注文住宅の住宅ローンは土地代も借りられる?3つのパターンを徹底解説
2024.10.6.
- 注文住宅
しかし、建物と土地をセットにして申し込むなど、土地代も含めて住宅ローンを利用する方法は複数あります。この記事では、土地購入からの注文住宅購入で住宅ローンを使いたいときに、考えられる3つのパターンを解説するので参考にしてみてください。
土地購入から注文住宅を建てるときの住宅ローンは3パターン
基本的に住宅ローンは建物のみが融資対象となるため、土地に対しては使えません。しかし、それでは土地購入からの注文住宅のハードルは非常に高くなってしまいます。この問題を解決する方法として、次の3つが挙げられます。
① 土地と建物で住宅ローンを組み引き渡し時に融資を実行
② 住宅ローンとつなぎ融資を利用する
③ 住宅ローンの分割融資で土地代を先行して融資を受ける
それぞれどのような方法なのか、流れやメリット・デメリットを順番に解説していきます。
土地と建物で住宅ローンを組み引き渡し時に融資を実行
最初にご紹介するのは、土地と建物をひとまとめにして1本の住宅ローンを組む方法です。
土地と建物で住宅ローンを組む流れ
建物だけが対象の住宅ローンですが、土地もあわせて購入する場合は、まとめて借入できます。このようなケースでは、トータルの予算にあわせて土地購入と建物のプランを検討するケースが多いです。そのため、住宅ローンの流れは次のようになるのが一般的です。
土地購入と建物プランを並行して検討することで、予算のバランスを取ることができ、予算内で理想の注文住宅を建てやすくなります。
土地と建物で住宅ローンを組むメリット・デメリット
土地代金と建物建築費を、一括で住宅ローンを組むメリット・デメリットを解説します。
メリット
このパターンは、住宅ローンの手続きが1回ですむのでシンプルなのがメリットです。これにより、煩雑な手続きを最小限に抑えられ、時間と労力を節約できます。
また一定の自己資金はあるものの、すべての費用を支払うには足りず、不足分だけを補いたいときにもこの方法がおすすめです。
この方法を選ぶとローン実行が建物の引き渡し時となるため、それまでの期間は利息がかかることもありません。
デメリット
この方法の最大の課題は、ローン実行前に多額の自己資金が必要になることです。
土地を購入して注文住宅を建てるときには、土地代の支払いが先行するうえ、また建物についても手付金・着工金・中間金などの支払いが必要になります。住宅ローンの融資実行は建物完成後となるので、それまでの資金をすべて自己資金でまかなわなければなりません。
これらの自己資金を用意できない場合は、このあと紹介する分割融資やつなぎ融資を検討する必要があるでしょう。
住宅ローンとつなぎ融資を利用する
続いて、住宅ローンとつなぎ融資を利用する方法をご紹介します。
注文住宅でつなぎ融資を利用する流れ
つなぎ融資とは、建物が完成して住宅ローンが実行されるまでの期間、土地代金や建築費用を一時的に借り入れる短期融資のことです。
注文住宅でつなぎ融資を利用する場合、住宅ローンとつなぎ融資の2本立てになることが特徴です。
つなぎ融資の実行回数は、金融機関によって異なります。融資期間については、その性質上、約1年と短いのが一般的です。つなぎ融資は住宅ローン実行までにかかる費用をまかなう「つなぎ」として機能し、住宅ローンが実行された時点で一括で返済します。
つなぎ融資を利用するメリット・デメリット
つなぎ融資を利用するメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
メリット
つなぎ融資の大きなメリットは、無担保で借入できることです。抵当権設定などの手続きや費用が不要となり、迅速に資金調達をおこなえます。その結果、土地購入や建築開始時の資金不足でつまづくことなく、注文住宅の建築をスムーズに進められます。
またつなぎ融資は短期間の借入であるため、支払う利息の総額を抑えられることもメリットです。
デメリット
一方、つなぎ融資にはいくつかデメリットもあります。
まず、つなぎ融資は無担保であるため、金利は通常の住宅ローンより高くなります。
