相続土地国庫帰属制度とは?いらない土地を国に返す要件・費用と他の選択肢

2026.9.9.

  • 不動産売却
相続土地国庫帰属制度は、相続した土地の所有権を国に引き取ってもらえる制度で、2023年4月27日に始まりました。ただし建物が建っていると申請そのものができず、境界が明らかでない土地も却下されます。費用も無料ではなく、審査手数料に加えて負担金がかかり、市街化区域の宅地では原則額を必ず上回ります。

この記事では要件・費用・手続きを整理したうえで、申請に進む前に確かめておきたい点まで順に解説します。

OPEN

相続土地国庫帰属制度がどのような仕組みで、なぜ設けられたのかを整理します。相続放棄や自治体への寄付との違い、実際にどのくらいの土地が国に引き取られているのかも見ていきましょう。

相続土地国庫帰属制度は、相続や、相続人への遺贈によって取得した土地を、法務大臣の承認を受けて国に引き取ってもらえる制度です。2023年4月27日に、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」の施行とともに始まりました。
大切なのは、国が土地を買い取ってくれる制度ではないという点です。申請する側が審査手数料や負担金を支払い、土地を引き取ってもらいます。お金を受け取って手放すのではなく、費用を払って手放す制度と考えると分かりやすいでしょう。

相続しても使い道がなく、登記や管理が後回しにされるケースなどがあったため、持ち主の分からない「所有者不明土地」が全国で増えてきました。こうした土地は、公共事業や災害復旧の妨げになることがあります。相続土地国庫帰属制度は、その発生を抑えるために設けられた制度です。
ただし、どんな土地でも国が引き取るわけではありません。引き取った後に管理しやすい土地であることが前提となるため、建物の有無や境界など、さまざまな要件が定められています。制度の目的を知っておくと、なぜ条件が細かいのかも理解しやすくなるでしょう。

相続放棄は、預貯金や自宅などを含め、相続財産の一切を受け継がない手続きです。不要な土地だけを選んで放棄することはできず、原則として相続の開始を知ってから3か月以内という期限もあります。一方、相続土地国庫帰属制度には申請期限がなく、土地だけを手放せる点が大きな違いです。
自治体に土地を寄付する方法もありますが、必ず受け入れてもらえるわけではありません。自治体が寄付を受け入れるかどうかは、その土地を行政として活用する見込みがあるかで判断され、活用の予定がなければ断られるのが一般的です。寄付が難しい場合に、国庫帰属制度を検討するという流れも考えられます。
関連記事:土地の相続放棄はできる?「土地だけ」ができない理由と手放す方法

法務省の統計によると、2026年7月31日現在で申請は5,863件、実際に国庫へ帰属したのは3,008件です(いずれも速報値)。数字だけを見ると申請の半分程度ですが、審査中の案件もあるため、この割合をそのまま承認率と考えることはできません。実際に却下されたのは85件、不承認は96件にとどまり、結果が出た案件のうち9割以上が国庫へ帰属しています。
一方、申請後に取り下げられたのは1,102件で、そのうち571件は「有効活用の見込みが生じた」ことが理由です。隣地の所有者から土地を引き受けたいという申し出があった例などもあり、国に返す手続きを進めるなかで、別の手放し方が見つかるケースもあります。

相続土地国庫帰属制度は、誰でも利用できるわけではありません。どのような人が申請できるのか、対象外となるケースを、共有名義の土地を申請する場合の進め方とあわせて確認します。

申請できるのは、相続や、相続人への遺贈(遺言によって財産を譲ること)によって土地を取得した方です。同じ土地でも、売買や贈与によって取得した場合は原則として対象になりません。まずは、その土地をどのような経緯で取得したのかを確認しておきましょう。
少し分かりにくいのが、遺贈によって土地を受け取ったケースです。遺贈による取得でも、受け取った方が配偶者や子などの相続人であれば申請できます。一方、内縁のパートナーや友人など、相続人ではない方が遺贈された土地は対象になりません。

兄弟で相続した土地のように共有名義になっている場合は、共有者全員で申請する必要があります。一人でも欠けると手続きを進められないため、まずは全員の意向をそろえることが大切です。
共有者のなかに、売買など相続以外の理由で持分を取得した方がいても、相続で取得した共有者が一人でもいれば、全員で申請できます。ただし、連絡が取れない方や申請に同意しない方がいると進められません。共有名義の土地では、申請前に全員の合意を得られるか確認しておきましょう。
関連記事:共有持分の売却はできる?同意なしで売れる仕組みと、共有名義を解消する4つの方法
 

