注文住宅と建売住宅の違いは?割合や価格差・寿命などからどっちがいいかを徹底比較

2024.8.30.

  • 注文住宅
マイホームの検討時に、「注文住宅と建売住宅のどっちがいいのか」と悩む人は少なくありません。注文住宅と建売住宅はそれぞれ特徴が異なるので、把握したうえで選ぶのがおすすめです。

この記事では、注文住宅と建売住宅について、それぞれの特徴と違いを7項目に分けて解説します。選ばれる割合や、それぞれに適しているのはどんな人なのかも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

注文住宅とは、ハウスメーカーや工務店、設計事務所などと工事請負契約を結び、住宅の設計・施工を依頼して建てる家のことです。土地については、すでに所有しているケースと、これから購入するケースがあります。

注文住宅は、大きく「自由設計型」と「規格型」に分かれます。
自由設計型は、設計士と一緒に間取りや建材、設備までを一つひとつ決めていく、「完全オーダーメード」の住宅です。対して規格型は、間取りや設備などを、ある程度決められたプランの中から選んでいく「セミオーダー」と考えるとよいでしょう。

土地を所有していない場合、注文住宅を建てるには、土地探しから始めます。注文住宅を建てる土地には、「建築条件あり」と「建築条件なし」の土地があります。
建築条件付き土地とは、家を建てる建築会社が決まっており、一定期間内に工事請負契約を結ぶことが条件とされた土地です。建築条件付き土地に建てる注文住宅は「土地付き注文住宅」と呼ばれます。
建築条件なしの土地は、建築会社についての条件はなく、好きな会社に建築を依頼できます。
建築条件付き土地についてもっと詳しくは、
建築条件付き土地とは?やめたほうがいい?メリット・デメリットやトラブルを防ぐポイントなどを徹底解説

建売住宅とは、ハウスメーカーや工務店などと売買契約を結んで購入する、土地付き住宅のことです。

建売住宅では、建築済みの建物が土地とあわせて売り出されていることが特徴です。建物がすでに完成しているため、注文住宅のように間取りや内装、設備などを自分の好みにアレンジすることはできません。
なお、建売住宅であっても、建物が完成していない段階で売り出されている場合もあります。建物が未完成の場合であっても決められた規格に沿って建てられるため、建築済みと同様に、自分の好みは反映できないのが一般的です。

建売住宅と同様に、土地付きで売り出される住宅に「分譲住宅」があります。分譲住宅は、ハウスメーカーなどが所有している広い土地を区画分けし、家を建てて販売するものです。
建売住宅よりも開発規模が大きいケースが多く、分譲地全体が統一された街並みになりやすいことが分譲住宅の特徴です。ただし建売住宅と分譲住宅の違いに明確な定義はないため、同じものと考えて問題ないでしょう。

注文住宅と建売住宅だと、どちらが多いのか気になる人もいるのではないでしょうか?
2022年度フラット35利用者調査によると、フラット35の融資数のうち、建売住宅が占める割合は21.8%。一方注文住宅は45.7%で、そのうち31.3%が土地付き注文住宅となっています。

出典:2022年度 フラット35利用者調査|住宅金融支援機構を参考に編集部にて作成
土地とあわせて住宅購入を検討する場合でも、建売住宅よりも注文住宅を選ぶ方のほうが多いことがわかります。

ここからは、注文住宅と建売住宅の違いを、7つの項目に分けて詳しく見ていきましょう。

注文住宅

建売住宅

土地

自分で選べる

自分で選べない

デザイン・間取りの自由度

自由に決められる

あらかじめ決まっている

価格差

平均価格は高いが延床面積・敷地面積が広い傾向がある

平均価格は低いが延床面積・敷地面積は狭い傾向がある

入居するまでの期間

建売よりも時間がかかる

建築済みなら購入後すぐに入居できる

契約方法

土地の売買契約+工事請負契約

土地と建物の売買契約

資金計画

計画しにくい

計画しやすい

寿命

メンテナンス次第

メンテナンス次第


それぞれ順番に解説します。
 

すでに土地を所有している場合をのぞき、マイホームは土地探しから始める必要があります。
その際、注文住宅では、家を建てる土地を自分で選べることが特徴です。広さや形状など、土地に対する希望を叶えやすくなるでしょう。
ただし土地代に費用をかけすぎると家にかける費用がショートしたり、全体のコストがふくらみ予算オーバーになったりする可能性がある点は注意が必要です。そのような事態を避けるには、土地探しから注文住宅をする場合は、土地と建物あわせて相談できるハウスメーカーや工務店などに依頼するのがおすすめです。
一方、建売住宅は、建物と土地があらかじめセットになって販売されているため、土地の広さや形状を自分で選ぶことはできません。そのため「車を2台とめるスペースがほしい」「広い庭をもちたい」などの希望は叶えにくく、条件にあう建売住宅を根気よく探す必要があるでしょう。

