土地込み予算5,000万円で注文住宅を建てたい!理想の家にするポイントや必要年収を解説

2024.6.7.

  • 注文住宅
昨今、「建築費が高騰している」というニュースを目にすることが増えました。注文住宅を検討するにあたり、予算内で理想の家が建てられるか不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、注文住宅の総予算5,000万円の方が、土地購入を含めて理想の家づくりをできるのかを解説します。土地込みの注文住宅の平均的な価格帯や、予算内で理想の注文住宅を建てるポイント、必要年収の目安などもお伝えしますので、ぜひご参考にしてください。

建築費が高騰している今、土地込み予算5,000万円で注文住宅を建てることは現実的に可能なのでしょうか?

注文住宅の土地込み総予算を5,000万円とした場合、5,000万円から土地代を引いた残りの費用が注文住宅の予算になります。
例えば土地代が2,000万円であれば、注文住宅の予算は3,000万円です。3,000万円以内におさまるよう、建築会社にプランを立ててもらえばよいでしょう。一方、もし土地代が4,000万円かかるのであれば、注文住宅の予算は1,000万円しかとれません。予算1,000万円しかないとなると、注文住宅を建てるのは困難です。
総予算が決まったなかで土地を購入して注文住宅を建てるときには、土地と家の予算をセットで考えることがなによりも重要です。

5,000万円から土地代を引いた残りが注文住宅の予算になるといっても、そのまますべてを建物本体の予算にできるかというと、決してそうではありません。
注文住宅の総建築費は、本体価格のほか、付帯工事費と諸費用がかかるためです。

費用 含まれるもの
本体価格 注文住宅の本体(建物)の建材費や工事費、キッチンやユニットバスなどの設備費など
付帯工事費 地盤改良費、塀や門扉などの外構費、ガス・水道などの引き込み工事費など
諸費用 住宅ローンの借り入れにかかる費用や不動産登記費用、印紙税、仲介手数料など

付帯工事費は本体価格の20%、諸費用は本体価格の10%を見込んでおくのが一般的です。
なお本体価格や付帯工事費、諸費用には10%の消費税がかかることも認識しておきましょう。

土地代が2,000万円で、注文住宅の予算が3,000万円となった場合の内訳は次のようになります。
 
内訳 費用の目安
本体価格 3,000万円÷1.3=約2,307万円
付帯工事費 約2,307万円×0.2=約462万円
諸費用 約2,307万円×0.1=約231万円

※土地代や各種税金など、消費税がかからないものもあります。

建築会社などのサイトで表示されているプランの価格は、本体価格のみとされていることがほとんどです。家の建築費の目安となる坪単価も、本体価格をもとに算出されています。

そのため「土地を買った残りの予算が3,000万円だから」と3,000万円すべてを建物に費やしてしまうと、付帯工事費や諸費用にかかる費用が不足する可能性があります。

注文住宅の予算を3,000万円とする場合は、付帯工事費や諸費用も含めての総予算となるよう、建築会社に相談してプランを立ててもらうことが大切です。

坪単価について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
注文住宅における坪単価とは?建築会社を比較するポイント・注意点を詳しく解説


 

土地込みの注文住宅の平均価格はどのくらいなのか、気になる方も多いでしょう。以下は、2022年度 フラット35利用者調査による、土地込み注文住宅の平均価格です。

全国 首都圏 近畿圏 東海圏 その他の地域
建設費
(住宅面積)
3,194.6万円
(122.8㎡)
3,117.9万円
(123.4㎡)
3,133.4万円
(126.1㎡)
3,394.4万円
(125.2㎡)
3,223.8万円
(121.3㎡)
土地取得費
(土地面積)
1,499.5万円
(252.7㎡)
2,288.2万円
(172.2㎡)
1,760.4万円
(196.1㎡)
1,299.5万円
(243.0㎡)
927.2万円
(314.4㎡)
合計 4,694.1万円 5,406.1万円 4,893.8万円 4,693.9万円 4,151.0万円

2022年度 フラット35利用者調査のデータをもとに作成

どのエリアも、注文住宅の住宅面積は122㎡〜126㎡(約36坪〜38坪)程度、建設費は3,100万円〜3,400万円程度で一定しています。一方土地については、面積が170㎡〜310㎡(約51坪〜93坪)、取得費が約930万〜2,300万円と、エリアによって大きく異なることがわかります。