土地を国に引き取ってもらうには、一定の要件を満たす必要があります。申請の段階で対象外となる「却下事由」と、審査を経て判断される「不承認事由」に分けて確認していきましょう。前者は土地の状態などから比較的判断しやすく、後者は管理にかかる手間や費用などを個別に見て決まります。

申請の時点で却下される土地は、大きく次の5つに分けられます。
・建物が建っている土地
・抵当権などの担保権や、地上権・賃借権など他人が土地を使う権利が設定されている土地
・通路などとして他人が使用している土地
・基準を超える特定有害物質で汚染されている土地
・境界が明らかでない、または所有権の範囲をめぐって争いがある土地
どれかひとつでも当てはまると申請できません。相続した実家では、建物が残っているために対象外となるケースもあります。

申請後の審査で不承認となる土地も、次の5つに分けられます。
・勾配30度以上かつ高さ5メートル以上の崖があり、管理に大きな費用や労力がかかる土地
・管理を妨げる工作物や樹木などが地上にある土地
・除去しなければ管理できない埋設物などが地下にある土地
・隣地の所有者などとの争いを解決しなければ管理できない土地
・このほか、通常の管理や処分に大きな費用や労力がかかる土地
最後の項目には、災害の危険がある土地や、動物による被害が生じている土地なども含まれます。申請はできても、国が引き取った後の管理に大きな負担がかかると判断されれば、不承認となる可能性があると考えればよいでしょう。

却下・不承認となる10の事由を、確認方法とあわせて一覧にしました。登記事項証明書や現地の状況から確認できるものも多いため、まずはご自身の土地に当てはまる項目がないか見てみましょう。気になる項目があれば、法務局への事前相談で確認できます。

段階 該当する土地 何で確認できるか
却下 建物が建っている 現地の状況、登記事項証明書
却下 抵当権などの担保権や、他人が土地を使う権利が設定されている 登記事項証明書の権利部(乙区)
却下 通路などとして他人が使用している 現地の状況、市区町村の道路担当窓口
却下 基準を超える特定有害物質で汚染されている 過去の利用履歴、都道府県の土壌汚染に関する台帳
却下 境界が明らかでない、所有権の範囲に争いがある 境界標や図面、隣地の所有者との認識
不承認 一定以上の崖があり、管理に大きな費用や労力がかかる 現地の傾斜や高さ、公図・地形図
不承認 管理を妨げる工作物や樹木などが地上にある 現地の状況
不承認 除去が必要な埋設物などが地下にある 基礎・浄化槽・井戸の有無、過去の利用履歴
不承認 隣地との争いを解決しないと管理できない 越境や通行をめぐるトラブルの有無
不承認 その他、通常の管理や処分に大きな費用や労力がかかる 法務局への事前相談

相続土地国庫帰属制度を使うと、審査手数料と負担金がかかります。それぞれいくら必要なのか、土地の種類や面積によって負担額がどう変わるのかを具体的に見ていきましょう。

申請の際には、土地1筆(登記上の土地の単位)あたり1万4,000円の審査手数料を納めます。納付方法は、申請書に収入印紙を貼る形で、現金や振込ではありません。
気をつけたいのは、この手数料は戻ってこないことです。却下や不承認になった場合だけでなく、自分で申請を取り下げても返還されません。また、1筆ごとに手数料がかかるため、ひとつの敷地が登記上2筆、3筆に分かれていれば、その分だけ金額も増えます。まずは登記事項証明書で筆数を確認しておきましょう。

申請が承認された後は、負担金を納めます。国がその土地を管理するために要する10年分の標準的な費用をもとに決められており、原則は1筆あたり20万円です。ただし、土地の種類や区域によっては、面積に応じて金額が変わります。
負担金は1筆ごとに計算するのが基本ですが、隣り合う土地には特例があります。隣接し、かつ同じ種目である2筆以上の土地は、申出によってまとめて計算することが可能です。たとえば、市街化区域外の宅地が100㎡ずつ2筆ある場合、通常なら40万円ですが、1筆の土地とみなして計算すれば20万円で済みます。