注文住宅は、間取りはもちろん、外観や内装のデザインまですべて自由に決められます。「自然素材をふんだんに使った内装にしたい」「外壁は塗り壁で高級感を出したい」など、理想の住宅を実現しやすくなるでしょう。
なお同じ注文住宅でも、規格型はある程度決まったなかから選ぶセミオーダーになります。ただしプランは豊富に用意されているケースが多く、組み合わせることで好みの家を実現できます。
対して建売住宅は、すでに建築済みであるため、デザインや間取りは自由に選べません。まだ家が完成していない場合であれば、水回り設備のカラーセレクトや追加オプションを選べるケースもあります。しかし、デザインや間取りはあらかじめ決まった規格どおりに建てなければなりません。

注文住宅と建売住宅の価格差が気になる方も多いでしょう。2022年度フラット35利用者調査によると、首都圏における土地付き注文住宅・建売住宅の平均価格は以下のとおりです。

種別

平均価格

土地付き注文住宅

5,406.1万円
(建設費3,117.9万円+土地取得費2,288.2万円)

建売住宅

4,342.9万円


出典:2022年度 フラット35利用者調査|住宅金融支援機構
平均価格は土地付き注文住宅が建売住宅よりも1,063.2万円ほど高くなっています。
ただし、土地付き注文住宅と建売住宅では、平均の住宅面積(延床面積)と敷地面積が以下のように異なります。
 

種別

平均住宅面積(延床面積)

平均敷地面積

土地付き注文住宅

107.7㎡(約32.6坪)

179.8㎡(約54.4坪)

建売住宅

98.3㎡(約29.7坪)

123.5㎡(約37.3坪)

広さの違い

注文住宅が9.4㎡(約2.8坪)広い

注文住宅が56.3㎡(約17坪)広い


出典:2022年度 フラット35利用者調査|住宅金融支援機構
調査によると、注文住宅のほうが住宅面積は9.4㎡(約2.8坪)、敷地面積は56.3㎡(約17坪)広いことがわかります。
注文住宅の建設費3,117.9万円を住宅面積約32.6坪で割ると、坪単価は約95万円です。これから計算すると、注文住宅の2.8坪は約266万円分に相当し、建売住宅との差は797.2万円に縮まります。
さらに土地価格が高い首都圏で、約17坪も敷地面積が広いことを考慮すると、一概に「建売住宅のほうが注文住宅よりも安い」とはいえない点は、よく理解しておきましょう。

 

注文住宅は、土地を探して購入し、設計と間取りやデザインの打ち合わせを何度も重ねながら理想の家を実現します。そのため、家を建てるまでには8カ月〜15カ月程度かかるといわれています。
建売住宅は、すでに家が完成している場合だと、売買契約を締結してから住宅ローンの決済を経て入居するまでの期間は、1カ月〜2カ月程度であるのが一般的です。
これから建築する場合もすでにスケジュールが決まっており、規格どおりに建てられるので、3カ月〜4カ月程度で入居となるケースが多いです。
注文住宅を建てる流れについて詳しくは、
注文住宅の契約・購入の流れは?進め方を全14ステップで徹底解説

注文住宅は、土地は不動産の売買契約、建物は工事請負契約を結ぶため、契約数は2つになります。
対して建売住宅は、土地と建物をまとめて売買契約を締結するため、契約数は1つです。

注文住宅は不確定要素が多いので、土地と建物の予算を考えてバランスを考えて資金計画を検討します。土地もあわせてローンで購入するには、つなぎ融資(土地購入のために借り入れる短期融資)や分割融資(住宅ローンを複数回に分けて受ける融資)を活用するとよいでしょう。
建売住宅は、土地と建物の価格があらかじめ決まっているので、住宅ローンは1本ですむことが特徴です。

家の寿命については、注文住宅か建売住宅かによって決まるものではありません。
もちろん、どのような外壁材や屋根材が使われているのかなどの影響は多少あると考えられます。しかし、もっとも重要なのは、建築後に適切なメンテナンスをおこなったかどうかです。
どちらを選んだ場合でも、定期的に外壁や屋根の塗り直しなどをしていれば、家を長持ちさせることができるでしょう。

