市街化調整区域とは|買わない方がいいと言われる理由と家を建てる条件

2026.10.6.

  • 土地探し
市街化調整区域は、市街化を抑えることが決められた区域で、住宅を建てるには原則として許可が必要です。ただし、まったく建てられないわけではありません。自治体が条例で指定した区域などでは、条件を満たせば農家でない方でも住宅を建てられる場合があります。

同じ市街化調整区域でも、土地によって建築の条件や扱いは異なります。「価格が安いから」という理由だけで決めると、購入後に思わぬ制約が判明することもあるでしょう。この記事では、住宅を建てられる主な条件や購入前の注意点、対象地について確認する方法を順に解説します。

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市街化調整区域には、市街化区域とは異なる土地利用や建築のルールがあります。まずは両者の位置づけと、どこが違うのかを押さえます。

市街化調整区域とは、都市計画法第7条第3項にもとづき、市街化を抑制すべき区域として定められた区域です。都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に分けることを区域区分といい、実務では線引きと呼ばれています。
押さえておきたいのは、建物を建てられない区域ではなく、建てるために許可を要する区域だということです。必要な許可を受けられる土地であれば、住宅を建てられます。

市街化区域は、すでに市街地を形成している場所と、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図る場所を指します。
市街化調整区域との代表的な違いのひとつが用途地域です。用途地域とは、住宅地や商業地など、土地の使い方を定める区分を指します。市街化区域には定められている一方、市街化調整区域には原則として指定されません。なお都市計画区域のなかには、市街化区域と市街化調整区域に分けられていない「非線引き区域」もあります。

市街化区域と市街化調整区域では、住宅を建てる際のルールや用途地域、税金、インフラの整備状況などに違いがあります。主な違いを表で確認してみましょう。

項目 市街化区域 市街化調整区域
位置づけ すでに市街地を形成している区域と、おおむね10年以内に市街化を図る区域 市街化を抑制すべき区域
住宅の建築 用途地域などの制限の範囲で建てられる 原則として許可が必要で、条件を満たす場合に建てられる
用途地域 定められている 原則として定められていない
都市計画税 原則として課税される 原則として対象外。ただし条例で定めた区域では課税されることがある
上下水道 整備されていることが多い 未整備の場所もあり、引き込み費用がかかることがある

区域を分ける目的は、市街地が無秩序に広がるのを防ぎ、農地や自然環境を守りながら、道路や上下水道などの整備を計画的に進めることにあります。市街地を広げる範囲を定めておけば、必要な場所に予算を配分しやすくなります。
こうした区域区分は、1968年に制定され、翌1969年に施行された都市計画法で導入されました。その後、都市計画区域ごとに線引きが進み、埼玉県では1970年(昭和45年)に区域区分が都市計画決定されています。首都圏でも、市街化区域に隣接して市街化調整区域が広がる地域が各地にあります。

市街化調整区域でも、条件によっては住宅を建てられる土地があります。どのような場合に建築が認められるのか、主なケースを順に見ていきます。

市街化調整区域で住宅を建てる場合は、原則として都市計画法にもとづく許可が必要です。土地の造成などを伴う場合は開発許可、開発行為を伴わない場合でも建築許可が必要になることがあります。
ただし、すべての建築に同じ条件が適用されるわけではありません。農林漁業を営む方の住宅や、分家住宅、自治体が条例で指定した区域など、住宅を建てられるケースはいくつかあります。どの条件に当てはまるかは、土地や自治体によって変わってきます。

農林漁業を営む方が自分で住む住宅や、畜舎・農機具を保管する施設などは、一定の条件を満たせば開発許可を受けずに建てられます。ただし対象となる建物や事業者には要件があり、誰でも使える仕組みではありません。
農家などの親族が建てる「分家住宅」も、条件を満たせば建築が認められます。ただし申請できる方の範囲や土地の条件は自治体ごとに定められており、全国で共通の基準があるわけではありません。

市街化区域に隣接・近接し、おおむね50以上の建築物がまとまっている地域のうち、自治体が条例で指定した区域では、条件を満たせば農家でない方でも許可を受けて住宅を建てられます。埼玉県にも、市町村の申出を受けて土地の区域と建築物の用途を指定する仕組みがあります。
ただし、指定区域内であれば無条件に建てられるわけではありません。建てられる建物の用途や規模のほか、敷地の広さ、前面道路の幅、雨水・汚水の排水方法などにも自治体ごとの基準があります。指定区域に含まれていることと、その土地に希望どおりの家を建てられることは別なので、具体的な計画があるなら早めに市町村の担当窓口へ相談しておくと手戻りを防げます。