市街化区域や用途地域にある宅地は、原則の20万円ではなく、土地の面積に応じて負担金が決まります。面積按分の対象になると、面積の大小にかかわらず必ず原則額を上回ります。たとえば100㎡の土地では54万円台です。
ご自身の土地が該当するかは、市区町村の都市計画課や、自治体が公開している都市計画図で確認できます。地方や郊外の土地でも市街化区域に含まれていることがあるため、「20万円で済む」と思い込まず、区域を確認してから金額を見積もることが大切です。

主に森林として使われている土地は、負担金を計算するうえで「森林」にあたり、場所にかかわらず面積に応じて金額が決まります。農地は、市街化区域や用途地域、農用地区域などにある場合は面積に応じて計算し、それ以外は原則20万円です。
同じ広さの土地でも、山林か農地かによって負担金は変わります。また、登記上の地目(土地の種類)と現在の使われ方が異なることも。登記事項証明書だけでなく、現地が今どのような状態なのかも確認しておくと、負担金の見込みを立てやすくなります。

市街化区域・用途地域内の宅地、山林、農地について、面積ごとの負担金の目安をまとめました。金額は法令で定められた算定式にもとづくもので、1,000円未満は切り捨てています。

市街化区域・用途地域内の宅地

面積 算定 負担金
100㎡(約30坪) 100㎡×2,720円+276,000円 548,000円
150㎡(約45坪) 150㎡×2,450円+303,000円 670,000円
180㎡(約54坪) 180㎡×2,450円+303,000円 744,000円
200㎡(約60坪) 200㎡×2,450円+303,000円 793,000円
330㎡(約100坪) 330㎡×2,250円+343,000円 1,085,000円

森林(区域を問わず面積按分)

面積 算定 負担金
1,000㎡ 1,000㎡×24円+237,000円 261,000円
3,000㎡ 3,000㎡×17円+248,000円 299,000円
10,000㎡(1ha) 10,000㎡×8円+287,000円 367,000円

市街化区域・用途地域内、農用地区域内などの農地

面積 算定 負担金
300㎡ 300㎡×850円+298,000円 553,000円
500㎡ 500㎡×850円+298,000円 723,000円
1,000㎡ 1,000㎡×810円+318,000円 1,128,000円
※上記以外の宅地・農地と、雑種地・原野などの「その他」は、面積にかかわらず1筆あたり20万円です。面積は登記記録の地積をもとに算定し、1,000円未満は切り捨てます。実際の負担金は、審査後に法務局から通知される金額で確定します。

国庫帰属制度では、審査手数料や負担金以外にも費用がかかる場合があります。たとえば、申請するには建物を解体しておく必要があるため、建物が残っていれば解体費が必要です。境界が明らかでない場合は、土地家屋調査士への相談や測量に費用がかかることも。
このほか、登記事項証明書や公図の取得費もかかり、書類作成を専門家に依頼すれば、その報酬も加わります。解体や測量にはまとまった費用がかかることもあるため、負担金だけでなく、土地を手放すまでの総額を見て判断しましょう。
WEBで無料査定を依頼する

相続土地国庫帰属制度の手続きは、法務局への事前相談から始まり、負担金を納付すると完了します。申請から土地が国に引き取られるまでの流れを、5つのステップに分けて確認していきましょう。

申請を考えている土地については、管轄する法務局・地方法務局の本局で事前相談を受けられます。土地が遠方にあるなど管轄本局での相談が難しい場合は、お近くの法務局・地方法務局の本局でも相談が可能です。
相談は予約制で、1回30分です。時間が限られているため、相談票やチェックシートに加え、登記事項証明書や地図の写し、現地の写真などを用意しておくと、土地の状況に応じた相談がしやすくなります。解体や測量に費用をかける前に、申請できそうか見通しを確認してから必要な準備を進めれば、余計な費用や手間をかけずに済むでしょう。

申請では、承認申請書に加えて添付書類をそろえます。全員に必要なのは、次の4点です。
・土地の位置と範囲を示す図面
・隣接地との境界点を示す写真
・土地の形状が分かる写真
・申請者の印鑑証明書
提出先は、土地を管轄する法務局・地方法務局の本局です。支局や出張所では受け付けておらず、窓口への持参か郵送で提出します。却下の理由では、添付書類の不備が最も多く挙げられています(2026年7月末時点)。事前相談の際に必要な書類を確認しておくと安心です。

