。どの手段が自分に向いているかは、のちの章で具体的に見比べていきます。

ここまでで「宅地化して売る」という選択肢が見えてきました。ただし、どの農地でも宅地にできるとは限りません。転用が可能かどうかは、土地の立地や区分しだいで変わってきます。
そこでこの章では、ご自身の農地が宅地化できそうかを大づかみに見極めるための手順を、3つのステップに分けて確認していきます。専門家への相談に進む前に、まずは自分で当たりをつけるための地図だと考えてください。

はじめにチェックしたいのは、その農地が都市計画上の「市街化区域」と「市街化調整区域」のどちらに位置しているか、という点です。どちらに該当するかで、宅地化の進めやすさは大きく変わります。
市街化区域とは、すでに市街地が形成されている、もしくは優先して市街化を図っていく区域のことです。この区域内の農地は、農業委員会への届出によって転用できる類型があり、手続きは比較的スムーズに進みやすい傾向があります。
もう一方の市街化調整区域は、市街化を抑制する方針の区域にあたります。こちらは原則として許可が必要で、宅地化のハードルは高くなりがちです。
自分の農地がどちらにあたるかは、市区町村の都市計画課の窓口や、自治体のホームページなどで調べられます。まずはここから手をつけるのが近道です。

次に確認したいのが、農地そのものの「区分」です。農地は、営農条件や立地によって「農用地区域内農地」「甲種農地」「第1種〜第3種農地」などに区分されており、このどれにあたるかで転用できるかどうかの大枠が決まります。
一般に、農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地は、守るべき優良な農地と位置づけられ、原則として転用は認められにくく、例外的に許可される場合を除いてハードルの高い農地とされています。
これに対して、市街地やその周辺にある第3種農地は、原則として許可の対象となる区分です。第2種農地にも転用の余地はありますが、「ほかに転用に適した土地がないか」などを踏まえて個別に判断されます。
さらに、「生産緑地」や「農業振興地域」の指定がある場合は、追加の手続きや制限がかかることがあります。あわせて確認しておきましょう。農地区分そのものは、農業委員会の窓口で確認できます。

農地区分 転用の可否 特徴・考え方
農用地区域内農地 原則不可 農業に利用すべき区域内の農地。例外もほとんどありません
甲種農地 原則不可 市街化調整区域内で特に良好な営農条件を備えた農地
第1種農地 原則不可 集団的に広がる優良農地など。例外的に許可される場合のみ
第2種農地 条件により可 周辺に転用へ適した土地があるかなどを勘案し、ケースごとに判断されます
第3種農地 原則として可 市街地やその周辺にある農地。転用が認められやすい区分

※「生産緑地」や「農業振興地域」の指定がある場合は、追加の手続きや制限があります。農地区分については農業委員会で確認できます。

ステップ1で分かった「区域」と、ステップ2で分かった「農地区分」を突き合わせると、転用の見込みがおおまかに見えてきます。たとえば、市街化区域内の第3種農地であれば宅地化のハードルは比較的低く、市街化調整区域内の甲種農地であれば難しい、といった具合です。
このとき、登記事項証明書で土地の地目や所在、面積を確認しておくと、その後の判断や相談がスムーズに進みます。
ただし、区域と区分の組み合わせは判断が分かれるケースも多く、自分だけで結論を出すのは難しいものです。見極めに迷う場合は、農地転用の実績がある専門家や事業者に相談すると、現実的な見通しが立てやすくなります。

「使い道は決まっていないけれど、とりあえずそのままに」。そう考えて農地を放置すると、負担やリスクは時間とともに静かに大きくなっていきます。ここからは、放置することで生じやすい代表的な3つのリスクを確認していきます。

まず避けにくいのが、税金と管理の負担です。実際には使っていない農地でも、所有している限り、固定資産税は毎年かかり続けます。
さらに、雑草が伸びれば近隣への配慮から刈り取りが必要になり、定期的な管理の手間や費用も発生します。遠方に住んでいれば、そのたびに足を運ぶ負担も加わるでしょう。
こうして「使ってもいないのに、お金と労力だけが出ていく」状態が、年々続いていくことになります。

2つ目は、世代をまたぐ負担です。今のうちに手を打たなければ、いずれ子や孫がこの農地を相続することになります。
活用のあてがない土地は、次の世代にとっても同じ悩みの種になりかねません。区分や境界があいまいなまま引き継がれれば、調べ直す手間も次の代に回ってしまいます。
「自分の世代で決着をつけておく」という判断は、土地を受け継ぐ家族への思いやりにもなります。

3つ目に挙げられるのが、時間が経つほど取りうる選択肢が減っていくという問題です。手入れをしない期間が長くなるほど、農地は荒れていき、土地としての印象や評価も下がりやすくなります。
また、周辺で宅地開発が進むタイミングは売却の追い風になりますが、放置しているとその好機を逃しかねません。
裏を返せば、早めに動くほど、選べる手放し方の幅は広く保てるということ。「いつかやろう」を「今、考えてみる」に変えることが、結果的に損を防ぎます。