市街化調整区域に指定される前から宅地だった土地は、線引きの時期や過去の許可まで確かめないと建築の可否を判断できません。かつては一定の要件を満たす土地について、「既存宅地」の確認を受ければ許可なしで建築できる制度がありました。ただしこの制度は2001年に廃止され、経過措置も終了しています。
現在は「線引き前から宅地だった」という理由だけで建てられるわけではありません。

市街化調整区域で住宅を建てられる可能性がある主なケースと、確認先をまとめました。ただし、同じような条件の土地でも、自治体や過去の許可内容によって判断が異なることがあります。表だけで建築の可否を判断せず、土地のある市町村の担当窓口で確認しましょう。

主なケース 概要 確認したいポイント 確認先
自治体が条例で指定した区域 市街化区域に隣接・近接し、建築物がまとまっている地域などのうち、自治体が指定した区域 指定区域に含まれるか、建てられる用途・敷地・道路・排水などの条件 市町村の開発許可担当課
分家住宅 農家などの親族が自己用住宅を建てる場合に、自治体の基準によって認められることがある 親族関係や土地の条件など、自治体が定める許可要件 市町村の開発許可担当課
農林漁業を営む方の住宅など 農林漁業を営む方の住宅や、畜舎・農機具の保管施設など 許可不要の対象に該当するか、建物の用途や利用者が要件を満たすか 市町村の開発許可担当課
線引き前から宅地として利用されていた土地 市街化調整区域に指定される前から宅地として利用されていた土地 線引きの時期、当時の土地利用、過去の許可や確認の内容 市町村の開発許可担当課
過去に開発・建築の許可を受けた土地 過去に都市計画法にもとづく許可を受け、住宅などが建てられた土地 許可の種類や条件、建て替え時にも同じ扱いが認められるか 市町村の開発許可担当課、開発登録簿や許可書
地目が田・畑の土地 住宅を建てるには、市街化調整区域の許可とは別に農地転用の手続きが必要 農地転用が可能か、農用地区域に含まれる場合は除外手続きが必要か 農業委員会など

市街化調整区域で住宅を建てられる条件の一部は、自治体が条例や審査基準で定めています。隣の市町村で認められたケースでも、別の自治体では条件を満たさないことがあり、インターネットで見つかる他地域の解説をそのまま当てはめると判断を誤るおそれがあります。ここでは、許可の窓口と、改正によって認められる範囲が変わる点を取り上げます。

開発許可を出すのは都道府県が原則ですが、指定都市や中核市のほか、権限が移譲された市町村が担当する地域もあります。どこが窓口になるかは、土地の所在地によって変わります。
たとえば埼玉県では、県が許可事務を行うのは一部の町村にとどまり、そのほかは各市町村が担当しています。県に問い合わせても、権限を持つ市町村の分については回答を得られません。

2022年4月に施行された改正により、自治体が条例で指定する区域には、土砂災害などの危険性が高い区域や、一定の浸水ハザードエリアなどを原則として含めないことが明確になりました。これを受けて、すでに指定していた区域の一部を除外した自治体もあります。
そのため、以前は住宅を建てられた土地でも、現在は同じ条件で建てられるとは限りません。近隣で過去に家が建った事例だけで判断せず、最新の指定状況と建築条件を市町村の担当窓口で確かめる必要があります。

市街化調整区域の土地には、建て替えや売却、インフラ、住宅ローンで注意したい点があります。それぞれの理由と、契約前に確認しておきたいポイントを見ていきましょう。

市街化調整区域では、今ある住宅を建て替えたり増改築したりする際、建物の状況によってはあらためて許可が要ります。一方、同じ用途・同程度の規模での建て替えなら、許可不要として扱われるケースも見られます。
どこまで許可なしで建て替えられるかは、既存の建物が建てられた経緯や許可内容、自治体の基準によって分かれます。長く住み続ける予定でも、将来の建て替えまで見据えた確認が欠かせません。中古住宅を購入するなら、現在の建物がどのような許可や条件のもとで建てられたのかも聞いておきましょう。
関連記事:再建築不可物件とは?建て替えできない理由と、相続した家を「活かす・手放す」方法をやさしく解説