提出した書類は、まず法務局の担当者が内容を確認します。その後、必要に応じて担当者が現地を訪れ、土地の状態を実際に確認します。
実地調査では、申請者に立ち会いや説明を求められることもあります。正当な理由なく調査に応じないと却下される可能性があるため、法務局から連絡があれば対応しましょう。現地では、境界の状況や工作物、樹木、地下の埋設物などを確認し、却下事由や不承認事由に当たらないかが判断されます。

審査を通過すると、承認の通知とあわせて負担金の額が知らされます。負担金は土地の種類や区域、面積などをもとに計算されるので、正確な金額が分かるのはこの段階です。面積に応じて負担金が決まる土地については、法務省が公開している自動計算シートで事前に目安を確認できます。
不承認となった場合は、その理由が示されます。費用を無駄にしないためにも、申請前に法務局へ相談し、要件を満たせそうか確認しておくことが大切です。

負担金は、通知が届いた日の翌日から30日以内に納める必要があります。期限までに納付しないと承認の効力が失われるため、負担金が高額になりそうな場合は、あらかじめ資金を準備しておきましょう。
負担金を納めると、その時点で土地の所有権が国に移ります。申請後の標準処理期間は8か月程度とされており、事前相談や書類の準備まで含めると、国庫帰属までにはさらに時間がかかると考えておくとよいでしょう。

ここまで見た却下事由・不承認事由に当てはまる土地でも、売却では見方が変わることがあります。制度で不利になる条件を、不動産市場や不動産会社の実務ではどう扱うのかを整理します。

傷んだ実家を見ると、土地にも価値がないように感じるかもしれません。しかし、建物が古いからといって、土地まで値がつかないとは限りません。建物の状態や解体費が売却価格に影響することはありますが、土地そのものは立地や広さ、接道など別の条件で評価されるためです。
国庫帰属制度で建物のある土地が対象外になるのも、土地に価値がないからではありません。国が建物ごと管理を引き継ぐ制度ではないためです。古い建物の状態と土地の価値は分けて考え、まず土地としてどの程度の価格がつくのかを確かめてみましょう。

境界が明らかでない土地は、国庫帰属制度では却下の対象です。もっとも、却下を避けるために必ず確定測量が必要というわけではありません。法務省は測量成果や境界確認書の提出までは求めておらず、申請者が認識している境界を現地の目印や写真で示し、隣地の所有者と争いがないことを確認できればよいとしています。
一方、土地を売却する際には、確定測量を求められることがあります。測量にはまとまった費用がかかるため、国庫帰属を目指すのか、売却を進めるのかを決める前に着手する必要はありません。それぞれ必要な準備が異なるので、無駄を抑えるには進め方を決めてから動くのが得策です。

土地の条件によって、国庫帰属制度での扱いと売却する場合の見方は異なります。制度では不利になる条件でも、売却では必ずしも同じ評価になるとは限りません。不動産会社がどのように見るのかも含めて整理しました。

土地の状態・条件 国庫帰属制度では 売却では 不動産会社では
建物が建っている 却下事由。解体しないと申請できない 古家付き土地として売り出せる場合がある 解体せずに買い取れる場合もあるが、建物の状態などによって判断が分かれる
市街化区域・用途地域内にある 宅地は負担金が面積に応じて決まり、原則額を上回ることがある 住宅などの需要が見込める地域もある 分譲や建築用地として検討される場合があるが、土地の条件による
境界が明らかでない 却下事由。ただし確定測量までは求められない 確定測量を求められることが多い 測量前でも査定は可能。越境などの問題があると取引が難しくなる場合もある
通路などとして他人が使用している 却下事由 使用状況や権利関係によって評価が変わる 権利関係の整理が必要となり、そのままでは買取が難しい場合もある
共有名義である 共有者全員で申請する必要がある 売却にも原則として共有者全員の同意が必要 共有者の意向を確認したうえで査定や売却を進める必要がある