持て余した農地を手放す方法はいくつかありますが、それぞれ手元に残るものが大きく異なります。ここでは代表的な3つの方法を比べ、もっとも納得できる手放し方を考えていきましょう。

手放し方 お金の出入り 土地・条件 主な注意点
相続土地国庫帰属制度 払う(手数料・負担金) 一定の要件を満たす土地 審査手数料は1筆14,000円。負担金は原則1筆20万円が基本で、土地の種目・区域により変動
相続放棄 なし まだ相続していない農地 預貯金など他の財産もすべて放棄。原則3か月以内
宅地化して売却 受け取れる 転用できる区域・区分の農地 転用・造成の費用や税金により、手元に残る額は変わる

※金額・要件は2026年6月時点の情報です。最新の内容は法務省などの公的機関でご確認ください。

相続土地国庫帰属制度とは、相続した土地を、定められた要件を満たす場合に国へ引き取ってもらえる仕組みです。「引き取ってもらえる」と聞くと手軽に思えますが、利用には審査手数料と負担金がかかります。
審査手数料は土地1筆あたり14,000円、承認後に納める負担金は原則として1筆20万円が基本です。ただし、土地の種目や区域に応じて金額が算定されるため、実際の負担額は土地によって変わります。
つまりこの制度は、「手放せる」とはいえお金を払って手放す方法だということ。費用が出ていく前提である点は、最初に押さえておきたいポイントです。

相続放棄もまた、農地を手放すための選択肢に数えられます。ただしこれは、相続するかどうかを決める段階でのみ選べる方法だという点に注意が必要です。
相続放棄によって農地そのものは手放せますが、農地だけをえらんで放棄するということはできません。預貯金や自宅など、ほかのプラスの財産もまとめて手放すことになります。
さらに、原則として「相続の開始を知った時から3か月以内」という期限があり、すでに相続して名義が自分になっている農地については選べません。利用できる条件にも期限にも縛りがあり、選べる場面はかなり限られます。

そして3つ目が、宅地へ転用したうえで売却するという方法です。前の2つと違い、買い手から対価を受け取って手放せるのが最大の特徴。お金が手元に残るうえ、固定資産税や管理にともなう負担からも解き放たれます。
農地のまま売るより高い価格がつく可能性があり、立地によっては住宅用地として一定の需要が見込めます。
ただし、売却で得られる金額がそのまま手元に残るわけではありません。転用や造成にかかる費用、売却益にかかる税金を差し引いた「手取り」で考えることが大切です。実際にいくら残るのかという視点は、のちほど費用の章でくわしく見ていきます。

農地を宅地化して売るには、相談から売却まで、いくつかの手続きを順番に進める必要があります。ここからは、その道のりを4つのステップに分けて見ていきます。

まずは農業委員会や専門家に相談し、その農地が転用できる見込みがあるかを確かめます。
区域や農地区分、土地の面積などに応じて、転用できるかどうかや進め方は変わってきます。いきなり申請に踏み込むのではなく、まず見通しを立ててから動くのが安全です。
この段階で大まかな道筋が見えていると、後の手続きがぐっとスムーズになります。

おおよその見通しがついたら、農業委員会へ転用の手続きを申し入れます。売却を伴う転用は「農地法5条」、自分で使うための転用は「農地法4条」の手続きにあたります。
相続した農地を売って手放すケースは、多くがこの5条にあたると考えてよいでしょう。
市街化調整区域などでは都道府県知事などによる「許可」が、市街化区域では農業委員会への「届出」が求められ、農地がどの区域にあるかで手続きの種類が分かれます。必要書類をそろえて提出し、申請が認められると、許可を証する書面(許可証)が交付されます。

許可や届出が受理されたら、宅地として使えるよう土地を整える造成工事を行います。
ここで欠かせないのが、手順の順番を守ることです。許可が下りる前に工事へ着手すると、無断転用とみなされ違反となってしまいます。かならず手続きを済ませてから工事に取りかかります。
どんな工事になるか、費用がいくらかかるかは、土地の状態や広さしだいです。あらかじめ見積もりを取って見込みを立てておくと、安心して進められます。

工事を終えたら、許可証などをもとに、登記上の地目を「農地」から「宅地」へ変更するなど、必要な手続きを行います。
ここまで済ませると、ようやく宅地として売り出せる状態が整います。
買い手との契約や引き渡しを経て、農地を手放す手続きはすべて完了します。長く感じる道のりですが、ひとつずつ進めれば着実にゴールへ近づきます。

ここまで見てきたように、転用の申請・造成・売却は、それぞれ専門性の高い手続きです。これらを別々の相手に依頼すると、窓口が増え、手間も時間もかかります。
そこで、これらを一括で引き受ける事業者に任せるという選択肢があります。相談から売却までをまとめて任せられれば、所有者の負担を減らせる場合があります。
「何から始めればいいか分からない」という段階でも、相談から売却まで伴走してもらえるのが心強いところ。まずは相談してみるだけでも、次に進むべき一歩が見えてくるはずです。

