土地売却の相場はいくら?路線価・公示価格・実勢価格の使い分けと査定のコツ

2026.5.31.

  • 不動産売却
「自分の土地はいくらで売れるのか」。土地売却を考え始めたとき、最初に気になるのがこの疑問ではないでしょうか。土地の売却相場を正しく把握するには、実際の成約事例を中心に、公示地価や路線価などの公的指標もあわせて確認するのが基本です。さらに、仲介か買取かの選択によって20〜30%程度価格が変わるなど、実際の売却価格は土地の個別条件や売却方法によって大きく変動します。本記事では、土地の相場を算出する5つの方法と、査定の種類・査定額の見極め方を、首都圏(埼玉・千葉・東京)の最新動向も交えながら順を追って解説します。

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土地には目的や評価主体に応じて5つの価格が存在し、これを「一物五価」と呼びます。売却相場を正しく把握するには、この5つの違いを理解したうえで、どれを売却相場の基準にすべきかを見極めることが出発点です。それぞれの公表主体・公表時期・公示地価との関係性を順に確認していきましょう。

実勢価格とは、実際に市場で売買が成立した価格のことです。土地売却の相場を考えるうえで最終的な答えとなる指標であり、後述する公的な価格はすべて、この実勢価格を推定するための手段にあたります。実勢価格は需要と供給のバランスで変動するため、同じエリアの土地でも時期や買主のニーズによって価格が大きく動く点が特徴です。

公示地価は国土交通省が毎年3月、基準地価は各都道府県が毎年9月に発表する土地の標準価格です。いずれも適正な取引価格の指標として活用される公的な評価額であり、エリア全体の地価動向を把握する際の基準となります 。実勢価格は公示地価のおよそ1.1倍が目安とされ、需要が集中するエリアではそれ以上になるケースもあります。なお、この倍率は業界における実務上の目安で公的な根拠はなく、エリアによって1.0〜2.0倍まで変動する点に留意が必要です。

相続税路線価は、国税庁が毎年7月に公表する、道路に面した土地1㎡あたりの評価額です。相続税や贈与税の算定に使われる公的指標で 、公示地価のおよそ80%が目安とされています。「路線価÷0.8」で実勢価格を逆算できるため、相続で引き継いだ土地の相場を把握したい場合にも役立つ指標です。

固定資産税評価額は、市区町村が3年に一度算出する評価額で、公示地価のおよそ70%が目安です。毎年4〜6月頃に届く固定資産税納税通知書で確認でき、「評価額÷0.7×1.1」の計算式で実勢価格の概算を出せます 。手元の納税通知書だけで相場感をつかめるため、検討初期に最も手軽に使える指標といえます。

査定価格は、不動産会社が売主の依頼を受けて算出する「売れる見込みの価格」です。前述の4つの公的指標と異なり、土地の形状・接道状況・周辺需要などの個別条件を反映した提案価格である点が最大の特徴です。同じエリアの土地でも査定額が会社によって異なるのはこのためで、査定の種類と見極め方は本記事後半の 「土地売却の「査定」とは?相場を確定させる査定の種類と見極め方」で詳しく解説します

5つの価格の特徴を一覧でまとめました。相続・売却検討・節税など、自分の目的に応じて参照すべき指標を確認してみましょう。

価格の種類 公表主体 公表時期 公示地価との関係 主な用途
実勢価格 市場での取引 随時 公示地価の約1.1倍が目安 売却相場の最終判断
公示地価・基準地価 国土交通省・都道府県 公示:3月/基準:9月 他の指標の基準 適正取引の指標
相続税路線価 国税庁 毎年7月 公示地価の約80% 相続税の算定
固定資産税評価額 市区町村 3年に一度(納税通知書で毎年確認可) 公示地価の約70% 固定資産税の算定
査定価格 不動産会社 依頼時 個別要因を反映 売却価格の見込み
※公示地価との関係は実務上の目安値であり、土地の所在地や時期によって変動します。各指標の公表元は以下の通りです。・公示地価・基準地価:国土交通省(https://www.land.mlit.go.jp/) ・相続税路線価:国税庁「財産評価基本通達」14 ・固定資産税評価額:総務省「固定資産評価基準」(公示価格の7割を目処)