注文住宅と建売住宅の特徴や違いを理解したものの、「自分たち家族には結局どっちがいいの?」と疑問に思っている人もいるでしょう。
注文住宅と建売住宅のどっちがいいのかは、家づくりにおいて何を優先するのかによって異なります。自分たち家族が、どんな家づくりをしたいのかをまずは考えてみることをおすすめします。

注文住宅が向いている人

建売住宅が向いている人

・自分好みの家を建てたい人

・住宅性能にこだわりたい人

・建築過程を楽しみたい人

・間取りやデザインにこだわりがない人

・入居期限がある人

・実物を見てから購入したい人


順番に解説します。
 

注文住宅が向いているのは、以下のように考えている人です。

マイホームに夢やこだわりがあり、できるだけ理想に近い家を建てたい人は、注文住宅が向いています。注文住宅であれば、設計士と相談しながら理想の間取りを叶えられます。さらには外壁材や壁紙、フローリング材などの大きなものから、ドアノブやコンセントなど小さなパーツの一つひとつまで、こだわった家づくりを実現できるでしょう。
また「ある程度こだわりたいけれども、ゼロから考えるのは負担」と感じる人は、規格型注文住宅を選ぶと、手間や時間を省きながらも理想の家に近い家づくりをおこなえるのでおすすめです。

近年は、家を建てるときに住宅性能にこだわる人も増えてきました。快適な暮らしを実現し、将来的な光熱費を抑えるためにも省エネ性能や断熱性能をできるだけ高くしたい人や、全館空調にしたいなど、明確な希望を持つ人が少なくありません。
また地震に備え、耐震性能を最大限高めたいと考える人もいるでしょう。そのように、住宅性能に明確なこだわりがある場合も、相談に応じてもらえる注文住宅を選ぶとよいでしょう。

すでに建築済みの家を購入する建売住宅と違い、注文住宅はゼロから家づくりを始めます。家の間取りを設計士と話しあったり、外装や内装の材料をカタログから選んで決めたり。工事が始まってからは基礎から土台、構造が組み上がっていく様子まで、自分の家ができていく過程自体を楽しみたい人にも注文住宅が向いています。
建築中の家の様子も見られるので、手抜き工事が心配な人にもおすすめです。

続いて、建売住宅が向いている人の特徴も紹介します。

建売住宅はすでに家ができあがっているため、注文住宅のように間取りや建材、設備などを自分で選ぶことはできません。
そのため建売住宅は、家に強いこだわりがなく、すでにできあがっている家のなかから選びたいと考える人に向いています。

建売住宅は、すでに建築済みであったり、未完成の場合でも建築スケジュールが決まっているため、入居できる時期が明確です。
「子どもが小学校に入る来年4月までに入居したい」「今住んでいる賃貸の更新時期までに引っ越したい」など入居の希望時期が明確で、時間的余裕がない人に適しています。

建売住宅はすでに建築済みであるため、実際の眺望や日当たり、動線などを確認することが可能です。
そのため実際に建てられた家を自分の目で確かめてから買いたいと考える人にも、建売住宅が向いています。

注文住宅と建売住宅のどちらがよいかを考えるときには、まずはどこに、どのような家がほしいのか、理想の家を想像することから始めましょう。
理想の外観や内観デザイン、住宅性能などを考えて優先順位をつけ、それを実現できるのか?妥協できる点はあるのかなどを考えると、自分たちにどちらがよいのかわかってきます。
それにあわせ、希望のエリアで土地探しと住宅建築の両方をサポートしてくれる会社に相談してみることをおすすめします。
家づくりを考えるときには、「自分たちの予算だと建売じゃないと厳しいかも」と思ってしまいがちです。しかし土地の形状や建物を工夫することで、予算内で理想の家を実現できるケースはたくさんあります。まずは、理想の家づくりについてじっくり話を聞いてくれる会社を探してみてください。

注文住宅と建売住宅は、それぞれ特徴があり、どっちがいいかは家づくりに求めるものによって異なります。まずは理想の家を考え、それを予算内で実現する方法を考えるとよいでしょう。
その際、土地探しから家づくりをサポートしてくれる会社に相談すると、土地と建物とのバランスを取りながら、予算内で理想の家を実現できる可能性が高くなります。
例えばポラスの「発見とちいえプラザ」なら、土地探しから建物の設計まで、一人の担当者が受け持ちます。ご予算内で理想の注文住宅を実現できるよう、全力でサポートしていますので、まずはお気軽にご相談してみてください。

SUPERVISOR

監修者

柳瀬 栄

柳瀬 栄 (やなせ さかえ)

宅地建物取引士 業界歴約30年の実績と 自身の不動産購入経験から 分かりやすい解説と定評がある。

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