また、つなぎ融資は住宅ローンではないため、注文住宅のための融資であっても住宅ローン控除を受けられません。住宅ローンと異なり団体信用生命保険(契約者に万一のことがあった場合に、残債が一括返済される保険)も付帯できないため、住宅ローンの実行までにトラブルがあったときには保証がない点も理解しておく必要があります。
さらに、つなぎ融資は住宅ローンとは別のローン商品であることから契約が2つになり、手数料や諸費用などのコストや手間も2契約分かかります。
住宅ローンの分割融資で土地代を先行して融資を受ける
続いて、住宅ローンの分割融資を活用し、土地代の先行融資を受ける方法を紹介します。
注文住宅で分割融資を利用する流れ
分割融資とは、1本の住宅ローンで複数回に分けて融資を受ける方法です。注文住宅では土地代に活用することが多いため、土地先行融資とも呼ばれます。
分割融資で土地購入から注文住宅を建てる流れは次のとおりです。
分割融資は、図のように契約が最初の1回のみで、融資を受ける際には申請だけすればよい場合もあれば、土地と建物は審査と契約が別の場合もあります。あるいは融資を受けるたびに契約が必要になるなど、金融機関により内容はさまざまであることが特徴です。
分割融資を利用するメリット・デメリット
土地購入からの注文住宅建築で、分割融資を利用するメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
分割融資のメリットは、土地の購入時や建物の着工金・中間金などの支払いに、自己資金を用意する必要がないことです。そのため自己資金に不安がある方でも、注文住宅を建てやすくなります。
また、つなぎ融資と異なり、分割融資は住宅ローンの金利で利用できるため、金利面でも有利です。さらに土地購入から2年以内に住宅を建築するなど一定の条件を満たせば、住宅ローン控除の対象になるため、税制面でも有利です。
加えて団体信用生命保険にも加入できるので、借入期間中に万一のことがあった場合のリスクにも備えられます。
デメリット
分割融資は、つなぎ融資と異なり、土地を担保に入れるため抵当権を設定する必要があり、その手続きに費用や手間がかかります。融資のたびに契約が必要な金融機関では、その都度審査がおこなわれ、抵当権設定の費用や事務手数料が発生するため、総費用が割高になる可能性があります。
さらに土地の融資実行から返済が始まる場合は、賃貸の家賃との二重払いになり、その期間は家計の負担が重くなります。
また、そもそも分割融資を扱っている金融機関は限られているため、選択肢が少ない点も課題です。
どの住宅ローンの利用方法がよいかは人によって異なる
土地購入からの注文住宅建築に際しての、資金調達の方法を3つご紹介してきました。「結局どのパターンがいいの?」と思った方もいるでしょう。この問いに対する答えは、手元資金の有無や何をメリットと感じるかなど、個人の状況により異なります。
土地や住宅の手付金、中間金などを支払えるだけの十分な自己資金があるなら、分割融資やつなぎ融資を使う必要がないのでもっとも費用を抑えられます。ただし注文住宅建築後の、不動産取得税や予期せぬ出費に備え、すべての資金を使い切らないよう注意が必要です。
つなぎ融資は適用される金利が高めなので、総返済額が大きくなる傾向があります。また、団体信用生命保険に対応していない点も考慮が必要です。
分割融資は、融資を受けるたびに手数料が発生する場合は、負担が大きくなる可能性があります。
このように各パターンにはメリット・デメリットがあり、また金融機関により内容が異なるため、一概にどれがよいとは言えません。判断に迷う場合は、ハウスメーカーや不動産会社が開催するローン相談会を利用したり、ファイナンシャルプランナーなど専門家に相談したりすることをおすすめします。
注文住宅で住宅ローンを利用する際のポイントと注意点
注文住宅で住宅ローンを利用する際のポイントと注意点を解説する
「借りられる額」ではなく「返せる額」で考える
住宅ローンを検討するときには「せっかくだから借りられるだけ借りて、いい注文住宅を建てたい」と考えてしまいがちです。しかし家は箱であり、その中でどんな暮らしをしていくかが重要です。
