注文住宅の後悔1位は間取り|失敗しない対策を業界29年のプロが解説

2024.5.16.

  • 注文住宅
注文住宅は、何十年もかけて返済する高額な住宅ローンを組み、検討を重ねてから建てます。それでも「家は3回建てないと理想の家にはならない」といわれるほど、後悔する部分はでてくるものです。

とはいえ、後悔や失敗をできるだけ少なくすることはできます。そのためにできるベストな方法は、すでに家を建てた人の失敗を学び、対策しておくことです。

この記事では、注文住宅で後悔しやすいことのランキングと、具体的によくある失敗を紹介します。さらに業界29年のプロが考える「あらかじめできる対策」を解説します。これからの家づくりにぜひお役立てください。

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株式会社AZWAYが2023年におこなった「家を建てて失敗だなと思ったところ」についてのアンケート調査によると、「家を建てたとき、失敗したなと思ったところがありますか?」との質問に「はい」と答えた人は85.5%にも達しています。
失敗したと思ったところのランキングは以下のとおりです。


引用:幸せおうち計画|AZWAY
次章からは、それぞれ具体的にどのような点に後悔しがちなのか、よくある失敗と対策を紹介していきます。

 

まずは、間取りでよくある後悔と、失敗しないための対策を紹介します。

間取りで多いのは、動線に対する後悔です。例を挙げると、以下のようなケースです。
・洗濯機を置く洗面室は1階なのに、洗濯物を干すのは日当たりを考慮して2階のバルコニーにしたら、重い洗濯物を持っての移動が大変だった
・玄関からキッチンまでいくのに、重い荷物を持ってリビングをぐるっとまわる必要があって大変
動線が悪いと移動距離が増え、家事にかかる時間が長くなり効率が悪くなります。仕事や子育てをしながら移動距離の長い家事をこなすのは、毎日のことだけに負担が大きく、後悔してしまうでしょう。

洗濯機、アイロンスペース、バルコニーを一か所に集めたランドリースペース(体感すまいパーク越谷 北辰工務店)
動線は水回りを集中させぐるりと回れる「回遊動線」がおすすめです。回遊動線にすると、目的の場所までショートカットできるので、動きがスムーズになり移動時間を大きく短縮できます。
ルートが増えると家族の交差が減るので、朝の忙しい時間帯でも渋滞しにくいこともメリットです。

「間取図ではわからなかったが、実際に住むと家の中心に光が届きにくく暗かった」「南北に長い家になり北側が暗い」など、住み始めてから家の中が暗いと感じることがあります。
住み始めたときと季節が変わることで、太陽の光が入る角度が変化して、「こんなはずじゃなかった」と後悔する方もいるようです。

採光をよくするには、土地の北側に建物を寄せて南側に広い空間をとると効果的です。土地に余裕がない場合は、吹抜けや高窓、天窓などを設けて高いところから光を入れる、2階リビングにするなどさまざまな方法があります。
まずは、周辺の建物の位置や高さも考慮して土地を選ぶことが大切です。さらに設計士とのうちあわせの際、間取りだけでなく、建物の向きや周辺環境も考慮した採光計画もよく検討してもらいましょう。

ハンガーパイプを設けた大容量のウォークスルークローゼット(体感すまいパーク船橋 POHAUS)
「失敗したと思ったところ」ランキングで2番目に多かったのは「収納」です。具体的な収納についてのよくある後悔と、失敗しないための対策を紹介します。

よくあるのは「収納が少なすぎた」という後悔です。とくに都市部で広い土地を確保するのが難しく、家自体の面積が狭い場合は、収納よりも生活空間をできるだけ広く取りたいと考えがちです。その結果、収納が少なくなってしまう傾向があります。
しかし収納が少ないと、片づけられなかったものが室内にあふれてしまいます。だからといって収納家具を購入すれば、結果的に生活空間が狭くなることになりかねません。地震の際に転倒リスクもあるでしょう。収納が少ないことは、多くの後悔へとつながってしまうのです。

収納は多ければ多いほどよいわけではありません。収納が広いとものが増え続けるリスクもあります。
注文住宅を建てるときには、収納面積は延床面積の12〜15%が適切とされています。もともとの荷物の量や家族の人数などによっても必要な収納量は異なるので、今持っている荷物の総量を把握することからはじめるとよいでしょう。
その際不要なものを処分して、必要なものだけを厳選すれば、すっきりと片付いた家で新生活をスタートできるのでおすすめです。

お気に入りのアイテムを収納するギャラリーのような収納も人気(体感すまいパーク柏 POHASU和美庵)
収納を設けたものの、収納の奥行きが深すぎたり浅すぎたりして、なんだか使いづらい…というのもよくある失敗です。収納が深すぎると前後にものを置くことになり奥のものが取り出しにくくなり、浅すぎると置けるものが限られてしまうためです。

