平屋の注文住宅で叶える理想の暮らし|価格相場や間取りのポイントまで徹底解説

2024.9.6.

  • 注文住宅
近年、平屋が人気です。国土交通省の建築物着工統計調査によると、令和4年(2022年)に建てられた居住専用住宅(集合住宅含む)のうち、平屋の割合は13.9%。それが令和5年(2023年)になると15.4%となり、年々増加傾向にあります。老後の暮らしやすさを考慮して、「注文住宅を建てるなら、できれば平屋にしたい」と考える人もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、注文住宅を平屋にするメリットや、デメリットに対してできる対策、気になる価格の相場などを解説します。価格を抑えるためにできる工夫や、おしゃれな平屋にしたいときの間取りのポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

近年、平屋の人気が高まっているのにはどのような理由があるのでしょうか。平屋を選ぶメリットをご紹介します。

平屋は階段がなく平行移動ですむため、生活動線・家事動線がシンプルになり、日常生活の効率がよくなります。また、バリアフリー設計が容易になり、高齢者はもちろん、小さな子どもがいる世帯や、身体に不自由のある方にとっても暮らしやすい住宅にできるのもメリットです。
階段がある生活は、若いときには問題がなくても、高齢になると上り下りがつらくなり、2階を使わなくなることも少なくありません。平屋であれば年をとってもすべての生活空間を使えます。

建物の耐震性は重心の高さと密接な関係があり、重心が高くなるほど地震時の揺れが大きくなります。平屋は2階建てや3階建てに比べると、重心が下にあるため、耐震性に優れていることがメリットです。
また、平屋は2階建てや3階建てと比較して、正方形や長方形のシンプルな構造が多いことも特徴です。地震により強い力を受けたときでも振動が分散されやすいことも、平屋の耐震性が高くなる理由です。

平屋では、家族がすべて同じフロアにいるため、互いの気配を感じられることもメリットです。
2階建てや3階建てでは、家族が集うリビングと個室のフロアが分かれているケースが少なくありません。そうすると、子どもが個室で過ごす年齢になったときに、互いに何をしているのか分からなくなってしまいがちです。
その点、平屋であれば、部屋の中の様子までは分からなくても明かりが付いていたり音が漏れ聞こえたりすることで、互いの存在を感じやすくなります。高齢者がいる場合も、何かあったときに異常に気がつきやすくなるでしょう。

住宅は定期的なメンテナンスが欠かせません。平屋では、その費用を抑えやすくなるのがメリットです。
とくに10年に1度程度の頻度で必要になる外壁や屋根の塗り直しなど、高所作業をともなうメンテナンスの際、平屋であれば高い足場を組まずにすみます。工期や人件費を削減できる結果、工事費用を抑えられるようになるのです。

平屋の注文住宅にはデメリットもあります。考えられるデメリットを、あらかじめできる対策とあわせて解説します。

平屋は同じ床面積の2階建てや3階建てよりも広い敷地が必要になるため、適した土地を見つけるのが難しくなります。とくに都市部では、希望する広さの土地が見つからなかったり、あったとしても高すぎたりする可能性があります。
また平屋は2階建てや3階建てよりも低くなるため、日当たりや風通し、プライバシーにより配慮する必要があり、土地探しはより一層難しくなりがちです。
このような課題に対応するには、平屋の建築に精通したハウスメーカーや工務店に相談し、土地探しから一環してサポートを受けるとよいでしょう。

平屋の最大の弱点は、水害時に垂直避難ができないことです。水害時に逃げ遅れた場合、1階が浸水すると、逃げ場がなくなってしまう危険性があります。
この問題に対処するには、土地選びの段階でハザードマップを確認し、浸水想定区域を避けることがもっとも重要です。さらに役所で地域の過去の水害履歴をチェックして、リスクの低い土地を選ぶことが大切です。
ただし土地はそれぞれ特徴があり、比較的安全と思われる区域にあっても、その土地のあるエリアだけ排水が悪いといったケースも実は少なくありません。土地を選ぶときには、エリアの土地情報に詳しいハウスメーカーや工務店に、リスクの低い土地を提案してもらうのが無難です。

平屋は同じ床面積の2階建てや3階建てと比べると、地面に接する面が広いため、外部からの侵入リスクがより高くなることがデメリットです。そのため平屋を建てるときには、あらかじめ入念な防犯対策が必要になります。
たとえば窓は防犯ガラスを使用したり、高窓にしたりすると効果的です。また外部に面する窓は侵入が難しい小さな窓にし、代わりに中庭から光を取り込む設計にするなどの工夫をしてもよいでしょう。
ほかにもセンサーライトや防犯カメラ、警報システムの導入などもおすすめです。ハウスメーカーや工務店の担当者によく相談し、防犯対策を徹底しておくと安心です。

