土地売却の税金はいくら?3,000万円控除で損しない節税ガイド【売却価格別シミュレーション付き】

2026.5.8.

  • 不動産売却
土地売却後の税金は、タイミングひとつで手取り額が100万円以上変わることがあります。印紙税・登録免許税・譲渡所得税など複数の税金が重なるうえ、所有期間が5年を境に税率がほぼ倍近く変動する仕組みになっているためです。さらに「3,000万円特別控除」を正しく活用すれば、条件によっては税額をゼロに抑えることも可能です。本記事では、税金の全体像・計算方法・売却価格別シミュレーション・節税特例・確定申告の手順を、実際の数字を使いながら順を追って解説します。

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土地売却で発生する税金のうち、最も金額が大きいのが「譲渡所得税」です。売却によって得た利益(譲渡所得)に対して課税されるもので、所有期間が5年を超えるかどうかによって税率が約20〜40%と大きく異なります。まず、ご自身が短期・長期のどちらに該当するかを把握することが、税金対策の出発点となります。

見落としがちなのは、「購入から5年経てばよい」という単純な話ではない点です。判定基準は売却した年の1月1日時点の所有期間であり、たとえ売却日までに5年を超えていても、その年の元日時点で5年に満たなければ短期扱いとなります。この判定基準を知っているかどうかで、売却タイミングの判断が変わってきます。所有期間の具体的な数え方は、後述の「ステップ③」で詳しく解説します。

区分 所有期間 税率合計 内訳
短期譲渡所得 5年以下 39.63% 所得税 30% + 住民税 9% + 復興特別所得税 0.63%
長期譲渡所得 5年超 20.315% 所得税 15% + 住民税 5% + 復興特別所得税 0.315%
※復興特別所得税は2037年まで適用されます。

たとえば譲渡所得が1,000万円の場合、短期では約396万円、長期では約203万円の税負担となり、その差は約193万円にのぼります。売却タイミングを少し調整するだけで、手取り額が大きく変わることを覚えておきましょう。

売却価格が取得費・譲渡費用の合計を下回った場合(譲渡損失)、譲渡所得税は原則として生じません。ただし、損失が出たからといって他の所得と自由に相殺できるわけではありません。土地の譲渡損失は原則として給与所得などとの損益通算の対象外です。一定要件を満たすマイホームの譲渡損失に限り、例外的に損益通算や繰越控除が認められるケースがあります。自分のケースが該当するかどうかは、売却前に税理士や税務署で確認しておくことをおすすめします。

土地売却では、お金が入るタイミングと税金を払うタイミングが大きくずれます。売却代金を受け取った翌年にまとめて税金を支払う構造になっているため、事前にキャッシュフローを把握しておかないと、納税時に資金が不足するケースも起こりえます。税金の種類・支払いタイミング・2026年からの法改正対応を合わせて確認しておきましょう。

土地売却に関わる税金は、売買契約時・引き渡し時・翌年確定申告時の3つのタイミングに分かれます。

タイミング 税金の種類 概要
売買契約時 印紙税 売買契約書に収入印紙を貼付して納付。2027年3月末まで軽減税率が適用
引き渡し時 登録免許税 抵当権抹消登記の登録免許税は不動産1個につき1,000円のため、土地・建物で合計2,000円が目安(状況により追加登記が必要な場合あり)
翌年確定申告時 譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税) 売却した翌年2〜3月に確定申告。所得税を一括納付。住民税は翌年6月以降に通知が届く

売却代金を受け取った後も、翌年に大きな税金の支払いが控えている点を念頭に置いて資金計画を立てることが重要です。なお、売却から住民税の納付完了まで最長1年以上かかるケースもあります。特に住民税は所得税と納付時期が異なるため、2段階での資金確保を意識した資金計画を立てておきましょう。

売却を進める前に、登記簿上の住所・氏名が現在のものと一致しているかを確認しておきましょう。2026年4月より住所等変更登記が義務化されており、不一致のまま売却を進めると所有権移転ができず手続きが滞るリスクがあります。詳細は関連記事「相続した土地を売るには何から始める?税金・名義変更・手順を完全解説」をご参照ください。

税額計算の公式を「誰でも追える3ステップ」に分解しました。ステップを順に追うことで、次のシミュレーションセクションの数値をご自身のケースに置き換えられるようになります。

税額を求めるには、まず「課税譲渡所得」を算出し、それに税率をかけます。式で表すと以下のとおりです。

課税譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額
税額 = 課税譲渡所得 × 税率

この計算で実際に手間取るのが、「どの費用を取得費・譲渡費用に算入できるか」の判断です。仲介手数料の消費税込み全額が対象になることや、固定資産税は含まれないことなど、見落としやすいポイントを以下の表にまとめました。