収納が使いづらいという後悔は、「とりあえず」で収納を設けたときによくあります。収納は「あればいい」わけではありません。玄関収納・パントリーなど目的にあわせ、収納するものを想定し、必要な幅や高さ、奥行きを考えてつくりつけることが大切です。
また家族の成長やライフスタイルの変化にあわせ、棚の数やパイプの高さを変えられるよう、可変性を高めておくと、後悔を防ぎやすくなるでしょう。

屋根裏収納やロフトは床面積に算入しなくてよいので、居室などの面積を削らずに収納量を増やしたいときには有効です。しかし収納スペースとして屋根裏収納やロフトを設けたものの、ハシゴの上り下りが面倒・大変で、「あるけれども使っていない」「いらなかった」と後悔する人も少なくありません。

屋根裏収納やロフトは、固定階段で行き来できると断然使い勝手がよくなります。固定階段を設置するスペースは必要になりますが、収納として有効活用したいときにはぜひ検討してみてください。
ただし家を建てる地域によっては、固定階段の設置が認められないこともあるので、建築会社にあらかじめ確認しましょう。

続いて、立地・環境でよくある後悔と、失敗しないための対策を紹介します。

「駅近」「都心に出やすい」など、立地のいい土地は価格が高くなるのが一般的です。そのため、予算内におさめようとすると土地が狭くなり、土地の広さを確保しようとすると家にかける予算が少なくなる傾向があります。
その結果、「希望の土地は購入できたけれども、理想の家を建てられなかった」と後悔することになってしまいます。

玄関横に設けた、バーベキューのできるテラス(体感すまいパーク柏 ​​北辰工務店)
土地だけを先に決めてしまうと、建物の形状や予算をそれにあわせるしかなくなり、満足いく家をたてられなくなることがあります。そうならないためには、土地と建物は「総予算」として、あわせて検討することが大切です。
土地と建物のどちらも同じ会社に依頼したり、土地の購入前に建築会社に見てもらったりするとよいでしょう。

立地に対する希望が、「公園の近くに住みたい」「カフェにすぐに行ける距離」などであれば、家に庭をつくる、おうちカフェができるようなカウンターキッチンをつくるなど、設計でかなうこともあります。
どんな暮らしをしたいのか、それは立地でしかかなえられないのかを柔軟に考えましょう。

理想の広さ・形状の土地が安価に見つかり購入したものの、思わぬ費用がかかってしまい後悔することも。具体的には、以下のようなケースでは、整地や地盤改良が高くつく傾向があります。
・高低差が大きかった
・軟弱地盤だった
・上下水道の本管から遠かった
いくら土地代が安くても、整地や地盤改良などに高額な費用がかかってしまうと、家にかけられる予算が減り理想の家を建てられなくなるのです。

土地購入後の後悔は、不動産会社を通すなどして自分で土地を購入したケースで多くなる傾向があります。それは、不動産会社は土地のプロではあっても、家のプロではないためです。
希望する家を建てるのに適した土地かどうかは、建築のプロに見てもらうのがベストです。不動産会社に依頼するなら建築もおこなっている会社を選んだり、自分で土地を探した場合も購入前に建築会社に確認してもらったりすると、後悔を防ぎやすくなるのでおすすめです。

実際に住み始めてから、「夜の環境があまり良くなかった」と感じ、後悔する方もいます。
例えば、外灯が少なく夜道が暗かったり、夜間に国道を大型トラックがたくさん通って騒音がひどかったり。また救急病院が近いから安心と思っていたのに、夜は頻繁に救急車が来てサイレンがうるさいといったケースもあります。

昼と夜とでは様子ががらりと変わるケースは珍しくありません。救急病院の例のように、昼間はよく思えていたことが、夜には不快に感じることもあります。
土地の購入は早い者勝ちであるものの、あまりに買い急ぐのは禁物です。少なくとも土地の下見は昼と夜、されにできれば平日と週末など、条件を変えて複数回おこなっておくと安心です。

駐車場についてよくある後悔と、失敗しないための対策を紹介します。

敷地内に駐車場をつくったものの、「狭くて車が出しにくい。もっと広くすればよかった」というのもよくある後悔です。
これは、とくに敷地面積が狭い場合によくある失敗です。敷地面積が狭いと、駐車場は狭くてもよいので、できるだけ住宅の面積を広く取りたいと考えてしまうためです。