「平屋の注文住宅はいくらかかるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、平屋の注文住宅の相場をご紹介します。

国土交通省の2023年度 住宅着工統計によると、一戸建て住宅(平屋に限らない)の坪単価の目安は以下のとおりです。

住宅の構造

平均坪単価(首都圏)

平均坪単価(全国)

木造

約75万円

約75万円

鉄骨造

約105万円

約98万円

鉄筋コンクリート(RC)造

約131万円

約124万円


出典:「2023年度 住宅着工統計」(国土交通省)を加工して作成

坪単価とは、建物の延床面積1坪(約3.3㎡)あたりにつきかかる工事費を表す指標で、以下のように計算します。
坪単価=家の本体価格÷延床面積
たとえば延床面積30坪の木造住宅を首都圏で建てるなら、約75万円×30坪=2,250万円を建物工事費の目安と考えるとよいでしょう。

坪単価について詳しくは
注文住宅における坪単価とは?建築会社を比較するポイント・注意点を詳しく解説
 

上記の坪単価は、一戸建て全体の平均であり、平屋に限ったものではありません。「平屋は2階建てよりも坪単価が高くなる」といわれているため、「もっとかかるのでは?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
平屋の坪単価が2階建てよりも高いといわれるのは、家づくりにおいてコストがかかる基礎や屋根の施工面積が、同じ床面積の2階建ての倍になることが理由です。
たしかに、平屋は基礎や屋根にかかるコストが高くなる傾向があるのは事実です。しかし、平屋は階段や2階部分の住宅設備などの費用が不要になります。その結果、建築総コストは変わらない、もしくは低くなるケースも多く、一概に「平屋は2階建てよりも高い」とはいえません。
坪単価は、ほかにも建てるのが大手ハウスメーカーなのか地域密着型ビルダー(工務店)なのかなど、さまざまな要素の影響を受けるのが一般的です。そのため、目安にするだけであれば坪単価はご紹介した平均単価で考えて問題はないでしょう。

坪単価は、建物工事費である点に注意が必要です。家の建築費を考えるときには、建物工事費以外に、以下のような付帯工事費や諸費用もあわせて考えることが重要です。

付帯工事費

地盤改良費、塀や門扉などの外構費、水道の引き込み工事費など

諸費用

印紙税や住宅ローンの借り入れにかかる費用、不動産登記費用、仲介手数料など


付帯工事費は建物工事費の20%、諸費用は10%を見込んでおくのが一般的です。たとえば30坪の平屋の建物工事費が2,250万円とした場合、総建築費の目安は以下のようになります。
 

項目

費用の目安

建物工事費

2,250万円

付帯工事費

450万円(2,250万円×20%)

諸費用

225万円(2,250万円×10%)

建築費

2,925万円+消費税


住宅は高額な買い物であるため、消費税も大きくなりがちです。建物工事費だけで考えていると、予算をオーバーする可能性があるため注意しましょう。
 

平屋を建てるときには、2階建て・3階建てよりも広い土地を要しますが、最低限必要な土地の広さは「建ぺい率」によって異なります。
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)が占める割合を指し、地域によって30%〜80%の範囲内で決まっています。
たとえば、建ぺい率60%の土地で建築面積30坪の平屋を建てる場合に、最低限必要な土地の面積は、以下のように計算します。
最低限必要な土地の面積=30坪÷60%=50坪
ただし、これは法律上最低限必要な土地面積です。注文住宅を建てるために実際に必要な面積は、所有する車の台数や希望する庭の広さなどによって異なります。
土地を先に決めてしまうと、希望の家を建てるのが難しくなることも。リスクを避けるためには、平屋を建てる土地探しは、家の設計とあわせて同じ会社に依頼するのがおすすめです。

平屋の注文住宅で、トータルでかかる価格を抑えるためにできる工夫を、建物と土地に分けて解説します。

まずは、建物にできる工夫からご紹介します。

平屋を建てるときには、建物をできるだけシンプルなデザインにすると、コストを抑えやすくなります。
たとえば外観デザインは複雑な形状を避けて四角にしたり、屋根形状は寄棟ではなく陸屋根や片流れにしたりすると、材料費を抑えたうえで建築作業が効率化されます。
また、窓の大きさや数を減らすのも、コストダウンには有効です。これにより、窓のコストが下がるだけでなく、断熱性能や防犯性能の向上にもつながります。
シンプルなデザインはメンテナンスも容易になるため、長期的なコスト削減につながることもメリットです。