5つの指標は「どれが正しいか」ではなく「目的に応じて使い分けるもの」です。売却相場を知りたい場合は実勢価格を中心に、公示地価・路線価・固定資産税評価額を組み合わせて多角的に把握し、最終的には不動産会社の査定で個別の売却価格を確定させる流れが基本となります。

5つの価格の違いを理解したら、次は実際に手を動かして相場を調べるフェーズです。国が公開するデータベースから身近なポータルサイトまで、無料で使える調査方法が5つあります。それぞれの使い方と、実勢価格に換算するための計算式を順番に確認していきましょう。

不動産情報ライブラリは国土交通省が運営する無料サービスで、地図上でエリアを指定するだけで近隣の実際の取引価格を確認できます。令和6年4月に運用が開始されたサービスで、価格情報を扱っていた「土地総合情報システム」の後継にあたります。地価公示・取引価格情報に加え、防災・周辺施設・都市計画情報を地図上に重ね合わせて表示でき、実勢価格を直接確認できる代表的な方法のひとつです。取引時期・面積・用途地域などで絞り込めるため、自分の土地と条件が近い事例を探しやすい点がメリットといえます。
不動産情報ライブラリは(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/ ) から無料で利用できます。

標準地・基準地検索システムでは、全国の公示地価・基準地価を地点ごとに検索できます。都道府県・市区町村・用途地域などの条件で標準地を探し、自分の土地に近い地点の単価を確認する流れです。実勢価格の目安を算出する際は、「公示地価×面積×1.1倍」で概算を出せます。エリア全体の地価水準を把握したい場合に有効な方法です。
標準地・基準地検索システムは国土交通省の公式サイト(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)で利用できます。

国税庁の路線価図では、道路ごとに設定された1㎡あたりの評価額を確認できます。住所から路線価図を呼び出し、土地が面している道路の単価に面積を掛けることで、相続税評価額の概算が算出できます。実勢価格を逆算する場合は「路線価÷0.8」で1㎡単価を求め、これに面積を掛けると目安が出せます。相続で引き継いだ土地の相場を把握したい場合に特に有効な方法です。
路線価図は国税庁の公式サイト(https://www.rosenka.nta.go.jp/)で確認できます。

毎年4〜6月頃に届く固定資産税納税通知書の「価格」欄で固定資産税評価額を確認できます。「評価額÷0.7×1.1」の計算式で実勢価格の概算を出せるため、手元の資料だけで今すぐ相場感をつかみたい場合に最も手軽な方法です。なお納税通知書を紛失している場合でも、市区町村役場で「固定資産評価証明書」を取得することで同じ情報を確認できます。

不動産ポータルサイトでは、近隣で売りに出されている土地の売出価格を確認できます。ただし売出価格はあくまで「売主の希望価格」であり、最終的に成約した価格とは平均5〜10%程度の乖離があり、売却が長期化するケースでは10%を超えることもあります 。そのため売出価格の90〜95%程度を成約価格の目安として捉えるか、ほかの方法と組み合わせて精度を高める使い方が適しています。リアルタイムでエリアの売り出し動向を把握できる点が、ポータルサイトならではのメリットです。

5つの調べ方と、それぞれの算出式を一覧にまとめました。自分の手元にある資料や、知りたい情報に応じて使い分けましょう。

方法 使うデータ 調べる場所 実勢価格の算出式
①不動産情報ライブラリ 近隣の取引価格 国土交通省のサイト 取引事例を参考にする
②標準地・基準地検索システム 公示地価・基準地価 国土交通省のサイト 公示地価×面積×1.1倍
③路線価図 相続税路線価 国税庁のサイト 路線価÷0.8(1㎡単価
④固定資産税納税通知書 固定資産税評価額 手元の通知書 評価額÷0.7×1.1
⑤不動産ポータルサイト 売出価格 ポータルサイト 売出価格の90〜95%程度
※算出式は実勢価格を推定するための一般的な目安であり、土地の個別条件や市況によって実際の成約価格は変動します。

精度の高い相場感をつかむには、5つの方法を単独で使うのではなく、複数を組み合わせて多角的に検証するのがおすすめです。たとえば「①不動産情報ライブラリで成約事例を確認」→「②公示地価で平均水準を確認」→「⑤ポータルサイトで現在の売り出し動向を確認」という流れで調べると、エリアの相場が立体的に見えてきます。