土地込み注文住宅の総予算が5,000万円なら、基本的には平均的な広さの家を建てられるといえそうです。

ただし、首都圏のように土地代が高いエリアでは、予算5,000万円だとやや心許ないかもしれません。土地代が高いエリアでは、土地や家の面積を小さくしたり設備や建材のグレードを抑えたりするなど、コストを下げる工夫が必要になるでしょう。
 

「 5,000万円−土地代」が注文住宅の予算になるで解説したように、土地込みの総予算を5,000万円とした場合、注文住宅の本体価格の予算は、5,000万円から土地代を差し引き、さらに付帯工事費や諸費用を引いたものとなります。
そしてその費用で建てられる家の広さは、家の構造や使用する建材・設備のグレードなどによって異なります。

住宅予算の予算に応じて建てられる家の広さの目安を、主な住宅の構造別にご紹介します。

 
注文住宅の本体価格
 
建てられる家の広さの目安
木造 鉄骨造 鉄筋コンクリート造(RC造)
2,000万円 約27坪 約19坪 約16坪
2,500万円 約33坪 約23坪 約20坪
3,000万円 約40坪 約28坪 約24坪
3,500万円 約47坪 約33坪 約28坪
※坪単価は「2023年度 住宅着工統計」(国土交通省)をもとに算出した、木造75万円・鉄骨造107万円・鉄筋コンクリート(RC造)124万円で計算

表からわかるように、同じ予算であれば、木造を選ぶともっとも広い家を建てられます。
木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、どれが良いとは一概にはいえません。首都圏のように土地代が高いエリアで、予算内でできるだけ広い家にしたい場合は、木造を検討するとよいでしょう。
 

同じ予算で建てられる家の広さは、使用する建材や設備の種類・グレードにも影響されます。
例えば屋根材にはスレートやガルバリウム鋼板、瓦など、多くの種類があります。価格帯としてはスレートが比較的安価で、次いでガルバリウム鋼板、瓦と続くのが一般的です。またキッチンやユニットバスも、同じメーカーであってもグレードがあり、当然ながら高グレードのものは価格も高くなります。
木造住宅は、ほかの構造の家よりも比較的広い家を建てられますが、建材や設備に高額なものを選んだ場合は、相対的に小さくせざるをえなくなる可能性があります。
このように、家の広さはさまざまな項目の影響を受けます。予算内で理想の家を実現するには、何を優先するのかを明確にしたうえで、建築会社とよく相談することが重要です。

土地込み予算5,000万円で理想の注文住宅を建てたいときには、土地代を抑えると建物にコストをかけやすくなります。ここでは、土地代を抑える工夫をご紹介します。

土地を選ぶときには、「南向きの日当たりのよいリビング」にあこがれて、南道路に面した土地を希望する方が多いのが現状です。しかし南道路の土地は、人気があるぶん、相対的に高くなる傾向があります。
土地は必ずしも南道路がよいとは限りません。南道路の土地を選び大きな窓のあるリビングがある家を建てたけれども、外からの視線が気になり昼間でもカーテンを閉めたまま…と後悔する方は少なくありません。
北道路であっても、南側に広く敷地を確保できれば、プライバシーを守りながら日当たりのよいリビングを設けられます。また、家の形状をコの字型にする、ロの字型にするといった工夫で、理想の家を建てられることも。理想の家が、本当に南道路でないと実現できないのか、建築会社の意見も聞きながら考えてみるとよいでしょう。



土地代を抑えるには、旗竿地を選ぶのも効果的です。旗竿地とは、棒のような細長い土地の先に、家を建てる広い敷地がある、旗のような形状をした土地を指します。
家を建てる土地は、原則幅員4m以上の土地に2m以上接していなければならないと建築基準法で決められているため、とくに都会ではよくある形状です。旗竿地は四方をほかの家に囲まれるため敬遠されがちですが、道路に広く接している土地よりも手頃な価格なのが魅力です。
旗竿地であっても、竿部分を駐車場に活用すれば、土地が無駄になることはありません。また道路と接していないので静かであるなどメリットもあるので、検討してみるとよいでしょう。