市街化調整区域には、特定の人が住むことを前提に許可された住宅もあります。たとえば分家住宅では、所有者や使用者が変わると用途変更として扱われ、あらためて許可が要るケースもあります。そのため一般的な住宅より売却時の条件が増え、買い手が限られやすくなります。
一方、土地や建物の条件によっては、売却後もそのまま住宅として使えます。必要な手続きは当初の許可内容と自治体の基準によって変わるため、購入前に売却時の制限まで見ておくと、後から慌てずに済みます。

市街化調整区域では、前面道路まで上下水道の本管が整備されていない土地も見られます。敷地まで引き込む工事が必要になると、本管までの距離や自治体の制度によって費用が大きく変わります。土地の価格だけで判断すると、想定していなかった負担が加わりかねません。
公共下水道が整備されていない地域では、地域の方式に応じた汚水処理が必要です。浄化槽を設置する場合は、設置時の費用に加え、保守点検や清掃などの維持費も見込んでおきたいところです。前面道路の整備状況や引き込みの有無は、市町村の担当窓口で調べられます。

市街化調整区域の物件は、金融機関によって住宅ローンの取り扱いが異なります。一部の物件を融資対象外としている金融機関もあり、市街化区域の土地に比べて借入先が限られることもあります。
融資を受けられるかどうかは、物件の状況や建築・再建築の可否を踏まえて個別に審査されます。土地を契約してから希望する住宅ローンを使えないと分かる事態は避けたいところです。購入前に金融機関へ相談し、複数の窓口で事前審査を受けておくと借入先の候補が見えてきます。
関連記事:注文住宅の住宅ローンは土地代も借りられる?3つのパターンを徹底解説

4つの理由ごとに、契約前に確認しておきたい内容と窓口をまとめました。

理由 起こりうること 確認する内容・資料 確認先
建て替え・増改築 あらためて許可が必要になったり、建て替えの条件が付いたりする 開発登録簿、過去の許可書、建築時の許可内容 市町村の開発許可担当課
売却 売却時に手続きや条件が加わり、買い手が限られやすい 当初の許可内容、所有者・使用者が変わる場合の扱い 市町村の開発許可担当課、不動産会社
上下水道 引き込み工事や浄化槽の設置などで追加費用が生じる 前面道路の上下水道の整備状況、敷地内への引き込みの有無 市町村の水道・下水道担当課、不動産会社
住宅ローン 金融機関によっては融資対象外となり、借入先が限られる 物件の許可内容、建築・再建築の可否、事前審査の結果 金融機関

市街化調整区域の土地には、建築上の制限がある一方で、価格や住環境の面でのメリットもあります。主な利点と、あわせて押さえたい注意点を紹介します。

市街化調整区域は建築に条件が付くため、購入できる人が限られやすく、市街化区域より土地価格が抑えられる傾向にあります。同じ市内でも、区域の違いによって価格に差が出るケースも少なくありません。
大切なのは、価格の低さだけで判断せず、その背景まで確認することです。建築上の制限によるものなのか、駅からの距離や周辺環境が影響しているのかによって、購入後の暮らしや将来の売却への影響も変わります。条件と価格のバランスを見ながら判断したいところです。

市街化調整区域は市街化を抑える区域のため、大規模な商業施設や集合住宅などが建ちにくく、周辺環境も比較的変化しにくい傾向があります。市街化区域と比べると、落ち着いた住環境を求める方に向いている土地も見つけやすいでしょう。
土地価格が抑えられていれば、同じ予算でもより広い敷地を検討できます。ただし、スーパーや病院などの生活施設が遠く、車が欠かせない地域も少なくありません。通勤・通学の経路や買い物のしやすさなど、日常生活に必要な環境は実際に足を運んで確かめてください。

都市計画税は、原則として市街化区域内の土地や家屋に課税される税金です。市街化調整区域は基本的に課税対象から外れ、その分だけ毎年の税負担が軽くなるケースもあります。
ただし、市街化調整区域でも、自治体が条例で定めた一部の区域では都市計画税が課されます。一方、固定資産税は区域区分によって課税の有無が決まる税金ではありません。「市街化調整区域だから税金が安い」と一括りにせず、それぞれの税金を分けて考えましょう。課税の有無や具体的な金額は、土地のある市町村の担当窓口で確認できます。