土地売却の相場を考えるうえで見逃せないのが、売却方法によって相場そのものが20〜30%程度変わるという事実です。ここでは仲介・買取・買取保証という3つの売却方法それぞれの相場水準を確認します。さらに、手数料や税金まで差し引いた「手取り額」で比べると結果が逆転するケースもあるため、実質の手残りまで含めて見ていきましょう。なお、それぞれの手続きの具体的な違いや契約不適合責任、向いているケースの判断は、別記事「はじめての土地売却、流れと不動産会社の選び方【埼玉・千葉版】」でも詳しく解説しています。

仲介は不動産会社が買主を探す売却方法で、市場価格に近い金額で売れる可能性が高い点が最大のメリットです。ただし 売却までに3〜6ヶ月かかるのが一般的で、人気エリア以外では長期化するリスクもあります。また、個人間の取引となるため、売却後に土地の欠陥が見つかった場合の契約不適合責任は売主が負うのが原則で、事前に土地の状況をしっかり把握しておくことが重要です。時間に余裕があり、できるだけ高値で売却したい売主に向いた方法といえます。

買取は不動産会社が直接買い取る方法で、最短1週間で現金化できる一方、価格は 市場価格の70〜80%が目安です。仲介手数料が不要で契約不適合責任も免除されるのが一般的なため、売却後のトラブルリスクを抑えられる点もメリットです。早期の現金化を優先したい場合や、土地に瑕疵があり仲介での売却が難しい場合に適した選択肢となります。

買取保証は、一定期間は仲介で高値を狙い、期限内に売れなければ事前合意した価格で買い取ってもらう仕組みです。仲介期間中は市場価格、期限後は買取価格となり、「高値挑戦」と「期限確定」を両立できる選択肢といえます。契約不適合責任は、仲介で成約した場合は売主が負い、買取に移行した場合は免除されるのが一般的です。売却期限が決まっているケースや、転居・住み替えのタイミングが固定されているケースに向いた方法です。

3つの売却方法の違いを、価格・期間・手数料などの観点でまとめました。自分の状況に合った選択肢を検討する際の参考にしてください。

項目 仲介 買取 買取保証
価格の目安 市場価格に近い金額 市場価格の70〜80% 期間内は市場価格に近い/期間後は70〜80%
売却期間 3〜6ヶ月 最短1週間 一定期間+期限後
仲介手数料 かかる 不要 仲介期間中はかかる
契約不適合責任 売主が負うのが原則 免除が一般的 仲介成約時は売主/買取移行後は免除
向いている人 時間に余裕があり高値を狙いたい 早期現金化・確実性を重視 両方のメリットを取りたい
3つの方法のうち、どれが最適かは「売却に使える時間」「現金化の急ぎ度合い」「土地の状態」によって変わります。仲介で高値を狙う場合でも、長期化リスクを踏まえて事前に買取の見積もりを取っておくと、判断材料が増えるためおすすめです。

公示地価や路線価から算出した相場は、あくまでエリア全体の平均値です。実際の売却価格は、土地ひとつひとつの個別条件によって大きく変動し、同じエリアでも2倍近い差がつくことも珍しくありません。ここでは、不動産会社が査定時にスコアリングする主な要因を順に確認していきます。自分の土地がどの要因でプラス評価・マイナス評価を受けやすいかを把握しておくと、査定額を見たときの納得感が変わってきます。

最寄駅からの距離は、土地の価値を左右する最も重要な要素のひとつです。首都圏では「駅徒歩10分以内」の需要が安定して強く、徒歩1分の差が査定額に大きく反映されるエリアもあります。同じ駅でも、利用者数や乗り入れ路線の数によって相場水準が変わるため、駅力(駅自体の集客力)も価格形成の要素として見ておくことが大切です。

整形地(長方形・正方形)と比較して、不整形地や旗竿地は建築プランの制約から15〜30%ほど減価されるのが一般的です。これは実勢価格ベースでの業界目安であり、相続税路線価の評価で適用される不整形地補正率(最大40%減価、補正率0.60〜1.00)とは別概念です。形状による減価は建物の建てやすさと直結するため、買主の用途によって影響度が変わります。たとえば駐車スペースや庭を確保しやすい整形地はファミリー層に好まれる一方、旗竿地でも価格を抑えて建築できる点を魅力と感じる買主層もいるため、エリア需要と組み合わせて評価する必要があります。