注文住宅を建てる土地は、通勤を考えて、できるだけ勤務先に近いエリアにこだわる方も多くいます。しかし、土地は都市部に近く利便性が良いほど高くなるため、希望の広さや価格で購入するのが難しくなりがちです。
その場合、通勤距離を10分のばし、少し遠い駅で土地を探すと、希望にあった土地をより低価格で見つけやすくなります。通勤は30分だけれども駅から20分歩く土地よりも、通勤に40分かかるけれども駅からは10分しか歩かない土地であれば、後者のほうが通勤が楽になるかもしれません。

注文住宅を建てる土地に、「古家付き土地」を選択肢に入れると、土地価格を抑えられる可能性があります。古家付き土地とは、人が住めないような古い家屋が建っている土地を指します。古家付き土地は家屋の価格は評価されず、また解体撤去に費用がかかることから、そのぶん価格が安いことが特徴です。
古家付き土地を購入すれば、水道や下水の引きこみがすでにすんでいるので、付帯工事費を抑えられるのもメリットです。

土地込みの予算が5,000万円と明確な場合は、建築条件付き土地を視野にいれるのもおすすめです。建築条件付き土地とは、以下の2つの条件が付いた土地を指します。
 
・決められた施工会社と建築請負契約を結ぶこと
建築請負契約は、一定期間内に結ぶこと

建築条件付き土地では施工会社は選べませんが、条件なしの土地よりも、比較的安価に購入できることがメリットです。また建築条件付き土地は、地盤調査やライフラインの整備が済んでいるケースも多いため、そのぶんのコストを建物にまわしやすくなります。
依頼したい建築会社が決まっていない場合は、選択肢にいれてみるとよいでしょう。
 
建築条件付き土地について詳しくは、以下の記事をご一読ください。

土地代が高額なエリアは住宅が密集しているケースが多いため、建物コストを抑えたり、狭くても快適に暮らせる工夫が求められます。ここでは、建物に対して、具体的にどのような工夫ができるのかを解説します。

土地代が高く敷地面積が狭くなったときには、ビルトインガレージにすると駐車場として土地を残す必要がなくなり、建物に有効利用できます。ビルトインガレージにすれば、愛車を雨風や紫外線から守り、また雨に濡れずに出入りできるようになるのもメリットです。

有効利用しようと敷地の制限いっぱいに建物を建てると、隣家との距離が近くなり、風通しや日当たりが悪くなることがあります。そのようなときには、建物をL字型やロの字型にし、中庭を設けることを検討しましょう。中庭を設けると、外からの視線を気にすることなく開放感のある暮らしを実現できます。

室内空間を有効活用したい場合は、リビング階段にすると、階段用のスペースを別に設ける必要がなくなります。リビング階段は、デザイン性が高いスケルトンにするとリビングが狭く見えることもなく、おしゃれなリビング空間を演出できるのもメリットです。

<お客様の声>
家族と顔を合わせる機会をたくさん作りたいと思ってリビング階段を設定しました。おはよう!おやすみ!と家族の会話も増えました。

 

家に多くの予算をかけられず、延床面積が狭くなる場合でも、吹抜けを設けると空間が縦に広がり開放感を出しやすくなります。あわせてハイサイドライト(高窓)を設けると、住宅密集地でも太陽光を取り入れやすくなるのもポイントです。

<お客様の声>
家族が一緒に過ごす時間の多いリビングを開放感あるものにしたいと思って吹抜けをつくりました。吹抜けから日差しも多く入って明るいリビングになりました。

 

住宅密集地では、リビングを日当たりや風通しが悪くなりがちな1階ではなく、2階におくのもおすすめです。リビングを2階におくと、風通しや採光の問題を解消しやすくなるだけでなく、1階に個室が多くなるため耐震性が高くなる傾向があることもメリットです。

<お客様の声>
家族が集まるLDKを日当たり良くしたいと考えて2階リビングにしました。外からの目を気にすることもなくなって、いつもカーテンを開けておくほど解放感がでました。

 

建物は凹凸が多いほど、必要になる建材の量や施工の手間がかかるため、費用が高くなる傾向があります。そのため建物のコストを抑えるためには、一階と二階の面積がほぼ等しい総二階にすると効果的です。総二階は、正方形や長方形などシンプルな外観になり表面積も減るため、断熱性を確保しやすいこともメリットです。