その土地に家を建てられるかどうかは、区域区分を調べるだけでは判断できません。建築の可否を確認する手順と、問い合わせ先を順にお伝えします。

多くの市町村では、都市計画情報をホームページで公開しています。地図上で場所を確認すれば、市街化区域と市街化調整区域のどちらに該当するかを自分でも調べられます。
境界付近の土地は、住所ではなく地番で確認すると取り違えを防ぎやすくなります。ただし、都市計画情報だけで分かるのは主に区域区分までです。条例で指定された区域に含まれるか、実際に住宅を建てられるかについては、別途確認しなければなりません。

まずは、土地のある市町村の開発許可を担当する窓口に問い合わせます。担当窓口は、自治体のホームページからたどれます。地番を伝えると、条例で指定された区域に含まれるか、建築にどのような条件が付くのかを確認できます。相談方法は自治体によって異なり、電話で済む内容もあれば、図面を用意して窓口で相談するケースもあります。
過去の開発許可の内容は、開発登録簿などから確認できます。不動産会社から説明を受けていても、建築の可否や許可条件は、購入を決める前にご自身でも担当窓口へ確かめておくのが確実です。

市街化調整区域の土地を検討するときは、建築の可否だけでなく、接道や過去の許可内容まで確認しておきたいところです。口頭の説明だけで済ませず、確認できる資料や書面があるかもあわせて聞いておきましょう。答えにくそうな項目があれば、市町村の窓口で裏づけを取る合図になります。

項目 聞くこと 確認できること
建築の可否 どの許可や基準をもとに住宅を建てられる土地と判断しているか 建てられる建物の用途や、申請者に求められる条件
接道 接している道路の種類や幅員はどうなっているか 建築や建て替えに道路上の制約がないか
過去の許可 開発許可や建築許可などを受けているか、その内容は何か 将来の建て替えや売却に条件が付く可能性

契約前には、宅地建物取引士から重要事項説明を受けます。都市計画法や建築基準法にもとづく制限のほか、飲用水・電気・ガスの供給施設や排水施設の整備状況なども確認の対象です。
市街化調整区域に関する制限や過去の許可について、書面にどのように記載されているかを読んでみてください。分からない点はその場で質問し、後日回答を受ける場合は、メールなど記録が残る形でもらいましょう。契約直前になって初めて内容を知る事態を避けるため、可能であれば事前に重要事項説明書を取り寄せておくと落ち着いて読めます。

市街化調整区域について、土地を検討するときに出やすい疑問をまとめました。

市街化調整区域だからという理由だけで、土地の売買そのものが制限されるわけではありません。ただし、農地を購入する場合は農地法にもとづく手続きが必要です。また、土地を買えても住宅を建てられるとは限らないため、購入前に建築の可否や必要な許可を確認しておきましょう。

都市計画の見直しによって、市街化調整区域から市街化区域へ変更されるケースはあります。ただし、いつ、どの範囲が変更されるかを事前に見通すのは困難です。将来の区域変更を期待して購入するのではなく、現在の条件をもとに判断することが大切です。

市街化調整区域の農地に住宅を建てるには、都市計画法上の許可に加えて、農地転用の手続きが必要です。農用地区域、いわゆる青地に含まれている場合は、原則として農用地区域からの除外を先に進めます。農地転用が可能かどうかは、土地のある市町村の農業委員会などにたずねてください。
関連記事:農地転用とは?農地を宅地化して"得して手放す"方法を費用・手続き・許可まで解説

開発許可にかかる期間は自治体や申請内容によって異なり、事前相談や審査にも時間を要します。標準処理期間を公表している自治体もあるため、土地のある市町村のホームページや担当窓口で確認できます。土地の契約や住宅ローンのスケジュールにも関わるため、早めに見通しを立てておくと安心です。

市街化調整区域は、住宅をまったく建てられない区域ではありません。自治体が条例で指定した区域や、一定の許可基準を満たす土地など、条件によっては住宅を建てられます。ただし、建築や建て替え、売却の条件は土地や自治体によって異なるため、価格だけで購入を決めるのは避けたいところです。
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