項目 含まれるもの 含まれないもの
取得費 購入代金・購入時の仲介手数料・測量費・設備費・不動産取得税・建物の減価償却後金額 購入後の固定資産税・管理費・維持修繕費 ※資本的支出に該当する増改築・改良費は算入できる場合があります
譲渡費用 売却時の仲介手数料(消費税込み全額)・解体費用・確定測量費・売買契約書の印紙税 引越し費用・売却後の修繕費

また、譲渡価額には売却価格に加え、固定資産税の日割り精算金も含まれます。精算金は売主の収入として扱われるため、計上漏れに注意が必要です。

購入時の契約書が見当たらない場合、税法上は「売却価格の5%」を取得費として申告できます。ただし実際の購入価格より大幅に低くなるケースがほとんどで、その分だけ課税対象が膨らみます。たとえば売却価格2,000万円・実際の購入価格1,200万円の場合、概算取得費(100万円)との差額1,100万円が余分に課税され、長期税率で約223万円の税負担増となります。売買契約書・通帳の履歴・購入時のパンフレットなど、取得費を証明できる書類を探してみる価値は十分あります。

所有期間のカウントは「購入日から売却日まで何年か」ではありません。正確には「売却した年の1月1日時点で5年を超えているか」で判定します。この違いを知らないまま売却すると、短期・長期の分かれ目で誤った税率を想定してしまうことがあります。
たとえば、2020年6月に取得した土地を2025年8月に売却した場合、売却年の1月1日(2025年1月1日)時点での所有期間は約4年7か月です。この場合は短期譲渡所得(税率39.63%)が適用されます。一方、売却を2026年1月以降に先送りするだけで長期譲渡所得(税率20.315%)の対象となり、同じ利益でも税負担が約半分になります。
【計算例】売却価格:2,000万円 / 取得費:1,200万円 / 譲渡費用:100万円 / 課税譲渡所得:700万円(所有7年・長期) / 税額:約142万円(700万円×20.315%)
なお、3,000万円特別控除を適用できる場合、課税譲渡所得がゼロとなり税額もゼロになります。詳細は後述の「手取りを大幅に増やす!土地売却の税金を減らす特例・控除の全知識」で解説します。

計算方法を学んだうえで、代表的なケース別の税額・手取り額を数値で確認します。ご自身の状況に近いパターンを選んで当てはめることで、節税対策の必要性と優先順位を実感できます。なお、以下のシミュレーションはいずれも概算であり、実際の税額は取得費・譲渡費用・特例の有無によって異なります。

概算取得費5%・譲渡費用は売却価格の4%(仲介手数料相当)と仮定した場合の早見表です。復興特別所得税(2037年まで)を含む税率で算出しています。

売却価格 課税譲渡所得 短期税額(39.63%) 長期税額(20.315%)
500万円 455万円 約180万円 約92万円
1,000万円 910万円 約360万円 約185万円
2,000万円 1,820万円 約721万円 約370万円
3,000万円 2,730万円 約1,081万円 約555万円
5,000万円 4,550万円 約1,802万円 約924万円
※課税譲渡所得=売却価格×91%(取得費5%+譲渡費用4%を控除)で算出。実際の取得費・譲渡費用が判明している場合は税額が大きく変わります。

取得費を証明できるかどうかで、手取り額に大きな差が生じます。

条件 取得費 課税譲渡所得 税額(長期 20.315%) 手取り額
取得費が判明(900万円) 900万円 540万円 約110万円 約1,330万円
取得費が不明(概算5%) 75万円 1,365万円 約277万円 約1,163万円
※譲渡費用は60万円(売却価格の4%)と仮定。

取得費が判明している場合と不明な場合では、税額に約167万円の差が生じます。当時の売買契約書や通帳履歴など、取得費を証明できる書類を探す手間をかける価値は十分にあります。

売却タイミングを調整し、長期譲渡所得の適用を受けることで税負担を大幅に抑えられます。

条件 税率 課税譲渡所得 税額 手取り額
短期(5年以下) 39.63% 560万円 約222万円 約738万円
長期(5年超) 20.315% 560万円 約114万円 約846万円
※取得費400万円・譲渡費用40万円(売却価格の4%)と仮定。

短期と長期の差額は約108万円です。「あと数か月待てば税率が約半分になる」という状況であれば、売却タイミングの見直しを検討する価値があります。

マイホームを解体した跡地を3,000万円で売却した場合、3,000万円特別控除を適用すると税額がゼロになるケースがあります。

条件 金額
売却価格 3,000万円
取得費 1,500万円
譲渡費用 120万円(売却価格の4%)
課税譲渡所得(控除前) 1,380万円
3,000万円特別控除 △1,380万円
課税譲渡所得(控除後) 0円
税額 0円