駐車場は、車の幅+60cmあればドアの開閉は可能なので、最低限それだけの広さは確保しましょう。余裕があるなら、左右両方に60cm確保するのが理想です。
また駐車場の前の道路幅によって、車の回転半径も考える必要があります。さらに今は軽自動車でも、家族が増えたら大きな車に乗り換える可能性がある場合は、余裕ある設計にしておく必要があるでしょう。
そのため駐車場の広さは、今後のライフプランもあわせて建築会社に相談して決めるのが無難です。

駐車場から玄関までの動線が悪い場合も、後悔する方が多くなります。
駐車場から玄関までが遠くて雨の日に濡れてしまったり、重い荷物を運ぶのが大変だったりすることで、ストレスを感じてしまうケースが多いようです。

まずは、駐車場から玄関までの動線をシミュレーションしてみましょう。玄関までの動線は、車の駐車向きによっても変わるので、細かに考えることが大切です。
動線がどうしても悪くなる場合は、インナーガレージにして駐車場から直接家に入れる設計にする方法もあります。あるいは駐車場とキッチンを隣接させ、勝手口を設けることを検討してもよいでしょう。

庭でよくある後悔と、失敗しないための対策を紹介します。

明るい日差しが差し込むマイホームに憧れ、南側に大きな掃き出し窓を設ける方は少なくありません。しかし、せっかく理想をかなえたのに、道路から家の中が丸見えで、結局カーテンを閉めたまま。掃き出し窓があるから家具も置けない…と後悔するケースも多くあります。

南側に大きな窓を設けたい場合でも、道路からの距離が近い場合は要注意です。そのようなケースでは、コの字やL字型など中庭のある形状にすると、プライバシーを確保しつつ庭のある生活を楽しめます。
庭を存分に楽しむ暮らしをしたいときには、土地を選ぶ段階から、外からの視線を意識した設計を考えることが大切です。

家庭菜園で野菜づくりにいそしんだり、ガーデニングを楽しみ、花いっぱいの庭をリビングから眺めたりする生活にあこがれる方は多いものです。しかし、せっかく「憧れの庭付き一戸建て」を実現したにもかかわらず、実際は雑草を抜いたり、落ち葉を片づけたりなどの手入れが大変…と後悔する方も多くいます。

漠然と庭があるといいなと思っているだけだと、後悔する可能性が高くなります。庭が本当に必要なのか、どう使いたいのか熟考することが大切です。
庭が狭くていいなら、購入する土地面積を減らしたうえで、その分の費用を建物に回すこともできます。庭の代わりにサンルームや大きな掃き出し窓がある土間を設けるなど、庭以外で希望をかなえる方法を考えてもよいでしょう。
それでもやはり庭がいい!と思う場合は、落葉樹ではなく常緑樹を植える、除草シートを敷き込んでおくなど、はじめから手入れしやすい庭にしておくことをおすすめします。

住宅ローンについて、よくある後悔と失敗しないための対策を紹介します。

住宅ローンでよく聞くのは「借入金額をもっと抑えればよかった」という後悔です。注文住宅を建てるときには、「せっかくだから上限いっぱいに借りて、できるだけいい家にしたい」と考えてしまいがちです。
その結果、理想の家を建てることができ、なんとか返済はできてはいるものの、「生活に余裕がなくて外食もままならない」「旅行に行く余裕もない」など、日々の暮らしを楽しめないケースがあるのです。

金融機関によっては、返済比率を30%、40%と高く設定しているところもあります。しかし、無理なく返そうと考えるなら、返済比率は年収の25%以下で検討するのが現実的です。可能であるなら、20%以下に抑えると、余裕を持った暮らしができるでしょう。
余裕をもって返済を続け、生活も楽しめるような現実的な予算を考え、そのなかで可能な限り理想を実現してくれる建築会社を探すことも大切です。

当初は余裕があると思っていたものの、妊娠・出産、転職などで世帯収入が減り、ローンの支払いが急に苦しくなった。このまま払い続けられるのか不安でしかたない、という話もよく聞きます。

住宅ローン借入後に、妊娠や出産、転職を予定している場合には、それを踏まえて返済計画を立てることが重要です。ペアローンや収入合算は、今後のライフプランを考慮しつつ検討しましょう。
今後のライフプランを踏まえて借入額を考えたり、返済計画を立てたりしたい場合は、ファイナンシャルプランナーに相談するのもおすすめです。

住宅設備でよくある後悔と、失敗しないための対策を紹介します。

「注文住宅を建てるときには憧れのあのメーカーのキッチンを入れたい!」と思い描いていたのに、希望を叶えられなくて残念…と後悔する方もいます。注文住宅であっても、完全自由設計でない場合、決められたメーカーからしか選べない場合があるためです。
また予算の都合がつかなかったり、施工の仕様上どうしても導入できないケースもあります。