総予算5,000万円で理想の注文住宅を建てるために、押さえておくべきポイントを2つ解説します。

土地代込みの予算が5,000万円である場合、土地に多くの予算を割り当ててしまうと家の予算が少なくなり、結果的に理想の家にならない可能性が高くなります。
また、どのような家を建てるか考慮せずに先に土地を購入してしまうと、土地にあわせた家を建てるしかなくなってしまいます。かといって建物を優先して予算配分すると、土地にかけられる費用が少なくなり、希望のエリアに住めなくなるかもしれません。
土地を購入して注文住宅を建てるときには、土地を重視するのか、建物を重視するのかも含め、家族でよく話し合って優先順位をつけておくことが大切です。

注文住宅には、「自由設計型」と「規格型」があり、両者は以下のように異なります。

注文住宅の種類 特徴
自由設計型 間取りや外観、内装、設備などをすべて自分の好みで選び、ゼロからつくりあげていくオーダーメード型住宅
規格型 間取りや外観、内装、設備などを、一定の規格のなかから選び、組み合わせて家をつくっていく、イージーオーダー型住宅


自由設計型を選ぶと、自分たちの好みにあった理想の家を建てやすくなりますが、こだわりが強くなればなるほど価格は高くなる傾向があります。一方規格型は、ある程度決まったなかから選ぶため、比較的コストを抑えやすいことが特徴です。
ただし規格型であっても、オプションを増やすと結果的に自由設計と変わらなくなった、といったことになることも。規格型の注文住宅を比較するときには、標準仕様になにが含まれているのか、なにがオプションになるのかを確認するとよいでしょう。
 

土地探しと家づくりを別々の会社に依頼した場合、予算のバランスをとるのが難しくなってしまいがちです。
例えば不動産会社に探してもらった土地では、理想とする家が建てられない場合があります。住宅は隣家の日当たりなどさまざまなことを考慮しなければなりませんが、不動産会社は建築のプロではないため、家づくりの視点から土地の良し悪しを判断できないためです。
そのため注文住宅の予算を土地込みで5,000万円と決めているのであれば、土地探しと家づくりをワンストップで依頼できる会社に相談するのがベストです。自分たちで土地を探す場合も、売買契約を結ぶ前に建物の相談をしている建築会社の設計士に見てもらい、意見を聞くことをおすすめします。

土地込み予算5,000万円で注文住宅を建てる場合、どの程度の世帯年収が必要か気になる人も多いでしょう。
注文住宅を建てるときの年収の目安としてよく使われるのが、年収倍率です。年収倍率とは、注文住宅の所要資金を世帯年収で割った数値を指します。
同じく2022年度 フラット35利用者調査によると、土地付き注文住宅を購入した人の年収倍率の全国平均は7.7倍となっています。所要資金を5,000万円とした場合、世帯年収は約650万円になる計算です。

なお実際に住宅ローンを組む際には、無理のない返済をしていくためにも「返済負担率」で必要年収を考えることが大切です。
返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合を指します。住宅ローンで無理のない返済をしていくには、返済負担率を25%以下に抑えるのが無難といわれているので参考にするとよいでしょう。
例えば頭金を500万円用意し、4,500万円を全期間固定金利2%で35年(元利均等払)の住宅ローンで借りた場合、年間の返済額は180万円(15万円/月)になります。返済負担率25%から逆算すると、年収は720万円必要になることがわかります。
なお年収から無理なく返せる借入額は、仕事の状況や子育てなど、個々の家庭の今後のライフプランを考慮して考えることが大切です。不安を感じる場合には、必要に応じてファイナンシャルプランナー(FP)への相談を検討することをおすすめします。

予算5,000万円は、全国平均から考えると、標準的な注文住宅を建てる予算としては適切と考えられます。
しかしご自身にも当てはまるかどうかは、注文住宅を建てるエリアや希望する土地の広さ、家のグレードなどさまざまな要因を考慮しなければわかりません。そのため予算内で土地込みで理想の注文住宅を建てたいときには、土地と家づくりをワンストップで依頼できる会社に相談するのがベストです。
例えばポラスの「発見とちいえプラザ」では、土地探しから建物の設計までを一人の担当者が受け持ち、理想の注文住宅の実現をサポートしています。家とセットで土地を選べば「理想の家を建てられない土地を購入した」「土地に費用をかけすぎて家の予算がショートした」といった失敗を防ぎやすくなります。まずはお気軽にご相談ください。

SUPERVISOR

監修者

柳瀬 栄

柳瀬 栄 (やなせ さかえ)

宅地建物取引士 業界歴約30年の実績と 自身の不動産購入経験から 分かりやすい解説と定評がある。

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