控除額(最高3,000万円)が課税譲渡所得を上回るため、税額がゼロになります。ただし、適用には一定の要件を満たす必要があります。詳細は次章「手取りを大幅に増やす!土地売却の税金を減らす特例・控除の全知識」で解説します。

特例・控除を活用するには、まず以下の3つの共通ルールを把握しておくことが重要です。確認したうえで、ご自身のケースに当てはまる特例や控除を探してみてください。

共通ルール 内容
確定申告が必須 税額がゼロになる場合でも申告しなければ特例は適用されません
適用期限のある特例に注意 特例ごとに適用期限が設けられているため、事前に確認が必要です。相続関連の特例については別記事をご参照ください
一部の特例は組み合わせ不可 マイホーム売却における3,000万円特別控除と10年超所有の軽減税率の特例は併用可。それ以外の組み合わせは各要件をご確認ください

居住用財産の売却益から最高3,000万円を差し引けるため、利益がそれ以下であれば税額がゼロになります。所有期間を問わず使える点が大きな特徴です。建物を解体して土地のみを売る場合も、「解体から1年以内の売買契約」「住まなくなった日から3年目の年末までの売却」という要件を満たせば対象となります。ただし、解体後に駐車場などとして貸し付けた場合は適用外となるため注意が必要です。
夫婦共有名義の場合、それぞれが要件を満たせば各自が控除を使えるため、最大6,000万円の控除となります。住宅ローン控除との同年併用は原則認められていないため、該当する場合は事前に税理士へご相談ください。

所有期間が10年を超えるマイホームを売却した場合、3,000万円控除を適用した後の利益に対して軽減税率が適用されます。通常の長期譲渡税率(20.315%)と比較すると、6,000万円以下の部分に対して14.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%)まで引き下げられます。
3,000万円特別控除との併用が可能なため、10年超保有の自宅売却では最大の節税効果が得られます。たとえば課税譲渡所得が3,000万円を超える高額売却のケースでも、控除後の残額に対して軽減税率が適用されるため、税負担を大幅に抑えられます。

相続した土地の売却には、空き家特例・取得費加算の特例など、通常の売却にはない固有の特例と手続きが存在します。別記事相続した土地を売るには何から始める?税金・名義変更・手順を完全解説」で詳しく解説しているので、相続による売却を検討されている方は、あわせてご確認ください。

状況によっては、以下の特別控除が適用できる場合があります。該当するケースがあれば、税理士や税務署に確認することをおすすめします。

特別控除の種類 控除限度額 主な適用ケース
公共事業等のための売却 5,000万円 国や地方公共団体等に土地を売却した場合
特定土地区画整理事業 2,000万円 土地区画整理事業のために売却した場合
低未利用土地の売却 100万円 都市計画区域内の低未利用土地を一定要件のもとで売却した場合
平成21〜22年取得土地の売却 1,000万円 2009〜2010年に取得した土地を売却した場合

2026年現在、土地売却に関わる法改正・制度変更が相次いでいます。期限付きの優遇措置もあるため、売却を検討中の方は最新情報を確認したうえで動くことが重要です。

マイホーム売却がメインの方には直接関係しませんが、賃貸アパート等を所有している方や相続で不動産を引き継いだ方は注意が必要です。令和8年度税制改正の大綱により、被相続人等が課税時期前5年以内に対価を伴う取引により取得または新築した一定の貸付用不動産については、従来の相続税評価額ではなく、課税時期における通常の取引価額に相当する金額で評価する見直しが予定されています。なお、課税上の弊害がない場合は、取得価額に地価変動等を反映した金額の80%相当額で評価できる取扱いも盛り込まれています(令和9年1月1日以後の相続等から適用予定)。今後の法令化により内容が変わる可能性があります。
節税目的での直前の不動産購入が厳格化されており、相続対策として不動産を活用してきた方は、既存の計画を見直す必要が生じるケースがあります。相続を見据えた土地・不動産の活用を検討している場合は、早めに税理士へ相談することをおすすめします。

土地売却の売買契約書に貼る印紙税は、現在軽減税率が適用されています。本則税率と軽減税率の差額は以下のとおりです。

売却価格 本則税率 軽減税率(〜2027年3月31日) 軽減額
1,000万円超〜5,000万円以下 2万円 1万円 1万円
5,000万円超〜1億円以下 6万円 3万円 3万円
1億円超〜5億円以下 10万円 6万円 4万円

この軽減措置は2027年3月31日までの時限措置です。2026年中に売買契約を締結することで確実に恩恵を受けられるため、売却のタイミングを検討する際の判断材料の一つとしてご活用ください。