宅地化にはいくらかの費用がかかりますが、大切なのは「いくらかかるか」よりも「最終的にいくら手元に残るか」です。農地のまま持ち続けて税金を払い続ける場合とも比べながら、費用の内訳と手取りの考え方を見ていきましょう。

農地を保有し続けるかぎり、固定資産税は毎年発生し続けます。目安は「固定資産税評価額 × 約1.4%」で、たとえば評価額500万円なら年に約7万円、10年で約70万円が出ていく計算です。
反対に、宅地化して売却すれば、農地のまま売るよりも高値がつく可能性があります。価格は立地や広さで変わるため、路線価などからおおよその目安を調べられます。
費用や税金を差し引いても手元に残る金額(手取り)で、「払い続ける」か「受け取って手放す」かを比べること。この見方こそ、宅地化を検討するときの判断の軸になります。

宅地化して売る際にかかる費用と税金は、おもに次の4つに分けて考えると整理しやすくなります。
転用・造成・登記にかかる費用:土地を整える造成費や、転用手続き・登記の費用がかかります。かかる金額は、土地の状態や広さによってばらつきがあります。
専門家へ依頼する場合の費用:行政書士や土地家屋調査士などへの報酬です。どこに頼むか、どんな手続きを依頼するかによって、費用は前後します。
売却益にかかる税金:売って利益が出た場合、その利益(譲渡所得)に税金がかかります。所有期間が5年を超えるかどうかで税率が変わります。
登記にかかる費用:地目変更登記には登録免許税はかかりません。ただし、どの登記を行うかによって、かかる費用は変わってきます。
いずれも案件によって変わるため、早い段階で見積もりを取り、「手取り」を試算しておくと判断しやすくなります。

農地を売るという決断は、一生に一度あるかないかの大きな選択です。知らないまま進めると、思わぬトラブルを招くこともあります。ここでは、トラブルを避けるために押さえておきたい注意点をまとめます。

まず注意したいのが、手続きの順番です。許可や届出を受ける前に工事を始めると、無断転用として法律違反になります。
無断転用は、是正指導や原状回復命令の対象となり、悪質と判断された場合には罰則が科されることもあります。
「早く進めたい」という気持ちはあっても、必ず手続きの順番を守って進めることが大切です。

相場を知らないまま相談すると、本来の価値より安く買い取られてしまうおそれがあります。
これを避けるには、1社だけで決めず、複数の事業者に相談して、提示内容や説明の丁寧さを比べることが有効です。
あわせて、転用や宅地化の実績がある相手かどうかも見極めのポイント。実績のある事業者ほど、現実的な見通しを示してくれることが期待できます。

売ったあとに土地の不具合が判明すると、売主が責任を追及される場合があります。これを契約不適合責任といいます。
こうした事態を防ぐには、土地の状態や境界を前もって確かめ、わかっている情報を正確に共有しておくことが欠かせません。
契約内容をよく理解したうえで進めれば、後々の不安を減らし、安心して手放すことができます。

最後に、農地転用について多くの方が抱く疑問にお答えします。

あります。農用地区域内農地や甲種農地、第1種農地などは、守るべき優良な農地とされ、原則として許可が下りにくい区分にあたります。
これに対し、市街地に近い第2種・第3種農地は、比較的転用が認められやすい傾向にあります。
まずはご自身の農地がどの区分にあたるかを確認することが、見通しを立てる第一歩です。

どちらが費用を負担するかは、結んだ契約の内容しだいです。
売主負担・買主負担・折半など、案件や地域によってさまざまなケースがあります。
売買を伴う場合は、あらかじめ負担の取り決めを契約で明確にしておくと、後のトラブルを防げます。

転用して実際に宅地などとして使う場合は、登記上の地目変更が必要です。
宅地などへ現況が変わった場合は、変更があった日から原則1か月以内に申請する必要があります。
地目変更登記の手続きは、土地家屋調査士などに任せるのが一般的です。

市街化区域での届出は、比較的短い期間で完了するケースが多く見られます。
一方で市街化調整区域の許可は、審査に数か月を要することもあります。
どちらにせよ、ゆとりをもったスケジュールで臨むことをおすすめします。

申請後、審査を経て許可されると、許可を証する書面(許可証)が交付されます。
交付までにかかる期間は、申請する窓口や案件ごとに変わります。
この書面は、その後の地目変更登記などで必要になるため、大切に保管しておきましょう。

使い道のない農地も、宅地に転用できれば、対価を受け取って手放せる資産に変わります。大切なのは、まずご自身の農地が「市街化区域か調整区域か」「どの農地区分か」を確かめ、宅地化できる見込みがあるかを知ることです。そのうえで、国に返す・相続放棄・宅地化して売却といった手放し方を、手元に残るお金で比べてみてください。転用や造成、売却の手続きは専門的ですが、まとめて任せられる事業者に相談すれば、負担を抑えながら進めやすくなります。先祖や自分が守ってきた土地を、荒れ地のまま終わらせるのではなく、新しい住まいが建つ土地として活かす。その第一歩として、まずは「自分の農地は宅地化できるのか」を確かめるところから始めてみてください。

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ポラテックグループ
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