前面道路の幅員が4メートル未満の土地はセットバックが必要となり、実質的な建築可能面積が減少します。また、建築基準法で定められた接道義務(幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接すること)を満たさない土地は再建築不可となり、相場が大幅に下がる要因となります。逆に幅員の広い前面道路に面した土地は車の出入りがしやすく、相場にプラスの影響を与えます。

用途地域は土地に建てられる建物の種類を定めるルールで、建ぺい率・容積率は建築可能な延床面積を左右します。数値が高いほど大きな建物を建てられるため土地の価値も上がり、商業地域は住宅地域の数倍の単価になることもあります。一方、第一種低層住居専用地域のように建物の高さや用途が厳しく制限される地域では、相場が落ち着きやすい傾向があります。

土地の広さは総額に直結するため、広すぎる土地は買主層が限られ、坪単価が下がる傾向があります。一方、狭小地は建築できる建物が限られますが、都心部ではミニ戸建て需要から坪単価が高くなるケースもあり、エリアによって評価が大きく変わります。自分の土地の面積がそのエリアで「標準的か」「広めか」「狭めか」を確認することで、相場感の精度を上げられます。

地盤が弱い土地は地盤改良費用が必要となり、その分が査定額から差し引かれます。傾斜地は造成費用がかかり、日当たりが悪い土地は買主からの人気が下がるため、いずれも相場に下押し圧力がかかる要因です。これらは現地調査ではじめて判明することも多く、机上査定と訪問査定で査定額が変わる主因のひとつでもあります。

隣地との境界が確定していない土地は、将来のトラブルリスクから買主に敬遠されがちで、確定測量図の用意に30〜80万円の費用がかかることもあります。また、古家付きの土地は解体費用(木造30坪で90〜200万円が目安)を見込む必要があり、更地にするかどうかで売却戦略が変わります。事前に整備しておくか、現状のまま売却するかの判断は、売却までの時間と費用対効果のバランスで決めることになります。

周辺環境は、現在の土地評価と将来性の両面から相場に影響します。嫌悪施設(工場・墓地・高圧線など)があれば相場を下げ、再開発計画や新駅設置といった好材料はエリアの将来性として相場を押し上げる要因になります。首都圏では主要駅周辺で再開発計画が進行しているエリアもあるため、自分の土地がそうした計画の影響圏内にあるかどうかを確認することが重要です。

不動産の売却には繁忙期(2〜3月、9〜10月)があり、この時期は買主の需要が高まり成約価格も上振れしやすくなります。新生活のスタートや人事異動のタイミングと重なるためで、繁忙期に向けて売却活動を開始すれば、内見数・成約スピードともに有利に働きやすい傾向があります。また金利上昇局面では買主の購買力が変わるため、売却タイミングの見極めが重要です。

自分で調べた相場はあくまで目安であり、「実際にいくらで売れるか」を知るには不動産会社の査定が欠かせません。査定には机上査定と訪問査定の2種類があり、それぞれ適したタイミングが異なります。ここでは査定の種類と、査定額が適正かどうかを見極めるためのポイントをお伝えします 。

机上査定は、土地の所在地・面積・形状などの基本情報だけで概算価格を算出する方法です。現地訪問が不要なため、最短当日〜数日で結果が出ることもあり、検討初期段階でエリアの相場感をつかむのに適しています。ただしあくまでデータ上の予測価格であり、土地の現況を反映していないため、正確な売却価格を知るには次にご紹介する訪問査定が必要です。複数社にまとめて依頼して、おおよその相場レンジを把握する用途で活用するのがおすすめです。

訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に現地を訪れ、道路との高低差・越境物の有無・周辺環境などを直接確認する方法です。所要期間は1〜2週間と机上査定より長いものの、提示される価格の精度が格段に高くなります。実際に売却活動に入る段階では、机上査定で候補を絞り込んだうえで、信頼できそうな数社に訪問査定を依頼するのが一般的な流れです。訪問時に担当者の対応や説明の丁寧さを確認できるため、依頼先の不動産会社を見極めるうえでも重要なステップとなります。

査定額は各社が持つ取引事例データや販売戦略によって変動します。同じ土地でも、地域に強い会社と他エリアが主力の会社では、得意とする買主層や成約事例の蓄積量が異なるため、提示される金額に差が出るのが一般的です。取引事例・路線価・レインズデータ(不動産業者間で物件情報や成約事例を共有する物件情報システム。東日本・中部・近畿・西日本の4機構が運営)などの根拠資料を明確に提示できる会社ほど、地域の需要を正確に把握しており、適正な売却価格を算出できると判断できます。