理想の注文住宅を建てても、住宅ローンの返済に追われ、趣味や外食、旅行など、日々の暮らしを楽しめないなら本末転倒ではないでしょうか。そうならないよう、注文住宅を建てることをゴールとせず、ゆとりある暮らしができる借入額におさめましょう。
具体的には、月々の返済額を年収の25%以下に抑えると、生活の質を維持しながら安定した返済を続けやすくなるので参考にしてみてください。
条件はそれぞれの金融機関で異なる
住宅ローンの条件は、金融機関によって大きく異なります。金利や完済時年齢などはもちろん、分割融資やつなぎ融資を利用する場合は、融資の回数や都度審査が必要かなどにも違いがあります。
これらの条件の違いは、総支払額に大きく影響するため、どの住宅ローンを、どの金融機関で借りるかは、よく調べて比較することが重要です。
金利は変動すると理解しておく
住宅ローンには、借入時の金利が最後まで続く固定金利型と、経済状況にあわせて金利が変わる変動金利型があります。日本は長らく低金利が続いており、変動金利が人気でしたが、政策の転換にともない状況は変わりつつあります。
今後の見通しが不透明ななかでの金利タイプの選択は、複数パターンでシミュレーションしたうえで、慎重におこなうことが重要です。シミュレーションは、金融機関のサイト上でおこなえるので、試してみることをおすすめします。
住宅ローン減税も考慮して検討する
住宅ローンを比較するときには、住宅ローン減税も考慮して検討しましょう。
住宅ローン減税とは、一定の条件を満たした場合、年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税(引き切れない場合は住民税)から最大13年間控除する制度です。つなぎ融資は住宅ローン減税の対象にはならない点に注意が必要です。また、物件の引き渡しと融資の実行が年を越す場合は、住宅ローン減税は翌年からの適用になることも理解しておきましょう。
この制度による減税効果も含めて考えると、総返済額を比較する際の精度がより高まります。
※2024年9月22日時点の内容に基づいています。税制改正により内容が変わる可能性がございますので、詳しい内容は国土交通省のサイトにてご確認ください。
土地購入からの住宅ローンでよくある質問
注文住宅の住宅ローンでよくある質問と、その回答を紹介します。
住宅ローンの支払いはいつから始まりますか?
住宅ローンの支払いがいつから始まるのかは、住宅ローンのパターンや、借入する金融機関によって異なります。以下は一般的な支払い開始のタイミングです。
支払い開始のタイミングは金融機関によって異なる場合があるため、よく確認するようにしてください。
住宅ローンの借入先は自分で探すのですか?
住宅ローンの借入先は、必ずしも自分で探す必要はありません。多くの場合、家を建てる建築会社が提携ローンを紹介してくれます。
提携ローンとは、建築会社や不動産会社などが、特定の金融機関と提携して提供する住宅ローン商品です。提携ローンだと審査が早く、金利が優遇されるなど、メリットがあるのが一般的です。
金融機関の申込み、必要書類の準備など、手続きの一部を代行してもらえることもあるので、自分で比較して住宅ローンを選ぶ時間や手間を省きたいときには検討してみるとよいでしょう。
まとめ
土地購入からの注文住宅建築までの住宅ローンは3パターンあり、それぞれメリット・デメリットが異なります。住宅ローンは数千万もの借入になることが多いので、慎重に選ぶことが重要です。自分たちで判断に迷う場合は、建築会社の提携ローンを確認したり、ファイナンシャルプランナーに相談したりするのもおすすめです。
ポラスの「発見とちいえプラザ」では、土地探しから建物の設計まで、理想の注文住宅の実現に向けて総合的にサポートしています。住宅ローンへの疑問にもお答えし、提携ローンのご利用も可能ですので、まずは気軽にご相談してみてください。
SUPERVISOR
監修者
柳瀬 栄 (やなせ さかえ)
宅地建物取引士 業界歴約30年の実績と 自身の不動産購入経験から 分かりやすい解説と定評がある。