※崖地や地下の埋設物、隣地との争いなど、国庫帰属制度で不承認の理由となる条件は、売却でもマイナス要因になることがあります。

ここからは、相続した土地を手放す方法を横並びで比べます。国に返す以外に、売却や買取、隣地の所有者への売却、持ち続ける方法も含めた5つが選択肢です。なお、相続そのものを受けない「相続放棄」は入口の判断になるため、関連記事で整理しています。
関連記事:土地の相続放棄はできる?「土地だけ」ができない理由と手放す方法

相続土地国庫帰属制度の強みは、買い手を探さなくても土地を手放せることです。要件を満たして承認されれば、引き取り手が見つからない土地でも所有権を国に移せます。
一方、売却のようにお金を受け取るのではなく、審査手数料や負担金を支払う必要があります。要件を満たさなければ却下や不承認となります。国庫に帰属した後は土地を取り戻せないので、条件や費用を確認してから進めることが大切です。

仲介は、不動産会社に買主を探してもらう方法です。売却できれば代金を受け取れます。建物が残っていても古家付きのまま売り出せるため、先に解体する必要があるとは限りません。
一方、買い手が見つかるまでの期間は土地の条件によって変わります。数か月で売れることもあれば、価格や売り方を見直しても成約に至らない場合もあります。国庫帰属制度と違い、買い手が見つからなければ土地を手放せない点には注意が必要です。

隣の土地の所有者に売る方法もあります。市場では買い手が見つかりにくい土地でも、隣地の所有者にとっては敷地を広げられるのがメリットです。間口が狭い土地や再建築しにくい土地も、隣地と一体で使うことで条件が改善し、活用しやすくなることがあります。
ただし、直接交渉になる場合は価格の目安がないと条件を決めにくくなります。金額や条件の交渉、契約書の作成に不安があれば、不動産会社に仲介を依頼して間に入ってもらうとよいでしょう。

不動産会社が直接の買主になる方法です。仲介のように買主を探す必要がないことから、売却までの期間を短くしやすいのが特徴です。相続税の納付期限が迫っているなど、時期を決めて土地を手放したい場合に向いている方法といえるでしょう。
ただし、買取価格は一般に、仲介で売却する場合より低くなるとされています。早く手放しやすい反面、価格が下がりやすい点はデメリットです。また、すべての土地を買い取ってもらえるわけではなく、立地や土地の状態によっては、買取が成立しないことも。最終的には、査定や現地確認をしたうえで判断されます。

土地をすぐに手放さず、持ち続けるのも選択肢のひとつです。用途の制限や周辺の需要にもよりますが、貸地や駐車場、資材置き場などに活用できれば、収入につながることもあります。将来、家族が家を建てる予定があるなら、残しておく意味も出てくるでしょう。
その反面、固定資産税や草刈りなどの管理費、現地までの交通費は継続してかかります。建物が残っていて火災保険に加入していれば、その保険料も必要です。適切に管理されず、管理不全空家や特定空家として勧告を受けた場合は、住宅用地特例が適用されなくなり、土地の税負担が増える可能性もあります。

5つの選択肢を、費用や手間、土地を手放せる条件など7つの軸で比較しました。国庫帰属は要件を満たせば買い手を探す必要がありませんが、費用がかかります。一方、売却は代金を受け取れるものの、相手が見つかるかどうかによって結果が変わります。

項目 国に返す 仲介で売る 隣地の所有者に売る 買い取ってもらう 持ち続ける
手放せる条件 要件を満たし、承認されること 買主が見つかること 隣地の所有者と合意すること 不動産会社が買取可能と判断すること
相手を探す手間 不要 不動産会社が買主を探す 隣地の所有者への打診・交渉が必要 買取会社への査定依頼が必要 等
お金の向き 審査手数料・負担金などを支払う 売却代金を受け取る 売却代金を受け取る 売却代金を受け取る 税金・管理費などを払い続ける
解体の要否 建物があれば必要 古家付きのまま売却できる場合もある 相手との条件による 建物付きで買い取れる場合もある 不要
境界の確認 境界を明らかにする必要がある 確定測量を求められることがある 境界確定が必要になりやすい 土地の状況によって判断 不要
期間の目安 申請後8か月程度が標準 買主が見つかるまで幅がある 交渉によって変わる 仲介より短くなりやすい
手放した後 国が所有・管理する 買主が所有・管理する 隣地の所有者が所有・管理する 買取会社が所有・管理する 所有と管理が続く