注文住宅を建てるときには、さまざまな設備やオプションが提示されるため、「せっかくだから」とあれもこれもとつい欲張ってしまいがちです。住宅は何千万もの金額を扱うことから金銭感覚が麻痺してしまい、数十万という値段が少額に思えてしまう、心理的な作用も影響するといわれています。
しかし、コストを抑えたいのであれば、本当に必要な設備を見極め選び抜くことが重要です。たとえば2人暮らしで大きなビルトイン食洗機が本当に必要なのか、実際の生活スタイルに対して収納は過剰ではないかなどをよく考えましょう。
過剰な設備や収納は、初期コストだけでなく維持管理費の増加にもつながります。家族の生活スタイルや将来の変化を見据え、本当に必要な設備を厳選しましょう。

続いて、土地選びでできる工夫をご紹介します。

広い土地面積が必要な平屋の注文住宅は、土地と建物を同じ会社に相談することで、理想の家を前提とした最適な土地選びが可能になります。
たとえば、旗竿地や北道路などの比較的安価な土地でも、家の設計を工夫することで、理想の暮らしを実現できる場合があります。同じ会社が土地と建物をあわせて検討することで、適切な予算配分や柔軟な設計の調整が可能になり、結果的にトータルコストを抑えやすくなるのです。
また、土地の特性を生かした効率的な設計の提案も期待できるので、より満足度の高い注文住宅を実現できるでしょう。

注文住宅を建てるときには、「通勤時間を短くしたい」「駅からできるだけ近くに住みたい」と考えるものです。しかし、平屋は広い土地が必要なことから、そのような立地で土地を探すと予算オーバーになりがちです。
予算を抑えつつ広い土地を探すなら、希望の駅から数駅離れる、もしくは希望の駅まで徒歩5分ではなく自転車で5分まで範囲を広げることも検討しましょう。条件を緩和することで選択肢が増え、希望にあう土地を見つけやすくなります。

土地探しにおいては、「建築条件付き土地」を視野に入れると、コストを抑えやすくなります。建築条件付き土地とは、以下の2つの条件が付いた土地のことです。
・決められた施工会社と工事請負契約を結ぶこと
・工事請負契約は、一定期間内に結ぶこと
建築条件付き土地は、条件なしの土地よりも比較的安価に購入できることが多く、予算の効率的な配分をかなえやすくなります。また、ライフラインが整備済みの土地も多いので、追加コストを抑えられる可能性が高くなるのもメリットです。
建築条件付き土地について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
建築条件付き土地とは?やめたほうがいい?メリット・デメリットやトラブルを防ぐポイントなどを徹底解説

ここからは、おしゃれな平屋の注文住宅にするためのポイントをご紹介します。

平屋に中庭がある間取りにすると、周囲に2階建てが建ち並ぶ環境でも、効果的に日差しや風を取り入れられるようになります。中庭は外からの視線をシャットアウトし、プライバシーを確保できるのもメリットです。
また、中庭を設けるのにあわせて外に向けた窓を減らせば、防犯性を高める効果も得られます。自然光や緑を室内に取り込んで、開放感のある空間づくりをしたいときには、中庭のある間取りを検討するとよいでしょう。

テラスやウッドデッキは、屋内と屋外をシームレスにつなぐアウトドアリビングとして人気です。室内との段差をなくし、フローリングと色味をあわせると、より一体感が生まれます。
あわせて軒を長く出すことで、天候の影響を軽減しつつ、平屋独特の水平ラインが長くのびる美しい外観デザインになりやすいのもメリットです。

ワンフロアで生活する平屋は、平面的で単調になりがちです。そのような空間に、スキップフロアや小上がりを設けると、奥行きと立体感が生まれて視覚的な変化が生まれます。
段差があると収納を確保しやすくなるため、実用性が向上するのもメリットです。


 

家族間のコミュニケーションを取りやすい平屋は動線がシンプルで、将来を見据えた住まいを検討するにはよい選択となり得ます。
一方、広い土地を要する平屋は、適した土地を探すのが難しく、建物とのトータル予算をオーバーしやすい点に注意が必要です。そのため平屋の注文住宅は、土地と建物をあわせて考えてくれる会社に相談することをおすすめします。
たとえばポラスの「発見とちいえプラザ」なら、土地探しから建物の設計までを一人の担当者が受け持ち、理想の注文住宅の実現に向けて全力でサポートしています。まずは気軽にご相談してみてください。

SUPERVISOR

監修者

柳瀬 栄

柳瀬 栄 (やなせ さかえ)

宅地建物取引士 業界歴約30年の実績と 自身の不動産購入経験から 分かりやすい解説と定評がある。

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