採用したいキッチン設備に希望があり、それが譲れない条件である場合には、建築会社にあらかじめ導入可否を確認しておくことが重要です。希望が叶わない場合でも、設計士が代案を提案してくれることもあるので、まずは相談してみましょう。

浴室乾燥機をつければよかった!というのもよく聞く後悔の一つです。浴室乾燥機がないと、雨の日に室内干しすることになり部屋がじめじめしてうっとうしくなってしまいます。
また干し場が1階と2階に分かれているような場合も、隣接している浴室で干せるようにしておけばよかった、と後悔する方が多いようです。ただし、浴室乾燥機でなくても乾燥機が備わっているなら問題はないでしょう。

もし浴室乾燥機をつけないのであれば、雨の日は洗濯物をどこに干すかよく考えておきましょう。洗濯機を置くランドリースペースを広く取る、日当たりのいい廊下を確保するなどができないのであれば、浴室乾燥機をつけておくのが無難です。
浴室乾燥機があると、天気が悪い日だけでなく花粉が飛ぶ季節でも洗濯物を干せるようになります。さらに冬の寒い日でも入浴前に浴室を暖めておけるので、ヒートショックの予防になるなど、浴室乾燥機は優秀な設備です。できるだけ優先順位を高めておくことをおすすめします。

入居して家電を配置したところ、コンセントの数が足らなかった!というのもよくある後悔です。あるいは数は足りているけれども配置が悪く、たこ足配線になっている…というケースもあります。
また近年は、高速インターネット通信についての後悔もよく聞くようになりました。例えばLANポートを1室だけにしか設けなかったら、電波がうまく各室に届かず、インターネットを快適に使えない、といったケースがあります。

設計段階で家電の置き場所を考えている場合でも、入居後に置き場所が変わることは少なくありません。そのため、コンセントはできるだけ多めに設置しておくとよいでしょう。とくにキッチンは使う家電が多くなる傾向があるので、優先的に増やしておくことをおすすめします。
高速でインターネットを使いたい場合は、LANポートも各部屋にあるのが理想です。また、ケーブルは直接埋め込まず、配管に通しておくことを検討しましょう。そうすれば、今後規格が変わったときでも、簡単にケーブルの交換をおこなえます。

最後に、注文住宅で後悔や失敗を防ぐコツを紹介します。

注文住宅を建てるときには、限りある予算を有効に使うためにも、優先順位をつけて予算を配分していきます。そのためには、まずは自分のライフスタイルを振り返り、必要な収納量や家事動線などを整理しておくことが大切です。
理想の注文住宅を建てるために、施主として考え、決めておくべきことはこちらのページにまとめてありますので、ぜひご参考にしてみてください。
注文住宅の決めることリスト【2024保存版】何から始める?やること・優先順位を解説

注文住宅の失敗を防ぐためにもっとも効果的な方法は、土地と建物をバラバラで考えないことです。
例えばいいと思った土地であっても、地盤改良などに高額な費用がかかったり、希望の広さの家を建てられなかったりすることがあります。予算の面でも、採光などの住環境の面でも、注文住宅をたてるうえで土地と家を一緒に考えることは必須です。
そのため土地は資金計画を考えたうえで、家の設計をお願いする建築会社と一緒に探すのが無難です。

図面を見ても、具体的にイメージできないときには、モデルハウスを見にいくなどしてイメージしてみることも大切です。
例えばLDKの広さが21畳と聞いたときに、どれくらいの広さか想像するのは難しいものです。また平面図で家具が配置されている場合でも、実際に高さがある家具が置かれているのとでは印象がまったく異なることは珍しくありません。
また設備についても、実際に使ってみると使い勝手のよさや適切な高さがわかるものです。可能な限り、モデルハウスやショールームに足を運び、体感することをおすすめします。

長期にわたる住宅ローンを組んで注文住宅を建てても、100%満足いく家の実現は難しく、後悔する方が多くいます。できるだけ後悔しないためには、まずは今回紹介したよくある失敗を未然に防ぐ対策を実行するとよいでしょう。
また注文住宅は、土地と建物をあわせて資金面からサポートしてくれる会社に依頼すると後悔する可能性を減らせます。
発見とちいえプラザなら土地と建物を1人の担当者に相談できるので、窓口が一つになって便利です。土地と建物の費用バランスを考慮してのご提案も可能です。
また、体験すまいパークでは、リアルサイズのモデルハウスも見学していただけます。実際の動線や収納の工夫などもご覧いただけるので、まずはお気軽にご相談ください。

SUPERVISOR

監修者

柳瀬 栄

柳瀬 栄 (やなせ さかえ)

宅地建物取引士 業界歴約30年の実績と 自身の不動産購入経験から 分かりやすい解説と定評がある。

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