査定を依頼する際は、以下の5つの根拠を求めましょう。
・類似取引事例(近隣で同条件の土地が実際にいくらで成約したか)
・路線価からの逆算(公的指標とどの程度整合しているか)
・公示地価(エリア全体の地価動向との整合性)
・再販可能性(買取の場合、不動産会社が転売する際の見込み)
・市場トレンド(売却時期の市況をどう読み込んでいるか)
これら5つを根拠資料として提示できる会社は、地域市況を正確に把握している可能性が高く、信頼性の判断材料になります。逆に「相場の1.5倍」など根拠の薄い高額査定を提示する会社には注意が必要で、契約獲得目的で高値を出し、実際の売却段階で値下げを迫られるケースもあります。査定額の高さだけで会社を選ばず、必ず根拠資料の中身を確認することが、適正な売却価格にたどり着くための第一歩です。


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相続で引き継いだ土地の相場は、通常の売却とは異なる観点で判断する必要があります。「いつの時点の価格で考えるか」「路線価をどう活用するか」「所有期間の引き継ぎが相場に与える影響は何か」。この3点を押さえることで、相続土地ならではの相場感が見えてきます。なお、相続登記の手順や空き家特例・取得費加算の特例、共有名義の解消といった相続特有の詳しい内容は、別記事「相続した土地を売るには何から始める?税金・名義変更・手順を完全解説 」で解説しています。

相続税の申告では「相続発生時」の路線価が基準になりますが、売却相場の判断は「売却予定時」の実勢価格で考える必要があります。相続から売却まで時間が空く場合、地価の変動を反映した最新の相場を確認することが重要です。たとえば相続から3年経過後に売却する場合、その間の地価上昇分が売却価格に反映される一方、特例の適用期限切れにも注意が必要となります。相続時の路線価と売却時の実勢価格は別の数値として整理し、それぞれの目的に応じて使い分けましょう。

相続税路線価は相続税の申告に使うだけでなく、「路線価÷0.8」で売却相場の目安を算出する指標としても活用できます。相続時に把握した路線価の資料を、売却検討時の相場判断にそのまま流用できる点が便利です。相続発生時に税理士から受け取った申告関連資料は、売却検討時にも有効な情報源となるため、廃棄せず保管しておくことをおすすめします

相続した土地を売却する場合、所有期間は親が取得した日から起算されます。そのため多くのケースで5年超の長期譲渡所得(税率20.315%)が適用され、税負担が軽くなる分、実質的な手取り額が高くなる傾向があります。短期譲渡所得(税率39.63%)と長期譲渡所得では税率が約2倍違うため、所有期間の引き継ぎは相続土地ならではの大きなメリットといえます 。
※税率は国税庁タックスアンサーNo.3208・No.3211(譲渡所得の税額計算) に基づきます。

首都圏の土地売却相場は、近年上昇が続いています。東京23区の住宅地は5年連続で全23区が上昇し、千葉・埼玉でも都心近接エリアを中心に地価が上がる一方、郊外や山間部では下落が広がる二極化も進行しています。再開発が進む都心部や交通利便性の高いエリアほど需要が強く、こうした動きが隣接県にも波及している状況です。ここでは3都県の最新動向を数字で確認していきましょう。
なお、以下の数値は2026年公示地価(国土交通省・毎年3月発表)に基づきます。

東京23区の住宅地は、区部全域の変動率が9.0%と上昇幅が拡大しています。港区が16.6%と上昇率トップで、台東区や品川区がこれに続くなど、都心部の勢いが周辺区にも波及している状況です。多摩地区全域も変動率3.9%と4年連続で全26市2町が上昇しており、23区から多摩地区へと地価上昇が広がる傾向が続いています。

千葉県の2026年公示地価(住宅地)は前年比4.6%増で、全国3位の上昇率となっています。流山市は13.3%の上昇率で県内首位、県内の住宅地変動率上位10地点のうち9地点を流山市が占めるなど、都心アクセスと子育て支援の充実を背景に子育て世帯の需要が牽引しています。つくばエクスプレス沿線を中心に、ファミリー層の流入が地価を押し上げる構造が続いている状況です。