※「持ち続ける」の欄に「―」があるのは、土地を手放すことを前提とした比較項目であるためです。

ここまでの内容を踏まえて、土地の種類ごとに何から確認すればよいのかを整理します。市街化区域かどうか、宅地・山林・農地のどれにあたるかによって、向いている手放し方は変わります。

市街化区域の宅地は、国庫帰属制度を使うと負担金が高くなりやすい一方、住宅需要が見込める場所もあります。費用を払って国に返すのか、売却して代金を受け取るのか。どちらがよいかは、土地の価値を確かめてみないと判断できません。
売れる可能性や、おおよその価格を知るためには、まずは査定を受けてみることをおすすめします。査定で確認する建物の状態や境界、区域区分、接道、地目などは、国庫帰属制度を検討するときの判断材料にもなるでしょう。ただし、査定額はあくまで目安で、実際の成約価格とは異なる場合がある点は、あらかじめ理解が必要です。

市街化調整区域は、市街化を抑えるために建築などが制限されている区域です。そのため、市街化区域に比べると買い手が限られやすい一方、国庫帰属制度を利用できるかどうかも土地の状態によって変わります。
一定の条件を満たせば建築や建て替えが認められる場合もありますが、その条件は自治体によって異なります。認められるかどうかで土地の評価も大きく変わるため、書面だけでは向き不向きを判断できません。こうした土地では、売却の査定と法務局への事前相談を並行して進め、費用と条件を並べて比べるのが近道です。

山林や農地は買い手が限られやすいため、国庫帰属制度が現実的な選択肢になる傾向があります。山林として登記されていても、現況が森林であれば面積に応じて負担金が決まり、広い土地でも数十万円程度に収まることも。まずは地目や面積から負担金の目安を確認し、法務局への事前相談を検討するとよいでしょう。
国庫帰属以外にも、農地では農地中間管理機構(農地を借り受け、農業者へ貸し付ける仕組み)、森林では森林経営管理制度(手入れが難しい森林の管理を市町村などにつなぐ制度)を利用できる可能性があります。いずれも所有権が移るわけではなく、貸付けや管理の委託にとどまりますが、管理の負担は軽くなります。どの方法が向いているかを判断するには、土地の現在の状態や利用状況を把握しておくことが大切です。
WEBで無料査定を依頼する

相続土地国庫帰属制度について、よくある疑問に分かりやすくお答えします。

対象になります。相続土地国庫帰属制度が始まる前に相続した土地でも申請でき、数十年前に取得した土地も含まれます。国庫帰属制度そのものに申請期限はありません。

相続登記が済んでいなくても申請できます。登記名義人と申請者が異なる場合は、戸籍や遺産分割協議書など、相続したことを確認できる書類を添付します。一方、相続登記は2024年4月から義務化されており、国庫帰属の申請とは別に期限があります。2024年3月31日以前に開始した相続については、2027年3月31日までに相続登記の申請が必要です。

原野商法などで購入した本人は対象外ですが、その土地を相続した方であれば申請できます。ただし、崖がある土地や管理に大きな費用・労力がかかる土地は、不承認となる可能性があります。現地の状況が分からない場合は、まず法務局の事前相談で申請できそうか確認しておくとよいでしょう。

申請は本人でも行えます。書類の作成は、弁護士・司法書士・行政書士に依頼することも可能です。必要書類をそろえるのが難しい場合や、境界について隣地の所有者と認識が食い違っている場合などは、専門家への相談を検討すると進めやすくなるでしょう。

国庫帰属が完了すると土地の所有権は国に移るため、申請者の都合で元に戻すことはできません。ただし、偽りや不正な手段で承認を受けたことが判明すると、承認が取り消される場合があります。その際は、国に生じた損害について賠償を求められる可能性もあります。

相続土地国庫帰属制度を使えば、買い手が見つからない土地でも国に引き取ってもらえる可能性があります。ただし、建物がある土地は申請できず、審査手数料や負担金、解体費などがかかる場合もあります。
国に返す前に、売却できる可能性も確かめておきましょう。ポラテックの「発見とちいえプラザ」では、相続した土地の無料査定に対応しています。まずは土地がいくらになりそうかを知り、国庫帰属と売却のどちらが合うか比べてみてください。
WEBで無料査定を依頼する
お近くの店舗でご相談・来場予約

SUPERVISOR

監修者

ポラテックグループ
page top