特例を使って税額がゼロになる場合でも、確定申告は必須です。売却後に「何をすればいいかわからない」という不安を解消し、申告漏れによるペナルティを防ぐための手順をまとめます。

確定申告が必要かどうかは、売却結果と特例の利用有無によって決まります。

状況 申告の要否
売却で利益が出た 必要
税額がゼロでも特例を使う 必要
損益通算・繰越控除を行う 必要
赤字で特例も使わない 原則不要

申告が不要なケースは、赤字かつ特例を使わない場合に限られます。3,000万円控除などで税額がゼロになる場合でも、申告を行わなければその控除は効力を持ちません。仕組みとして、特例は「申告という行為」によって初めて確定するためです。「計算したらゼロだったから申告しなかった」という判断が、後から多額の追徴課税につながることがあります。期限内に申告することを前提に、売却後のスケジュールを組んでください。

売却した翌年の2月16日〜3月15日が申告・所得税納付の期限です。2026年売却分の期限は2027年3月15日となります(期限が土日祝の場合は翌平日)。
住民税は所得税と納付時期が異なる点に注意が必要です。翌年6月以降に納付書が届く「普通徴収」か、給与から天引きされる「特別徴収」のいずれかとなります。所得税の納付後も住民税の支払いが控えているため、2段階での資金確保を意識した資金計画を立てておきましょう。

売却後に慌てないよう、申告に必要な書類を事前に把握しておきましょう。書類の不備が申告期限のトラブルにつながるケースが多いため、早めの準備をおすすめします。

書類 備考
確定申告書(第三表・分離課税用) 税務署・国税庁HPで入手可
譲渡所得の内訳書 税務署・国税庁HPで入手可
売買契約書(売却時・購入時の両方) 取得費の証明に必要
仲介手数料等の領収書 譲渡費用の証明に必要
登記事項証明書 法務局で取得
特例使用時の追加書類 戸籍謄本・除票など(特例により異なる)

2026年の確定申告では、マイナンバーカードのスマートフォン読み取り機能を使うことで、カードリーダー不要で自宅から申告が完結します。e-Taxを利用する際は、通常の給与所得とは別に「分離課税」として申告する必要があるため、申告書の種類(第三表)を正しく選択することが重要です。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に沿って入力するだけで申告書が作成できます。土地売却特有の入力項目(譲渡所得の内訳・特例の選択など)は、譲渡所得の内訳書を手元に用意したうえで入力を進めると、手続きをスムーズに進められます。

期限内に申告を行わなかった場合、以下のペナルティが発生します。

ペナルティの種類 内容
無申告加算税 申告のタイミングや税務署の調査状況により異なり、最大30%が課される(調査前に自主申告した場合は軽減される)
延滞税 納付期限の翌日から完納まで日割りで発生
特例の不適用 期限後申告では特例の適用可否や手続が複雑になる

申告期限を過ぎてしまった場合でも、税務署から指摘を受ける前に自主的に期限後申告することで、加算税が軽減される場合があります。特例の適用を確実にするためにも、気づいた時点で速やかに税理士または税務署に相談することをお勧めします。

ここまでの計算方法・特例・申告に加えて、個別のケースでよく寄せられる質問をまとめました。

結論として、住宅ローンが残っていても土地の売却は可能です。ただし、税金の計算上、ローン残高は取得費に算入されません。譲渡所得はあくまで「売却価格-取得費-譲渡費用」で計算されるため、ローンが多く残っていても売却益が出れば課税される点に注意が必要です。
たとえばローン残高が1,000万円あっても、売却価格が取得費・譲渡費用を上回れば、その差額に対して税金が発生します。売却の可否・金融機関との手続きについては、別記事「はじめての土地売却、流れと不動産会社の選び方【埼玉・千葉版】」で詳しく解説しています。

共有名義の土地を売却した場合、税金は持分に応じて各自に課税されます。3,000万円特別控除は、それぞれが適用要件を満たせば各自が使えるため、夫婦2人で最大6,000万円の控除となります。
なお、兄弟・親族間の相続による共有名義の場合は、適用要件や手続きが異なるケースがあります。詳細は別記事「相続した土地を売るには何から始める?税金・名義変更・手順を完全解説」をご参照ください。

本記事のシミュレーションが示すとおり、所有期間・取得費の有無・特例の活用によって、同じ売却価格でも手取り額は数百万円単位で変わります。売却を決めた後から動くのではなく、「いつ売るか」「何の書類を探すか」「どの特例が使えるか」を事前に整理しておくことが、結果的に最も手残りを増やす行動です。節税特例はいずれも確定申告をして初めて有効になります。2026年の法改正や印紙税の軽減期限なども踏まえ、早い段階で全体像を把握しておくことをおすすめします。

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