埼玉県の住宅地は5年連続で上昇しており、2026年公示地価は前年比2.0%増となっています。戸田市・蕨市・川口市など東京都に隣接する南部エリアが県内の上昇率上位を占める一方、秩父郡内の小鹿野町や皆野町など山間部では下落が続いており、県内での地価格差が広がっている状況です。都心へのアクセスが地価を左右する構造は、千葉県と同様の傾向といえます。

※本セクションの数値は以下の公式資料に基づきます。
・国土交通省「令和8年地価公示」(2026年3月17日発表)
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html
・東京都財務局「令和8年 地価公示価格(東京都分)の概要」
・千葉県「令和8年地価公示の概要」
・埼玉県「令和8年地価公示(埼玉県内分)について」

ここまでの内容を補足するQ&Aです。本文で扱っていない切り口の質問を中心に整理しています。

査定は売却可能価格を知るための無料サービスで、依頼しても売却義務は一切発生しません。査定結果を確認して、納得できる価格や対応でなければ売却を見送ることも可能です。検討初期の段階で複数社の机上査定を取得して相場感を把握し、本格的な売却判断は訪問査定と詳細な相談を経てから決める、という進め方が一般的です。

売出価格は売主の「希望価格」で、市場の需給を反映した成約価格とは乖離が生じる ためです。一方、自分で調べた相場(公示地価・路線価などからの逆算)はエリアの平均的な水準を示します。両者が異なる場合は、近隣の実際の成約事例(不動産情報ライブラリ)と組み合わせて判断するのがおすすめです。

路線価逆算は「エリアの平均的な相場」、査定額は「あなたの土地の個別条件を反映した価格」です。どちらが正しいかではなく、「個別要因でどれだけ加減算されているか」を不動産会社に説明してもらうことが、納得のいく判断につながります。査定額が路線価逆算より大幅に高い、もしくは低い場合は、その差の根拠を担当者に確認することが重要です。

市区町村役場で「固定資産評価証明書」を取得することで、評価額を確認できます。発行手数料は1通あたり数百円程度で、本人または代理人(委任状が必要)が窓口で取得できます。また、納税通知書がなくても路線価・公示地価・不動産情報ライブラリの取引事例から相場を推定することは可能なため、複数の方法を組み合わせて補完するのが現実的な対応です。

売出価格は売主が「この価格で売りたい」と設定する希望価格で、買主との交渉や市場の需給によって成約価格は変動します。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の月例速報マーケットウォッチ によると、首都圏の中古戸建てにおける売出価格と成約価格の乖離率は平均9%前後とされています。土地のみの公式データは集計されていませんが、戸建市場と同様の傾向で、人気エリアでは売出価格に近い成約も多く、需要の弱いエリアでは値下げ交渉から始まることが多いため、エリア特性によって乖離幅は変わります。売出から成約までの期間が長引くほど値下げ交渉が入りやすくなる傾向もあり、適切な売出価格の設定が成約スピードと最終価格の両方を左右します。

土地売却の相場は、路線価・公示価格・実勢価格といった公的な指標から誰でも算出できますが、その数字がそのまま売却価格になるわけではありません。仲介か買取かの選択、個別の土地条件、売却タイミングによって、最終的な手取り額は大きく変わります。

売主の準備次第で最終的な売却価格は数百万円単位で変わるため、以下の4ポイントを押さえておきましょう。
・事前に相場を調べて、査定額の妥当性を判断できるようにする
・境界確定や古家の扱いを事前に判断しておく
・繁忙期と金利動向から売却時期を見極める
・地域に強く査定根拠を示せる不動産会社を選ぶ

まずは自分の土地の相場感をつかんだうえで、査定額の根拠や会社の信頼性を見極めながら、納得のいく売却を進めていきましょう。 ​

「自分の土地が今いくらで売れるのか知りたい」「複数社の査定額に納得がいかない」。そんなときに頼りになるのが、地域の取引事例と相場動向を把握している不動産会社への相談です。ポラスグループの発見とちいえプラザでは、埼玉・千葉エリアの土地売却を専門に、地域に根ざした査定と相場判断をサポートしています。机上査定・訪問査定ともに無料で承っており、査定額の根拠資料も丁寧にご提示しますので、相場と査定額の関係を納得したうえで売却判断を進められます。

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